NetSuiteの連携方法まとめ|API・iPaaS・公式Connectorの選び方と主要サービス別の連携ガイド

「NetSuiteと、いま使っているシステムはつながりますか」

導入の検討でも、運用が始まってからでも、必ず出てくる質問です。

答えは「つながります」。ただし、つなぎ方は一つではありません。手軽なものから作り込むものまで、5つの入り口があります。

そして実務でつまずくのは、技術ではなく順序です。手段の比較から検討を始めると、たいてい途中で止まります。

この記事は、NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットが書いています。手段の一覧を並べる前に、選ぶ前に決めておくことから整理します。

この記事で分かること

  • NetSuiteの連携手段5つの全体像と、それぞれの向き不向き
  • 手段を選ぶ前に決めておくべき3つのこと
  • 目的別・つなぎたいサービス別の選び方
  • 連携設計でよくある4つのつまずき

読了時間の目安:約14分

目次

NetSuiteの連携には、5つの入り口がある

まず全体像です。NetSuiteと外部システムをつなぐ手段は、大きく5つに分けられます。

①CSVインポート/エクスポート

ファイルでデータをやり取りする方法です。

もっとも手軽で、追加の費用も基本的にかかりません。ただし手作業が挟まるため、頻度が高い業務には向きません。

②SuiteTalk(API連携)

SuiteTalkは、NetSuiteが標準で備えるWeb API(システム同士をつなぐ接続口)です。

外部システムから直接データを読み書きできます。自由度が最も高い一方、開発と保守が必要になります。

③iPaaS(連携のための中継サービス)

iPaaS(Integration Platform as a Service:システム間の連携を仲介するクラウド基盤)を挟む方法です。

つなぎたい両方のシステムに対応していれば、コードを書かずに設定でつなげます。月額の利用料がかかる点が判断材料になります。

④公式Connector

NetSuiteが公式に提供している、特定サービス向けの接続機能です。

たとえばNetSuite Connector for Outlookがこれにあたります。対象のサービスがあるなら、まず検討すべき選択肢です。

⑤SuiteApp(拡張アプリ)

NetSuite向けの拡張アプリを導入する方法です。

特定の業務や日本固有の商習慣に対応したものが提供されています。開発なしで機能を足せるのが利点です。

5つを1枚で

手段何をするもの
①CSVファイルでデータをやり取りする
②SuiteTalk(API)外部システムから直接読み書きする
③iPaaS中継サービスを挟んで設定でつなぐ
④公式Connector特定サービス向けの公式の接続機能を使う
⑤SuiteApp拡張アプリを入れて機能ごと足す

