NetSuiteのアップグレード準備|リリースノートの読み方と3週間前の手順

作業のために確保される時間は4時間。

ところが、多くは60分以内に終わります(出典:Oracle NetSuite公式ヘルプ、2026年9月確認)。

それでも、アップグレードのたびに慌てる会社は少なくありません。

NetSuiteのアップグレードとは、年に2回提供される新しいバージョンに、アカウントが順番に切り替わることです。

断ることはできません。

毎回焦るのは、作業が難しいからではなく、手順が決まっていないからです。

「気づいたら来週だった」

「リリースノートが長すぎて、どこを読めばいいか分からない」

「前回どうやって確認したか、誰も覚えていない」

どれも、予定日から逆算した手順を一度決めれば防げます。

では、何週間前に、誰が、何をすればよいのか。

事実はOracleの公式ヘルプから取りました。

段取りの区切り方は、NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットの推奨です。

この記事で分かること

  1. アップグレードについて、押さえておくべき公式の事実
  2. リリースノートを「全部読まない」読み方
  3. 予定日の3週間前から当日後までの手順
  4. よくある3つの失敗と、その避け方
  5. AIに任せられる作業と、人が決める作業
目次

まず押さえておきたい、アップグレードの事実

年2回、全員に順番にやってくる

バージョンは「2026.1」「2026.2」のように、年と上期・下期で呼ばれます。

仕組みの全体像は、NetSuiteのバージョンアップ(年2回リリース)への備え方で解説しています。

あちらは「仕組みと、何を検証するか」の記事です。

こちらは「毎回、いつ・誰が・何をするか」という運用の手順を扱います。

公式の説明で分かっていること

Oracleの公式ヘルプには、次のことが書かれています。

項目公式の説明
予定日の確認場所ホーム画面の「New Release」ポートレットで確認する
通知自動のメールとアカウント内の通知が、管理者に送られる
作業時間4時間が確保されているが、多くは60分以内に終わる
サンドボックス本番のアップグレード後、7日以内にアップグレードされる
日程の変更サービスの契約の種類にかかわらず、「Customer-Scheduled Maintenance」の画面で変更できる
事前の確認リリースプレビューを申し込み、重要な業務を新しいバージョンで試すことが勧められている

サンドボックスは、本番の設定やデータをコピーした、常設のテスト環境です。

詳しくはNetSuiteのサンドボックスとはをご覧ください。

通知は「管理者」にしか届かない

見落とされやすいのが、通知の宛先です。

予定日の通知は、管理者の役割を持つ人に届きます。

管理者が1人で、しかも兼務なら、通知は埋もれがちです。

「気づいたら来週だった」の多くは、ここから始まります。

最初に決めるのは、通知を受けた人が誰に何を渡すかです。

毎回焦る会社と、焦らない会社の違い

同じNetSuiteでも、アップグレードの迎え方は会社によって大きく違います。

観点毎回焦る会社焦らない会社
予定日の把握通知に気づいた人だけが知っている社内の予定表に入っている
リリースノート全部読もうとして、読み切れない自社に関係する分類だけ読む
テストその都度、思いついた操作をする前回のテスト表を使い回す
担当管理者が1人で抱える業務ごとにテストする人が決まっている
記録残っていない次回に引き継ぐメモがある
AIとの親和性低い(毎回ゼロから考え、AIに渡す材料がない)高い(前回のテスト表と影響表を、AIの下書きの材料にできる)

右の列の会社は、特別な技術を持っているわけではありません。

同じ手順を、毎回くり返しているだけです。

年2回だからこそ、手順を型にする価値があります。

リリースノートは「全部読まない」

リリースノートとは

リリースノートは、新しいバージョンで何が追加され、何が変わるかをまとめた公式の文書です。

NetSuiteのヘルプセンターで公開されています。

たとえば2026.2のリリースノートは、20を超える分類に分かれています。

会計、在庫、製造、連携、認証など、分野ごとの見出しがあります。

すべてを読む必要はありません。

読む前に知っておきたい3つの注意

公式のリリースノートには、次の注意書きがあります。

  • 毎週変わることがある:一度読んで終わりにせず、直前にもう一度読む
  • アップグレードされるまで使えない:新しい機能は、自社のアカウントが切り替わってから使える
  • 契約によっては使えない機能もある:追加の購入が必要な機能も含まれる

