NetSuiteの操作は難しい?学習コストの実像と、社内に定着させる進め方

NetSuite(ネットスイート:会社の業務データを一つにまとめて管理するクラウド型ERP)の導入を考えるとき、多くの方がこう感じます。

「機能は良さそうだけれど、操作が難しそう」「うちの社員が使いこなせるだろうか」「定着しなかったら、投資が無駄になる」。

このためらいは、とても自然なものです。

ただ、結論からお伝えすると、学習コストは「会社の進め方」で大きく変えられます。難しいかどうかは、ツールの性能だけでは決まりません。

この記事では、NetSuiteの学習コストの実像と、社内に定着させるための具体的な進め方をお伝えします。

📌 この記事で分かること

  • 「NetSuiteは難しい」と言われる理由と、実際のところ
  • 学習コストの全体像(誰が・何を・どれくらい学ぶか)
  • 新しい画面「Redwood UI」で操作がどう変わるか
  • 社内に定着させるステップと、つまずきやすい失敗パターン

読了目安:約8分

目次

NetSuiteは本当に「難しい」のか?

「NetSuiteは難しい」という声には、理由があります。まずはその正体を整理しましょう。

NetSuiteが難しく感じられる主な理由は、次の3つです。

  • 多機能であること:会計・販売・在庫・顧客管理などを1つで扱うため、画面や項目が多い
  • 世界標準の設計であること:日本の慣習とは異なる考え方が前提になっている部分がある
  • これまでの画面が玄人向けだったこと:項目が密集し、初めての人には情報量が多かった

裏を返すと、これらは「最初に全部を理解しようとするから難しく感じる」という構造です。

実際のところ、一人の社員が使うのは、自分の仕事に関わるごく一部の機能だけです。経理担当者が在庫管理の全機能を覚える必要はありません。

ベンチャーネットは、学習コストを「実際より安く」見せることはしません。難しい部分は、正直にお伝えします。

そのうえで申し上げたいのは、「全部を一度に」ではなく「必要なところから」進めれば、難しさは大きく下がるということです。

学習コストの全体像 ── 誰が・何を・どれくらい学ぶか

学習コストは「会社全体で1つ」ではありません。役割ごとに、学ぶ内容も量も違います。

ここを分けて考えると、「思っていたより現実的だ」と感じられるはずです。

役割別の学習範囲を整理すると、次のようになります。

  • 現場の利用者(経理・営業・在庫担当など):自分の業務で使う入力・確認の操作。範囲は限定的
  • 社内の管理担当(一人情シスなど):ユーザー設定や基本的な調整。やや広い
  • 経営層:ダッシュボードで数字を「見る」操作が中心。負担は小さい

つまり、全社員が同じだけ学ぶ必要はありません。

特に経営層の操作は、「見たい数字を画面で確認する」が中心です。複雑な設定を覚える必要はほとんどありません。

学習コストを見積もるときは、「会社全体でどれくらい大変か」ではなく、「それぞれの役割で、何を覚えれば仕事が回るか」で考えるのがおすすめです。

Redwood UI(新しい画面)で学習コストはどう変わるか

NetSuiteは画面デザインを刷新しており、学習のしやすさが変わりつつあります。新しい画面「Redwood UI」について整理します。

Redwood UI(レッドウッド:Oracleが全製品で進める新しい画面デザイン)は、従来の画面を現代的に作り替えたものです。

これまでのNetSuiteの画面は、機能は強力でした。ただ項目が密集し、初めての人には学習の負担が大きいものでした(出典:Houseblend「NetSuite Redwood UI Migration Guide」)。

Redwood UIでは、次のような改善が図られています。

  • 画面の一貫性:会計・CRM・在庫など、どの機能でも操作感が揃い、覚えた操作が他の場所でも活きる(出典:Houseblend / Oracle)
  • 見た目の整理:余白が増え、画面の情報量が整理され、スマホアプリに近い感覚で扱える
  • 役割別の画面:チームや部署ごとに、必要な情報だけを表示する画面に調整できる

こうした変化により、初めて触れる人の学習の負担が下がることが期待されています。

なお、自然言語(普段の言葉)でデータを検索・操作できる「Ask Oracle」という機能も発表されていますが、現時点では日本では未対応です。日本での提供状況は順次変わる可能性があるため、本記事は定期的に情報を更新します。最新の対応状況はお問い合わせください。

