PSI会議は、生産・販売・在庫の数字を擦り合わせ、需給のバランスを整えるための会議です。
「PSI会議を任されたが、何をどう進めればいいか分からない」。
「会議はやっているが、数字を読み上げるだけで形骸化している」。
そんな悩みを持つ方は少なくありません。
この記事では、PSI会議の基本的な進め方から、良い会議と悪い会議の違い、そしてAI時代の新しいPSI会議の姿までを解説します。
この記事で分かること
- PSI会議の進め方(流れ・アジェンダ・出席者・頻度・決めること)
- 良いPSI会議と悪いPSI会議の違い、形骸化を防ぐポイント
- データとAIで意思決定する「AI時代のPSI会議」の姿
- NetSuiteでPSI会議を運用するメリット
読了の目安:約8分
PSI会議とは|生販在(生産・販売・在庫)を擦り合わせる会議
PSI会議とは、生産・販売・在庫の計画を擦り合わせる会議のことです。
PSIは、3つの英単語の頭文字をとった言葉です。
- P:Production(生産)
- S:Sales(販売)
- I:Inventory(在庫)
日本語では「生販在計画」とも呼ばれます。
営業の販売計画、生産の供給能力、在庫の実績。
この3つを持ち寄り、需給のバランスを調整します。
目的は、欠品と過剰在庫の両方を防ぐことです。
売りたいのに在庫がない、作りすぎて在庫が余る。
こうしたズレを早めに見つけ、手を打つための会議です。
S&OPとの関係
PSIと近い言葉に「S&OP」があります。
S&OPは Sales and Operations Planning の略で、海外で広く使われる考え方です。
両者の違いは、扱う範囲にあります。
PSIは生産・販売・在庫の「数量」を擦り合わせる実務寄りの会議。
S&OPは、それを経営レベル(金額・戦略)まで広げたものです。
PSIはS&OPの土台にあたる、と捉えると分かりやすいでしょう。
なぜいまPSI会議が重要なのか
PSI会議の重要性は、近年さらに高まっています。
背景には、企業を取り巻く環境の変化があります。
需要の変動が読みにくくなっている
消費者の好みは移り変わりが速く、過去の延長で売上を見通しにくくなりました。
勘だけに頼った計画では、欠品や過剰在庫が起きやすくなっています。
原材料費・人件費が上がっている
コストが上がるなかで、過剰在庫は資金を寝かせる大きな負担になります。
在庫を適正に保つことが、これまで以上に経営を左右します。
多品種・小ロット化が進んでいる
扱う品目が増えるほど、需給のバランスは複雑になります。
部門ごとにバラバラで管理していては、全体が見えなくなります。
こうした環境では、部門を横断して数字を擦り合わせるPSI会議が、経営の要になります。
PSI会議の基本的な進め方|流れ・アジェンダ・出席者・頻度・時間
ここでは、PSI会議の基本的な進め方を整理します。
はじめて運用する方が、全体像をつかめるように解説します。
出席者|誰が参加するか
PSI会議には、需給に関わる部門が集まります。
- 営業(販売計画を持つ)
- 生産・製造(供給能力を持つ)
- 在庫・購買(在庫実績と仕入を持つ)
- 進行役・とりまとめ役(差異を調整する)
規模によっては、経営層が加わることもあります。
意思決定の権限を持つ人がいると、その場で判断が進みます。
頻度・時間|どのくらいの間隔で開くか
頻度は、月次を基本とするのが一般的です。
変動の大きい品目は、週次を併用する場合もあります。
時間は、論点を絞れば1時間前後で十分です。
だらだら続く会議より、決めることを明確にした短い会議が機能します。
流れ・アジェンダ|何を話すか
基本的な流れは、次のようになります。
- 実績の確認:前回計画に対し、実際はどうだったか
- 差異の共有:計画と実績のズレ、その原因
- 需要の見通し:これからの販売計画
- 供給の調整:生産能力・在庫とのバランス確認
- 打ち手の決定:誰が・何を・いつまでに