とくに1つ目は見落とせません。

早めに読んだ内容が、直前に変わっていることがあるからです。

3つのステップで読む

ベンチャーネットは、次の3つのステップで読むことをおすすめしています。

ステップ1:自社に関係する分類だけを選ぶ

使っている機能に関係する分類だけに印をつけます。

使っていない機能の分類は、読み飛ばして構いません。

ステップ2:「増える」と「変わる」を分ける

新しく増える機能は、あとで試せば間に合います。

急ぐのは、いまの動きが変わるものです。

認証、連携、全体の告知(General Notices)の分類は、毎回必ず目を通します。

ステップ3:影響を1枚の表に落とす

読んだ結果を、次のような表にまとめます。

分類変わること(要約)自社への影響担当・テスト
例:認証連携の認証方式の変更外部の連携に影響あり連携の担当者・試す
例:在庫画面の項目の追加影響は小さい在庫の担当者・試さない

この表が、次の章のテストの出発点です。

そして、次回のアップグレードで最初に開く資料にもなります。

3つのステップを図にすると、次のとおりです。

リリースノートを読む3つのステップ 自社に関係する分類だけを選び、新しく増える機能と、いまの動きが変わるものに分ける。急ぐのは変わるもので、認証・連携・全体の告知は毎回読む。結果は影響表に落とす。 リリースノートの読み分け 1 関係する分類だけ選ぶ 使っていない機能の分類は読み飛ばす 2 「増える」と「変わる」を分ける 増える=あとで 新しく増える機能 あとで試せば 間に合う 変わる=急ぐ いまの動きが変わる 認証・連携・告知は 毎回必ず読む 3 影響を1枚の表に落とす テストの出発点、次回の最初の資料
リリースノートを読む3つのステップ

予定日から逆算する手順(3週間前〜当日後)

区切りは、ベンチャーネットの推奨

「3週間前・2週間前・1週間前」という区切りは、Oracleの決まりではありません。

公式の説明にある所要日数や注意点をもとに、ベンチャーネットが無理のない段取りとして組んだものです。

予定日が3週間を切ってから分かった場合は、テストの範囲を絞り、同じ順番で進めます。

予定日から逆算するアップグレードの手順 予定日が分かったら予定表と担当、3週間前にリリースプレビューの申し込みと影響表、2週間前にテスト、1週間前に判定と周知、当日は定期処理を止めて戻し、当日後に記録を残す。区切りはベンチャーネットの推奨。 予定日から逆算する手順 予定日が分かったら 予定表に入れ、担当を決める 3週間前 プレビューを申し込み、影響表を作る 2週間前 リリースプレビューでテストする 1週間前 判定して知らせる。日程も見直す 前日〜当日 定期処理を止め、終わったら戻す 当日後 主要な業務を通し、記録を残す 区切りはベンチャーネットの推奨
予定日から逆算するアップグレードの手順

全体の流れ

時期やること根拠になる公式の説明
予定日が分かったら予定日を社内の予定表に入れ、担当を決める予定日はNew Releaseポートレットで確認
3週間前リリースプレビューを申し込む。リリースノートの影響表をつくる作成に5〜7日ほどかかる
2週間前リリースプレビューでテストする14日間ログインがないと削除される
1週間前結果を判定し、関係者に知らせる。必要なら日程を変更する日程は専用の画面で変更できる
前日〜当日定期的に動く処理を止め、終わったら戻す本番の切り替え前に止め、完了後に戻すよう案内されている
当日後主要な業務を通し、記録を残す完了は管理者にメールで通知される

予定日が分かったら:予定表に入れ、担当を決める

最初の作業は、とても地味です。

予定日を社内の予定表に入れること。

あわせて、次の2つを決めます。

  • リリースノートを読む人
  • 業務ごとにテストする人(会計、販売、在庫など)