ここから先が本題です。 どれを選ぶかの前に、決めておくことがあります。

手段を選ぶ前に、決めておくこと

連携の相談をいただくとき、私たちが最初に確認するのはツールの話ではありません。

「iPaaSか、APIか、それともCSVか」から検討が始まっている場合、いったん止めてもらいます。 ここから入ると、多くの場合やり直しになるからです。

先に決めるべきことが、3つあります。

決めること①:会社の正データを、どこに置くか

同じ情報が2つのシステムに存在するとき、どちらが正しいのかを決めておく必要があります。

在庫の数量、顧客のマスタ、価格。これらが両方で更新できる状態だと、いつか必ず食い違います。

基本の考え方はこうです。会社全体の整合・集計・統制が必要なデータは、基幹側に置く。 現場の小回りが必要な業務は、現場のツールに残す。

この論点は、NetSuiteとkintoneの連携で詳しく扱っています。kintone以外のツールでも、考え方は同じです。

決めること②:リアルタイム性は、本当に必要か

「リアルタイムでつなぎたい」というご要望は、非常に多くいただきます。

ただ、確認すると1日1回で足りる業務がほとんどです。

リアルタイム連携は、手段の選択肢を狭め、コストと保守負担を上げます。必要な業務にだけ使うほうが、全体では速く進みます。

「その数字を、どのくらいの遅れまで許容できるか」。この問いを業務ごとに立ててみてください。

決めること③:誰が保守するのか

連携は、作った瞬間から保守が始まります。

つなぐ相手のシステムが更新されれば、影響を受けます。項目が増えれば、直す必要があります。担当者が抜ければ、誰かが引き継ぎます。

5年後に誰がこれを直しているのかを、着手前に言葉にしてください。 答えられないなら、開発を伴わない手段を選ぶほうが安全です。

この3つが決まると、手段は自然に絞られます

順序が逆になると、こうなります。

高機能な手段を選んだが、実は1日1回で足りた。開発でつないだが、作った人が辞めて誰も触れない。両方で更新できる設計にしたため、数字が合わなくなった。

3つを先に決めれば、これらは起こりません。

5つの手段を比較する

3つが決まった前提で、手段を比べます。

比較表

観点①CSV②SuiteTalk(API)③iPaaS④公式Connector⑤SuiteApp
始めやすさ高い低い高い
開発の要否不要必要原則不要不要不要
リアルタイム性低い高い中〜高中〜高対象による
自由度低い高い低い対象による
保守の負担手作業が残る大きい中(設定の管理)小さい小さい
費用の性質ほぼ不要開発費+保守費月額利用料対象によるライセンス費

読み方のポイント

表を見るときは、「自由度」と「保守の負担」がほぼ連動している点に注目してください。

自由に作れる手段ほど、あとで面倒を見る量が増えます。逆に、決められた形に乗る手段ほど、自由度は下がるが手離れが良くなります。

どちらが正しいということはありません。 決めること③(誰が保守するのか)の答えによって、選ぶべき側が変わります。

組み合わせて使うのが普通です

1つの手段だけで全部をまかなう必要はありません。

日次のマスタ更新はCSV、受注はiPaaS、メール連携は公式Connector。業務ごとに使い分けるのが、実際の姿です。

目的別に、どれを選ぶか

よくある目的ごとに、入り口を整理します。

目的最初に検討する手段
初期のデータ移行①CSV
マスタの定期更新(1日1回程度)①CSV、または③iPaaS
受注データの取り込み(頻度が高い)③iPaaS、または②SuiteTalk
在庫の同期(リアルタイム性が必要)②SuiteTalk、または③iPaaS
メール・予定の同期④公式Connector
日本固有の商習慣への対応⑤SuiteApp
独自ロジックを含む処理②SuiteTalk

上から順に、必要な技術力とコストが上がっていきます。

判断に迷ったら、より軽い手段で試せないかを先に検討してください。 CSVで回るなら、それが最も安く、最も壊れにくい選択です。

つなぎたいサービス別の入り口

ここからは、具体的なサービス別の入り口です。それぞれ固有の論点があるため、詳しくは各記事をご覧ください。

現場の業務アプリ(kintone)

論点は「何を会社の正データにするか」です。

現場が自分で作るアプリと、会社全体の正データを束ねる基幹。役割が違うため、境界の設計が要になります。

詳しくは、NetSuiteとkintoneの連携をご覧ください。

営業支援・CRM(Salesforce)

論点は「連携すべきか、一元化すべきか」です。

すでに営業に根付いているなら連携、これからCRMを導入するなら一元化。この判断を曖昧にしたまま進めると、顧客情報が両方に散らばります。

詳しくは、NetSuiteとSalesforceは連携すべき?一元化すべき?をご覧ください。

EC受注管理(ネクストエンジンなど)

論点は「受注のどこまでをどちらで持つか」です。

モール・自社ECの受注を集約するツールと、基幹の販売管理。重複する機能をどう整理するかが設計の中心になります。

詳しくは、ネクストエンジン×NetSuite連携ガイドをご覧ください。

物流・倉庫(3PL・WMS)

論点は「日本の物流SaaSには標準コネクタが少ない」ことです。

海外の物流SaaSにはNetSuiteとの標準連携が用意されているものが多い一方、日本のサービスには専用コネクタがほとんどありません。ここが設計の分かれ目になります。

詳しくは、NetSuiteと物流SaaSの連携をご覧ください。

メール・スケジュール(Outlook)