ポイントは、最後の「打ち手の決定」までたどり着くことです。
ここに至らない会議は、ただの報告会で終わってしまいます。
PSI会議で「決めること」
PSI会議では、3つの計画を擦り合わせて調整します。
- 販売計画:何を、いつ、どれだけ売るか
- 生産・仕入計画:それに合わせて、何をどれだけ作る・仕入れるか
- 在庫計画:その結果、在庫をどの水準に保つか
この3つは、互いに連動しています。
販売計画が決まれば、必要な生産量と在庫水準も決まります。
会議で特に重要なのが、差異が出たときの対応です。
「販売が計画を上回りそう」「供給が追いつかない」。
こうしたとき、誰がどう動くかをその場で決めます。
差異への対応ルールをあらかじめ決めておくと、会議がスムーズに進みます。
良いPSI会議と悪いPSI会議の違い
同じPSI会議でも、機能する会議と形骸化する会議があります。
その違いを整理してみましょう。
| 観点 | 悪いPSI会議 | 良いPSI会議 |
|---|---|---|
| 数字の出どころ | 部門ごとに別Excel。会議で照合作業 | 全部門が同じデータを参照 |
| 会議の中身 | 各部門が数字を読み上げる報告会 | ズレを見つけ、打ち手を決める場 |
| 意思決定 | 「来月様子を見る」で先送り | その場で誰が何をするか決まる |
| 販売計画 | ベテランの勘頼み | 過去データに基づく予測 |
| 計画の反映 | 決めても発注・製造に届かない | 計画が実行にすぐつながる |
| 頻度・サイクル | 不定期、形骸化 | 月次/週次で定着 |
形骸化するPSI会議には、共通する原因があります。
ここでは、よくある2つのパターンを見てみましょう。
パターン1:数字がバラバラで、照合作業に終わる
こんな状態になっていませんか
- 営業・生産・在庫が、それぞれ別のExcelで数字を持っている
- 会議の前半が「どの数字が正しいか」の突き合わせで終わる
- 数字が確定する頃には、すでに状況が変わっている
部門ごとにシステムが分かれていると、データの出どころが揃いません。
同じ「在庫」でも、営業が見る数字と生産が見る数字がズレる。
会議は「すり合わせ」ではなく「数字の照合作業」になってしまいます。
これを防ぐには、全部門が同じデータを参照できる状態を先に作ることです。
ベンチャーネットは、会議の前に「全部門が同じ数字を見られる土台」を整えるところから伴走します。
パターン2:会議が「報告会」になってしまう
こんな状態になっていませんか
- 各部門が順番に数字を読み上げて終わる
- 「で、結局どうする?」が決まらないまま次回へ
- 差異が出ても「来月様子を見ましょう」で先送り
PSI会議の本来の目的は、需給のズレを見つけ、次の打ち手を決めることです。
ところが、決める権限を持つ人がいない、決める基準がない。
そうなると、会議は報告会で終わってしまいます。
防ぐには、「誰が・何を・どの基準で決めるか」を会議設計の段階で決めておくことです。
ベンチャーネットは、会議の器(システム)だけでなく、意思決定が回る運用設計まで一緒に考えます。
もしPSI会議がなかったら|需給調整を放置する経営リスク
PSI会議がない、あるいは形だけの状態を放置すると、どうなるでしょうか。
需給調整は、単なる現場の作業ではありません。
放置すれば、経営そのものに影響します。
販売計画が「勘」頼みになる
こんな状態になっていませんか
- 販売計画がベテラン営業の感覚に依存している
- その人が異動・退職すると、計画精度が一気に落ちる
- 季節変動やトレンドが、計画に反映されない
需要予測は本来、過去の実績データから法則性を読み取る作業です。
ところがデータが整っていないと、人の勘で埋めるしかなくなります。
勘は属人的で、再現性も引き継ぎも効きません。
防ぐには、過去の販売データをもとに、季節変動を加味した予測ができる状態をつくることです。