前回のテスト表と影響表があれば、ここで取り出しておきます。

3週間前:リリースプレビューを申し込む

リリースプレビューは、次のバージョンを本番より先に試せる、期間限定のテスト用アカウントです。

年に2回、各リリースの直前に提供されます。

公式の説明は、次のとおりです。

  • 管理者が「設定 > 会社 > リリースプレビュー」から申し込む
  • 申し込んでから、作成まで5〜7日ほどかかる
  • 本番のデータのバックアップをもとに作られる
  • サンドボックスから申し込めば、そのサンドボックスをもとに作れる
  • リリースプレビューで行った操作は、本番には影響しない

作成に1週間近くかかります。

3週間前に申し込めば、2週間前からテストに入れる計算です。

この時期に、もう1つ決めておく設定があります。

テスト環境からのメールの送り先です。

サンドボックスとリリースプレビューのメールは、次の3つから選べます。

設定内容
指定した宛先に送る決めたアドレスにだけ届く(テストでの利用が勧められている)
ログイン中の人に送る操作している人に届く(例外あり)
送らないメールを送らない

パスワードの再設定など、安全に関わるメールは、この設定にかかわらず本人に届きます。

2週間前:リリースプレビューでテストする

公式の説明では、リリースプレビューの目的は新機能を試すことではありません。

自社のふだんの業務が、問題なく動くかを見ることです。

Oracleは、テスト計画のひな形(Excel)も公開しています。

前回のテスト表がない会社は、ここから始めると手間が省けます。

テストで気をつけたい点を、公式の説明からまとめます。

気をつけること公式の説明
放置すると消える14日間続けてログインがないと、削除される
保存検索は止まっている自動のメールを減らすため、初期状態では無効になっている
連携の鍵はコピーされないトークン認証を試すには、リリースプレビューで作り直す必要がある
コピーされないものがあるシステムノート、ワークフローの履歴、顧客センターの役割など
動きが遅いことがある最初の数回は遅く、くり返すと速くなる

トークン認証は、外部のシステムがNetSuiteに接続するときに使う「鍵」の仕組みの一つです。

連携をテストするなら、鍵の作り直しを段取りに入れておきます。

何を検証するかの観点は、バージョンアップへの備え方の「何を検証すべきか」にまとめています。

1週間前:判定し、知らせる

テストの結果から、次のどれかを判定します。

  • 問題なし:予定どおり進める
  • 回避策あり:当日までに手順を変える
  • 問題あり:NetSuiteのサポートに報告する

判定の結果は、テストしなかった部署にも短く知らせます。

「当日は数時間止まる可能性がある」「この画面の項目が変わる」程度で十分です。

予定日がどうしても合わないなら、日程を変える方法があります。

管理者などの権限を持つ人が、「Customer-Scheduled Maintenance」の画面で変更します。

画面で選べない日にしたい場合は、所定の期限までに、理由を添えてサポートへ依頼します。

サンドボックスの更新(本番からのコピーのし直し)は、予定日の近くでは避けます。

アップグレードの開始までに終わらないと、更新は失敗するとされているからです。

予定日まで72時間を切っていれば、アップグレードが終わるまで待つよう案内されています。

前日〜当日:定期的に動く処理を止め、戻す

本番で定期的に動く処理は、アップグレードの前に止めるよう案内されています。

そして、終わったら再び動かします。

止める処理は、3週間前の時点で一覧にしておきます。

当日に慌てて探すと、漏れが出ます。

当日後:業務を通し、記録を残す

アップグレードが終わると、管理者にメールで通知が届きます。

その後にやることは4つです。

  • 止めていた処理が再開しているかを見る
  • 主要な業務(受注、請求、入金など)を1件ずつ通してみる
  • 7日以内に切り替わるサンドボックスで、開発中のものが動くかを試す
  • 気づいたことを、影響表とテスト表に書き足す

最後の記録が、次回の3週間前の作業を大きく減らします。

3週間前チェックリスト

3週間前にやることを、1枚にまとめました。

#確認すること担当
1予定日を社内の予定表に入れたか管理者
2リリースプレビューを申し込んだか管理者
3テスト環境のメールの送り先を設定したか管理者
4リリースノートの影響表をつくり始めたかリリースノートを読む人
5業務ごとのテスト担当を決めたか各部署の責任者
6前回のテスト表を取り出したか管理者
7外部の連携の一覧と、鍵の作り直しの段取りはあるか連携の担当者
8当日に止める定期処理の一覧をつくったか管理者