画面の変更点や移行の影響について詳しくは、別記事で解説しています。[内部リンク:NetSuite Redwood UI解説(netsuite-redwood-ui)=公開準備中・要URL確認]

学習を助ける公式リソース

NetSuiteには、学習を支える公式の仕組みがあります。社内研修と組み合わせると、定着が早まります。

代表的な公式リソースは次の通りです。

  • SuiteAnswers:操作方法やトラブル対応を調べられる公式のナレッジベース(疑問の自己解決に役立つ) [要仕様確認]
  • Learning Cloud Support(LCS):体系的に学べる公式のトレーニングプログラム [要仕様確認]
  • ヘルプセンター:画面上から機能ごとの説明を確認できる [要仕様確認]

これらは「困ったときに調べる場所」として機能します。

ただし、公式リソースだけに頼ると、自社の業務に合わせた使い方までは分かりません。

公式リソースで基本を押さえ、自社固有の運用は社内マニュアルや導入パートナーの支援で補う。この組み合わせが現実的です。

社内に定着させる進め方(ステップ)

ここからが本題です。NetSuiteを「使われるシステム」にするための、定着の進め方をお伝えします。

定着は、次の4ステップで進めると無理がありません。

ステップ1:一つの領域からスモールスタートする

最初から全機能を使おうとせず、会計や販売管理など、一つの領域から始めます。

範囲を絞ると、覚えることが減り、現場の心理的なハードルも下がります。

ステップ2:役割別の研修と質問導線を用意する

全員に同じ研修をするのではなく、役割ごとに必要な操作だけを教えます。

あわせて「困ったら誰に聞くか」を最初に決めておきます。質問先が明確だと、つまずきが放置されません。

ステップ3:社内マニュアルで操作を標準化する

自社の業務に合わせた操作手順を、簡単でよいので文書に残します。

これにより、特定の人しか分からない状態(属人化)を防げます。担当者が変わっても運用が止まりません。

ステップ4:定着度を見ながら範囲を広げる

現場の習熟を確認しながら、扱う機能や部門を少しずつ広げていきます。

「動かしながら、慣れに合わせて広げる」。これが、結果的に最短の定着ルートになります。

定着する会社/しない会社の違い

同じNetSuiteでも、定着する会社としない会社があります。その違いは、進め方に表れます。

観点定着する会社定着しない会社
導入範囲一つの領域からスモールスタート全機能を一斉に稼働
教育役割別の研修+質問導線あり現場任せ
運用体制複数名・操作を標準化特定の人に属人化
改善定着まで伴走相手がいる導入後は放置
進め方まず回して、磨いていく完璧を待って動かない

この表を見て、「うちは右側に近いかも」と感じても、心配はいりません。

進め方は、いつからでも変えられます。次の章で、特につまずきやすいパターンを具体的に見ていきます。

定着でつまずく失敗パターン4つ

NetSuiteは、導入そのものより「定着」でつまずく会社が少なくありません。

ここでは、ベンチャーネットが現場で見てきた、定着が進まない4つのパターンと回避策をお伝えします。

これは、NetSuiteを売り込みたいからではありません。せっかく入れたシステムを「使われないまま」にしてほしくないからです。

ベンチャーネットは、お客様と対等な立場で伴走することを大切にしています。学習コストを安く見せたりはしません。正直にお伝えしたうえで、一緒に乗り越える方法を考えます。

パターン①:研修を省いて「触れば慣れる」で済ませる

よくある現象

  • マニュアルを用意せず、現場任せにしている
  • キックオフの説明会だけで、あとは放置
  • 「困ったら誰に聞くか」が決まっていない

なぜ失敗するか

NetSuiteは多機能なシステムです。手探りで使うと、自己流の操作が定着します。

一度ついた自己流は直しにくく、誤った入力や非効率な手順がそのまま固定化します。

どう回避するか

最初に「役割別の最小限の研修」と「質問できる窓口」を用意します。

全機能を覚える必要はありません。経理は経理の、営業は営業の、自分の仕事に必要な操作から始めれば十分です。

パターン②:一部の人だけが使えて属人化する

よくある現象

  • 「あの設定はあの人しか分からない」状態
  • 担当者の異動・退職で、運用が止まる
  • 設定変更を頼める人が社内にいない

なぜ失敗するか

知識が特定の個人に閉じると、その人がいなくなった瞬間に運用が空洞化します。

これは学習コストの問題というより、「知識を組織に残す仕組み」がない問題です。

どう回避するか

操作手順を標準化し、社内マニュアルとして残します。担当は最低2名置くと安心です。

属人化を防ぐ具体的な進め方は、別記事でも解説しています。[内部リンク:NetSuiteの使い方・操作マニュアル(netsuite-manual)=公開準備中・要URL確認]