ベンチャーネットは、勘の運用からデータの運用への移行を支援します。
計画が現場のアクションに届かない
こんな状態になっていませんか
- 会議で計画を立てても、発注・製造指図に反映されない
- 計画はExcel、実行は別システムで、転記が手作業
- 計画変更が現場に伝わるまでに、タイムラグがある
計画と実行が別の仕組みで動いていると、会議で決めたことが現場につながりません。
転記ミスやタイムラグが生まれ、「計画したのに欠品・過剰在庫」が起きます。
防ぐには、計画がその場で発注・製造指図に反映される状態をつくることです。
ベンチャーネットは、計画から実行までを一本でつなぐ運用を伴走します。
需給調整は「経営プロジェクト」
需給調整をうまく回せない会社は、機会損失と過剰在庫の両方を抱え込みます。
売れるはずの商品を売り逃し、売れない在庫に資金を寝かせる。
これは、IT部門だけで解決できる話ではありません。
需給調整は、部門を横断する経営プロジェクトです。
だからこそ、現場の数字合わせで終わらせず、経営の視点で捉え直す必要があります。
はじめてPSI会議を運用する手順
「PSI会議を始めたいが、何から手をつければいいか分からない」。
そう感じる方は多いものです。
最初から完璧な仕組みを目指す必要はありません。
ここでは、初めて運用する場合の進め方を4ステップで紹介します。
ステップ1|対象範囲を絞る
すべての品目をいきなり対象にしないことです。
まずは主力商品や、欠品・過剰在庫が起きやすい品目に絞ります。
拠点も、特定の倉庫や工場から始めると回しやすくなります。
ステップ2|「誰が何の数字を持つか」を決める
販売計画は営業、供給能力は生産、在庫実績は在庫管理。
このように、担当を明確にします。
役割があいまいだと、会議が数字の押し付け合いになりがちです。
ステップ3|会議のサイクルを決める
まずは月次から始めるのが現実的です。
慣れてきたら、変動の大きい品目だけ週次にするなど、頻度を調整します。
ステップ4|小さく回して、改善する
最初の数回は、うまくいかなくて当然です。
大切なのは、回しながら「何が足りないか」を見つけて直していくこと。
計画表の精度は、運用しながら少しずつ上げていけます。
PSI会議は、一度作って終わりではありません。
回し続けることで、自社に合った形に育っていきます。
AI時代のPSI会議|データとAIで意思決定する
ここまでは、従来のPSI会議の進め方を見てきました。
ここからは、その先にある「AI時代のPSI会議」の話です。
従来のPSI会議には、ひとつの限界がありました。
意思決定の多くが、担当者の勘と経験に頼っていたことです。
会議資料も、Excelで手集計するため属人化しがちでした。
AI時代のPSI会議は、ここが変わります。
営業・製造・在庫管理が、同じデータをもとに会議をする。
そこにAIのアドバイスが加わり、意思決定を後押しする。
「今月、何を、どれだけ作り、どう売るか」を、勘ではなくデータで決められます。
従来とAI時代の違い
| 観点 | 従来のPSI会議 | AI時代のPSI会議 |
|---|---|---|
| 意思決定の根拠 | 担当者の勘と経験 | データとAIのアドバイス |
| 会議資料 | Excelで手集計(属人化) | 単一データから自動で揃う |
| 需要予測 | 過去の感覚で見込む | 季節変動を加味して予測 |
| 顧客の声 | 営業の頭の中に留まる | 新商品開発に反映できる |
| リソース配分 | 問題が起きてから動く | 先手で動かせる |
| 欠品・過剰生産 | 起きやすい | 減らせる |
変わるのは、会議の中身だけではありません。
新商品開発にも、営業が現場で集めた顧客の声を反映できます。
欠品も過剰生産も減らせて、先手でリソースを動かせる。
これが、データとAIで動くPSI会議の力です。
PSI会議は本来、現場の数字合わせではありません。
「会社として、次に何をするか」を決める経営の場です。