8項目すべてに「はい」と言えれば、残りの手順はほぼ決まった流れで進みます。

2027.1は、とくに「認証」の分類を見る

どの分類が重要かは、回ごとに変わります。

2027.1では、認証の分類がとくに重要になります。

NetSuite認証の「2027年問題」で解説しているとおり、2027.1では外部との連携の認証方式に大きな変更が予定されています。

認証の変更は、画面の変化と違って目に見えません。

連携が静かに止まり、気づくのは業務が動かなくなってから、ということも起こりえます。

2027.1では、チェックリストの7番をいつも以上に丁寧に行ってください。

そもそも移行が必要かどうかは、アップグレードの時期より前に判断しておく必要があります。

画面や使い方の大きな変化も、リリースごとに届きます。

新しい画面やAIの機能は、NetSuite Nextとはで扱っています。

AIに任せられること、人が決めること

リリースノートの読み込みやテスト表の作成は、生成AI(文章や表を自動でつくるAI)と相性のよい作業です。

作業AIに任せやすいこと人が行うこと
リリースノート選んだ分類の要約、日本語での下書き自社に関係するかの判断
影響表前回の表と今回の要約を並べた下書き影響の大きさの判定
テスト表前回の表をもとにした手順の下書き実際の操作と、結果の判定
社内への周知知らせる文面の下書き誰に何を知らせるかの判断
記録テスト結果のまとめ次回に残すことの選別

リリースノートは英語が中心です。

AIに要約させると、読む時間は短くなります。

ただし、要約は原文と照らし合わせてから使います。

認証や連携の分類は、言葉一つの違いで意味が変わるからです。

リリースノートは毎週変わることもあるため、直前にもう一度原文を読みます。

スクリプトの一覧から確認表を下書きさせる

年2回、確認する項目を毎回ゼロから洗い出す。

この手間は、AIに下書きを任せると減らせます。

渡すのは、自社のスクリプト(独自に追加した処理)の一覧です。

気をつけたい点が1つあります。

予定スクリプト(決まった時刻に動く処理)は、リリースプレビューでは自動で実行されません(出典:Oracle NetSuite公式ヘルプ、2026年9月確認)。

この注意を、頼み方に入れておきます。

頼み方の例です。

「このスクリプト一覧から、リリースプレビューでの確認表を作ってください。予定スクリプトは自動実行されないので手動で試す、という注意も入れてください」

3本のスクリプトを渡した結果は、次のとおりです(サンプルは架空です)。

スクリプトの中身種類確認のしかた注意
請求書の保存時に税区分を点検ユーザーイベントレコードを保存して動きを見る保存時の処理を見る
毎朝、売掛残高をメールで送る予定デプロイの画面から手動で実行し、結果を見る予定どおりには実行されない
受注の入力時に単価を点検クライアント受注の画面で入力して動きを見る画面の操作で見る

表に載るのは、渡した一覧にあるものだけです。

漏れているカスタマイズがないかは、担当者が一覧と照らし合わせます。

AIは下書きまで。確認の結果を判定するのは人です。

この表は、第4章の2週間前のテストでそのまま使えます。

よくある3つの失敗

3つの失敗と避け方を図にすると、次のとおりです。

アップグレードでよくある3つの失敗と避け方 リリースプレビューが消える、メールが心配でテストが止まる、止めた定期処理を再開し忘れる、の3つの失敗と、それぞれの避け方。 よくある3つの失敗と避け方 ① プレビューが使わないうちに消えた 回避:申し込むときにテストの日も予定表へ ② 取引先へのメールが心配で止まる 回避:3週間前にメールの送り先を設定する ③ 止めた処理を再開し忘れる 回避:一覧に「再開した人・時刻」欄を作る 止めるだけでなく、戻すところまでを手順に
アップグレードでよくある3つの失敗と避け方