パターン③:最初から全機能・全部門で完璧を目指す(最も多い)

よくある現象

  • 全モジュールを一斉に稼働させようとする
  • 全部門で同時に切り替えようとする
  • 設計を固めきるまで動き出さない

なぜ失敗するか

一度に多くを変えると、現場の学習負荷が一気に跳ね上がります。

混乱が起きると「やっぱり使いにくい」という評価が先に固定化します。本来の良さが伝わる前に、定着の機会を失うのです。

どう回避するか

ベンチャーネットが大切にしているのは、「完璧を目指すより、まず回す」という考え方です。

まずは会計や販売管理など、一つの領域から始める。動かしながら、現場の習熟に合わせて広げていく。これが結果的に、最短の定着ルートになります。

パターン④:定着まで自社だけで抱え込む

よくある現象

  • 導入が終わると、サポート契約を切ってしまう
  • つまずいても、社内だけで抱え込む
  • 改善の手が止まり、使い方が広がらない

なぜ失敗するか

定着は、導入して終わりではありません。法改正や業務変化のたびに、調整が必要になります。

伴走する相手がいないと、つまずいた時に立ち止まり、いつの間にか使われなくなります。

どう回避するか

ベンチャーネットは、「導入して終わり」ではなく「定着まで一緒に」を基本姿勢にしています。

つまずきやすいポイントを先回りで共有し、御社のペースに合わせて伴走します。

これら4つに共通するのは、「学習コストを“個人の頑張り”だけに任せている」ことです。

学習コストは、会社の進め方しだいで大きく下げられます。

よくある質問(FAQ)

Q1. NetSuiteの操作習得には、どれくらいかかりますか?

役割によって異なりますが、自分の業務に必要な操作であれば、短期間で扱えるようになります。

経理・営業などの現場利用者は、使う機能が限られるため、習得の範囲は限定的です。一方、社内で設定を担う管理者は、やや広い範囲を学ぶ必要があります。「全社員が全機能を覚える」と考えると過大になりますが、役割別に分ければ現実的な負担に収まります。

Q2. 英語が苦手でも使えますか?

はい。NetSuiteは日本語の画面に対応しており、日常の操作は日本語で行えます。

ただし、最新の一部機能(自然言語で操作する「Ask Oracle」など)は、現時点で日本では未対応です。日本語で使える範囲は順次広がっているため、導入時点での対応状況を確認することをおすすめします。

Q3. Redwood UI(新しい画面)になると、操作は楽になりますか?

楽になることが期待されています。

新しい画面は、機能ごとの操作感を揃え、画面の情報量を整理しています。これにより、覚えた操作が他の場所でも活きやすく、初めての人の学習負担が下がるとされています(出典:Houseblend / Oracle)。

Q4. 定着しなかった場合は、どうすればいいですか?

定着が進まない場合でも、進め方を見直せば改善できます。

多くの場合、原因は「研修不足」「属人化」「範囲の広げすぎ」のいずれかです。現状を整理し、つまずいているポイントから手を入れていきます。「使いにくい」と感じている場合の改善方法は、別記事でも解説しています。[内部リンク:NetSuiteが使いにくいと感じたら(netsuite-usability-improvement)=公開準備中・要URL確認]

まとめ ── 定着は、一人で抱えなくていい

NetSuiteは「難しいシステム」ではなく、「進め方しだいで定着のしやすさが変わるシステム」です。

この記事の要点を振り返ります。

  • 学習コストは役割別に分ければ、思ったより現実的
  • 新しい画面(Redwood UI)で、学習の負担は下がりつつある
  • 定着のコツは「一つの領域から、まず回す」こと
  • つまずきの多くは「個人の頑張り任せ」から生まれる

NetSuiteの定着は、現場の頑張りだけに任せるものではありません。会社の進め方として設計するものです。

ベンチャーネットは、NetSuite認定パートナー(Solution Provider)として、導入だけでなく定着まで伴走します。

「うちの会社で本当に定着するだろうか」と感じている方は、一度ご相談ください。御社の状況をうかがいながら、無理のない進め方を一緒に考えさせてください。

▶ NetSuite導入支援サービスの詳細を見る [内部リンク:導入支援サービス詳細ページ=要URL確認]
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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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