需給調整は、IT部門だけの仕事ではなく、経営そのものに関わるテーマだといえます。
NetSuiteでPSI会議を運用するメリット
AI時代のPSI会議を実現するには、土台となる仕組みが必要です。
ここで役立つのが、クラウドERPのNetSuiteです。
ERP(Enterprise Resource Planning)とは、会計・販売・在庫・生産などの基幹業務を、ひとつのシステムで一元管理する仕組みのことです。
NetSuiteでPSI会議を運用すると、次のようなメリットがあります。
全部門が同じデータを見られる
販売・在庫・生産が、ひとつのシステムでつながります。
会議のたびに数字を照合する必要がなくなります。
「どの数字が正しいか」で時間を使わず、議論に集中できます。
会議資料が自動で揃う
Excelでの手集計が要らなくなります。
需要予測・供給計画・在庫の状況が、同じ画面で確認できます。
資料づくりの属人化が解消され、誰でも会議を回せるようになります。
需要予測で先を読める
NetSuiteの需要予測機能は、過去の実績から季節変動を加味した予測を支えます。
勘に頼らず、データに基づいた販売計画を立てられます。
計画がその場で実行につながる
NetSuiteの供給計画機能は、需要計画に基づいて、購入や製造の推奨を自動で生成します。
会議で決めた計画を、発注や製造指図にすぐ反映できます。
計画と実行のあいだのタイムラグや転記ミスが減ります。
ただし、システムを入れれば自動で会議が良くなるわけではありません。
業務を整理し、会議を設計し、定着させるまでが必要です。
ベンチャーネットは、道具の導入だけでなく、それを回す運用まで一緒に考えます。
よくある質問(FAQ)
PSI会議とS&OPは何が違いますか?
PSIは生産・販売・在庫の「数量」を擦り合わせる、実務寄りの会議です。
S&OPは、それを経営レベル(金額・戦略)まで広げたものです。
PSIはS&OPの土台にあたる、と捉えると分かりやすいでしょう。
PSI会議はどのくらいの頻度でやればいいですか?
一般的には月次が基本です。
変動の大きい事業では、週次を併用する場合もあります。
まずは月次で始め、必要に応じて頻度を上げるのが現実的です。
ExcelだけでもPSI会議はできますか?
できます。
ただし部門ごとに数字がズレやすく、集計が属人化しがちです。
規模が大きくなるほど、同じデータを全部門で見られる仕組みが効いてきます。
PSI会議を始めるのに、何から手をつければいいですか?
まず対象範囲(品目・拠点)を絞り、「誰が何の数字を持つか」を決めることから始めます。
最初から完璧を目指さず、小さく回して磨いていくのがおすすめです。
まとめ|道具と、それを回す体制を一緒に
PSI会議は、生産・販売・在庫を擦り合わせ、需給のバランスを整える会議です。
うまく回せば、欠品も過剰在庫も減らせます。
一方で、数字がバラバラだったり、報告会で終わったりすると、形骸化します。
AI時代のPSI会議では、営業・製造・在庫が同じデータをもとに、AIのアドバイスを受けながら意思決定します。
勘ではなく、データで「次に何をするか」を決められる。
これは、現場の効率化を超えて、会社の競争力に直結します。
ただし、この姿はシステムを入れただけでは実現しません。
業務を整理し、会議を設計し、定着させるまでの道のりがあります。
道具と、それを回す体制。
この両方をそろえて、はじめてPSI会議は機能します。
ベンチャーネットは、NetSuiteの導入だけでなく、業務の見える化と運用の定着まで伴走します。
「自社のPSI会議をどう変えればいいか」を一緒に考えるところから、お手伝いできます。
【AIクラウドERP NetSuiteで業務を見える化】
CIO代行として、経営の数字を見える化するNetSuiteの活用をご案内します。
▶ AIクラウドERP NetSuite(CIO代行で業務を見える化)