失敗①:リリースプレビューが、使わないうちに消えた

現象

早めに申し込み、アカウントもできた。

けれども忙しくて、誰もログインしないまま日が過ぎます。

テストしようとしたときには、もう使えなくなっていました。

原因

リリースプレビューは、14日間続けてログインがないと削除されます。

申し込む日だけ決めて、テストする日を決めていなかったのです。

回避

申し込むときに、テストの日も予定表に入れます。

担当者が複数いるなら、少なくとも週に1回は誰かがログインするよう決めておきます。

失敗②:取引先にメールが届く心配で、手が止まる

現象

請求書の送付や承認のテストに入ったところで、手が止まる。

「取引先にメールが届いてしまわないか」という不安が消えないからです。

結局、メールが絡む業務はテストされないまま当日を迎えます。

原因

テスト環境のメールの送り先を、確かめていなかったことです。

設定が分からないと、試すこと自体が怖くなります。

回避

3週間前に、送り先を「指定した宛先に送る」などに設定しておきます。

テストの担当者には、どこにメールが届くかを伝えます。

安全に関わるメールは設定にかかわらず本人に届くことも、あわせて伝えます。

失敗③:止めた処理を、再開し忘れる

現象

アップグレードは無事に終わった。

ところが数日後、「毎晩の連携データが届いていない」と気づきます。

当日に止めた定期処理が、止まったままでした。

原因

止める作業だけが手順にあり、戻す作業が手順になかったのです。

無事に終わった安心感で、確認が抜けました。

回避

止める処理の一覧に、「再開した人・再開した時刻」の欄をつくります。

当日後の最初の項目を、「止めた処理が全部動いているか」にします。

この手順が向く会社、簡単でよい会社

手順を型にしたほうがよい会社

  • 外部のシステムとの連携がある
  • 独自の画面や処理(カスタマイズ)を追加している
  • 管理者が1人で、兼務している

こうした会社ほど、アップグレードの影響を受けやすく、準備が属人化しやすいからです。

簡単な手順でよい会社(やらない選択肢)

標準の機能だけを使い、外部の連携もない会社もあります。

その場合、ここまでの手順をすべて行う必要はありません。

  • 予定日を予定表に入れる
  • リリースノートの全体の告知だけを読む
  • 当日後に主要な業務を1件ずつ通す

この3つだけでも、「気づいたら来週だった」は防げます。

手順の重さは、自社の使い方に合わせて調整してください。

ベンチャーネットならこう見る

「自社の環境で検証してから入れる」をリリースごとに回す

ベンチャーネットは、Oracleのベストプラクティスも、自社の環境で検証してから入れる進め方をとっています。

リリースごとの新機能も同じです。

リリースノートに載ったからといって、すぐ本番で使い始めることはしません。

  • 影響表で「変わる」と判定したもの → リリースプレビューで、いまの業務が動くかを試す
  • 「増える」と判定した新機能 → 切り替え後にサンドボックスで試し、使うかどうかを決める
  • 使わないと決めた新機能 → 理由を影響表に書き、次回にもう一度見る

役割の分け方も、はっきりさせておきます。

製品そのものの不具合は、日本オラクルの製品サポートが受け持ちます。

自社の設定・カスタマイズ・連携への影響を調べて直すのは、保守を担うパートナーの仕事です。

テストで「問題あり」が出たときに、どちらへ連絡するかを先に決めておくと、1週間前の判定で迷いません。

アップグレードを「守り→攻め→次へ」の点検に使う

定着の先の3段階:守り→攻め→次へ 守りは業務が回ること、攻めはデータで打つこと、次へは経営が変わること。 定着の先の3段階守り|業務が回る在庫・販売・会計を1つにし、日々の業務を安定させる攻め|データで打つ売れ筋・在庫の分析、営業作業の自動化、生成AIでの集計次へ|経営が変わるKPI、管理会計、上場に向けた内部統制
定着の先の3段階:守り→攻め→次へ