公式Connectorが提供されている領域です。

Outlook上からメールや予定をNetSuiteへ同期でき、顧客・商談情報の参照やレコードの作成・更新も行えます。

詳しくは、NetSuite Connector for Outlookをご覧ください。

その他のサービス

上記以外でも、多くのサービスとつなげます。

判断の順序は同じです。まず「決めること」3つを固め、次に手段、最後にツールの選定。この順番を守れば、どのサービスでも設計は破綻しません。

連携設計でよくある4つのつまずき

ここからは、現場で見てきたつまずきを整理します。

これは、うまくいっていない会社を批判するためのものではありません。どれも、真面目に検討したからこそ起こります。だから先にお伝えしておきたいのです。

つまずき①:手段の比較から検討を始める

よくある現象

  • 最初の会議の議題が「iPaaSか、APIか、CSVか」になっている
  • ツールの資料を集めることから始まる
  • 何をつなぐのかが、最後まで曖昧なまま進む

なぜ失敗するか

手段は、目的が決まって初めて選べるためです。

正データをどこに置くかが決まっていなければ、どの方向にデータを流すかも決まりません。方向が決まらないまま道具を選んでも、判断のしようがありません。

どう回避するか

第2章の3つを先に決めてください。 正データ、リアルタイム性、保守の担い手。

この3つが決まれば、手段は自然に2つ程度まで絞られます。そこから比較すれば、議論は短く済みます。

つまずき②:全部を一度につなごうとする

よくある現象

  • 連携対象のシステムを、最初に5つも6つも並べる
  • 全体の設計に時間がかかり、着手が遅れる
  • 途中で優先度が変わり、設計をやり直す

なぜ失敗するか

つなぐ相手が増えるほど、考慮すべき組み合わせが急に増えるためです。

そして、全部をつないでも、実際に効果が出るのは一部です。効果の薄い連携にも同じだけの保守がかかります。

どう回避するか

いちばん痛い1点を決めて、そこだけ先につないでください。

二重入力が最も多い業務。転記ミスが起きている箇所。数字が合わずに毎月時間を取られている処理。どれか1つで構いません。

完璧を目指すより、まず回す。1本動けば、次の設計はずっと楽になります。

つまずき③:両方で更新できる設計にしてしまう

よくある現象

  • 同じ項目を、どちらのシステムからも編集できる状態になっている
  • 数字が食い違い、どちらが正しいか分からなくなる
  • 「一応、両方見る」という運用が定着する