稼働後のNetSuiteを、ベンチャーネットは3段で見ています。

業務が回る「守り」、データで打つ「攻め」、経営が変わる「次へ」です。

この記事の手順の大半は、守りの仕事です。

いまの業務を止めないこと。

ただ、影響表の「増える」の欄には、攻めや次への材料も並びます。

年2回、影響表を開くたびに「この新機能で、次の段に進めないか」を1行だけ書き足す。

それだけで、アップグレードは負担から点検の機会に変わります。

よくある質問

Q1. アップグレードを断ったり、先送りしたりできますか

断ることはできません。

全員のアカウントが順番に切り替わります。

ただし、日程は「Customer-Scheduled Maintenance」の画面から変更できます。

変えられるのは日程であって、アップグレードそのものは避けられません。

Q2. リリースプレビューは有料ですか

バージョンアップへの備え方で解説しているとおり、追加の費用なく利用できます。

申し込みは、管理者の役割を持つ人が行います。

Q3. リリースノートは英語しかありませんか

NetSuiteのヘルプセンターには、翻訳版のリリースノートも用意されています。

ただし、英語版は毎週変わることがあります。

重要な分類は、英語版の最新の内容も読むのが安全です。

要約にはAIも使えますが、原文と照らし合わせてから使ってください。

Q4. サンドボックスがあれば、リリースプレビューは不要ですか

役割が違います。

サンドボックスは、いまのバージョンで開発やテストをする常設の環境です。

リリースプレビューは、次のバージョンを先に試すための期間限定の環境です。

次のバージョンでの動きを見るには、リリースプレビューを使います。

Q5. アップグレード中は、どのくらい使えなくなりますか

公式の説明では、作業のために4時間が確保されています。

ただし、多くは60分以内に終わるとされています。

止まる可能性がある時間帯は、事前に社内へ知らせておきます。

Q6. リリースプレビューの確認表はAIで作れますか

スクリプトの一覧を渡せば、下書きは作れます。

予定スクリプトは自動で実行されないため、手動で試す注意も頼み方に入れます。

漏れの確認と結果の判定は人が行います(第7章)。

まとめ

  • アップグレードは年2回、止められない。毎回焦るのは手順が決まっていないから
  • 予定日の通知は管理者に届く。最初に決めるのは、通知を受けた人が誰に何を渡すか
  • リリースノートは全部読まない。関係する分類だけを選び、影響表に落とす
  • 3週間前にリリースプレビューを申し込み、2週間前からテスト、1週間前に判定する
  • 定期処理は止めるだけでなく、戻すところまでを手順にする
  • 記録を残せば、次回の準備は軽くなる

4時間の枠に、60分の作業。

慌てる理由は、作業の中ではなく、その前の3週間にあります。

次の予定日を「New Release」ポートレットで開き、まず社内の予定表に入れてください。

同じ手順をくり返せる会社にとって、年2回の新しいバージョンは、NetSuiteを使い続ける理由の一つになります。

出典(2026年9月23日確認)

  • Oracle NetSuite Help Center「NetSuite Version Upgrade Maintenance」:https://docs.oracle.com/en/cloud/saas/netsuite/ns-online-help/article_1120120832.html
  • Oracle NetSuite Help Center「Overview of Release Preview」:https://docs.oracle.com/en/cloud/saas/netsuite/ns-online-help/section_4471776042.html
  • Oracle NetSuite Help Center「The Release Preview Account」:https://docs.oracle.com/en/cloud/saas/netsuite/ns-online-help/subsect_1121105228.html
  • Oracle NetSuite Help Center「Preparing for Testing」:https://docs.oracle.com/en/cloud/saas/netsuite/ns-online-help/section_4471778785.html
  • Oracle NetSuite Help Center「Data That Is Not Copied from Production to Release Preview」:https://docs.oracle.com/en/cloud/saas/netsuite/ns-online-help/section_1549916016.html
  • Oracle NetSuite Help Center「Sandbox and Release Preview Email Preferences」:https://docs.oracle.com/en/cloud/saas/netsuite/ns-online-help/bridgehead_4369903537.html
  • Oracle NetSuite Help Center「Scheduled Version Upgrade Dates and Refresh Requests」:https://docs.oracle.com/en/cloud/saas/netsuite/ns-online-help/subsect_162577313831.html
  • Oracle NetSuite Help Center「Customer-Scheduled Maintenance」:https://docs.oracle.com/en/cloud/saas/netsuite/ns-online-help/section_159129486361.html
  • Oracle NetSuite Help Center「NetSuite 2026.2 Release Notes」:https://docs.oracle.com/en/cloud/saas/netsuite/ns-online-help/article_72152418635.html

もう少し詳しく知りたい方へ

リリースごとに影響を調べ、テストの段取りを組む作業を、導入後の保守として一緒に進めます。

ベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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