なぜ失敗するか

正データを決めていないためです。

双方向で更新できると、便利に見えます。しかし更新の順序によって結果が変わるため、いつか必ず不整合が生じます。

どう回避するか

項目ごとに、更新できる側を1つに決めてください。

もう一方は参照のみにします。「確定したデータだけを流す」という設計にすると、二重入力も不整合もなくなります。

つまずき④:作ったあとの体制を決めていない

よくある現象

  • 連携の仕様書が残っていない
  • つなぎ先のシステムが更新され、連携が止まる
  • 作ったベンダーとの契約が切れ、直せる人がいない

なぜ失敗するか

連携は、両側のシステムの都合で壊れるためです。

自社が何もしていなくても、相手側の仕様変更で止まります。そのとき誰が対応するかを決めていないと、業務が止まったまま時間が過ぎます。

どう回避するか

何と何を・どの方向に・どの頻度でつないでいるかを、1ページの表にしてください。

あわせて、障害時の連絡先と対応の担当を決めます。私たちは、運用フェーズで管理者をひとりにしないことを大切にしています。

四つに共通するもの

四つを並べると、共通点が見えてきます。

いずれも、連携を「つなぐこと」だと捉えていることから生じています。

連携の目的は、つなぐことではありません。二重入力をなくす、数字を早く出す、ミスを減らす。 解きたい課題があって、その手段としてつなぎます。

ベンチャーネットは、お客様と対等な関係で仕事をしたいと考えています。だから、つなぐ必要のないものまで勧めることはしません。

自社にとって本当に必要な連携はどれか。それを一緒に切り分けるところから、ご一緒させてください。

何から始めるか

現実的な進め方を3段階で整理します。

第1段階:痛点を1つ選ぶ

いま最も手間がかかっている転記作業を、1つ挙げてください。

「毎月、この作業に2日かかっている」「ここで毎回ミスが出る」。そういう具体的な痛みが、最初の対象になります。

第2段階:3つを決める

その1点について、第2章の3つを決めます。

  • 正データはどちらに置くか
  • どのくらいの遅れまで許容できるか
  • 誰が保守するか

ここまでで、手段は絞られています。

第3段階:軽い手段から試す

絞られた手段のうち、より軽いほうから試してください。

CSVで回るならCSVで始める。運用に乗ってから、必要に応じて自動化を検討します。最初から作り込むと、要らなかったと分かったときの損失が大きくなります。

急ぐ必要のない会社もあります

正直に申し上げると、いま連携を急ぐ必要のない会社もあります。

  • 転記作業の量が、まだ許容範囲にある
  • つなぎ先のシステム自体を、近く見直す可能性がある
  • NetSuite側の運用が、まだ安定していない

該当する場合は、無理に進める必要はありません。連携は、両側が安定してからのほうがうまくいきます。

よくある質問

Q1. どの手段がいちばん良いのですか

目的によって変わるため、一番はありません。

判断の軸は「誰が保守するか」です。社内に開発と保守を担える体制があるならAPI、ないなら公式ConnectorやiPaaSのように手離れの良い手段が向きます。

自由度と保守負担は、ほぼ連動していると考えてください。

Q2. リアルタイム連携は必要ですか

多くの業務では、1日1回で足ります。

リアルタイムが本当に必要なのは、在庫の引き当てのように遅れが即座に業務ミスにつながる領域です。

業務ごとに「どのくらいの遅れまで許容できるか」を確認すると、対象はかなり絞られます。

Q3. iPaaSは、どれを選べばよいですか

本記事では、特定の製品の優劣は扱いません。中立の立場を保つためです。

選定の観点としては、つなぎたい両方のシステムに対応しているか、そして国内でのサポートを受けられるかを先に確認してください。ここで多くの候補が絞れます。

Q4. 連携の費用はどのくらいかかりますか

手段によって性質が違うため、一律にはお答えできません。

CSVはほぼ費用がかからず、iPaaSは月額の利用料、API連携は開発費と継続的な保守費がかかります。

比較するときは、初期費用だけでなく5年分で見てください。 保守費の差が、そこで効いてきます。

Q5. 将来つなぐ予定のシステムも、いま考慮すべきですか

大枠の方針だけ決めておけば十分です。

「正データは基幹側」という原則を最初に置いておけば、あとから増えても設計は破綻しません。逆に、具体的な設計まで先回りすると、たいてい要件が変わって無駄になります。

まとめ:連携は目的ではなく手段

ここまで、5つの手段と、選ぶ前に決めるべき3つを見てきました。

最後に、いちばんお伝えしたいことを書きます。

連携は、つなぐことが目的ではありません。

二重入力をなくしたい。数字を早く出したい。転記ミスを減らしたい。解きたい課題があって、その手段としてつなぎます。

だから、手段の比較から検討を始めると迷います。目的が決まっていなければ、比べる基準そのものがないからです。

順序はこうです。痛点を1つ決める → 正データ・リアルタイム性・保守の担い手を決める → 手段を選ぶ。

この順序を守れば、どのサービスが相手でも設計は破綻しません。そして最初の1本が動けば、次はずっと楽になります。

ただし、どこを正データにするかは、システムの話ではありません。どの部門が何に責任を持つかという、組織の話です。だからこれは経営の判断になります。

その線引きから一緒に考えさせてください。いまは急ぐ必要がないと判断したときには、そのようにお伝えします。

もう少し詳しく知りたい方へ

  • 実際の画面を見ながら相談したい方へ:NetSuiteの無料デモ・個別相談
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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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