「間接費を減らしたいが、どこから手をつければいいか分からない」。
そんな悩みを持つ経営者の方は少なくありません。原材料費のような直接費とは違い、間接費は費目が多く、部門をまたいで発生します。だから、つかみどころがないのです。
しかし、間接費は売上の10〜20%を占めることもあります。ここを適正化できれば、利益率の改善に直結します。
この記事では、間接費の基本から、削減を成功させる進め方までを解説します。あわせて、現場でよく見られる失敗とその回避策もお伝えします。
ポイントは、いきなり削りにいかないこと。まず「見える化」から始めることです。
この記事で分かること
- 間接費とは何か、直接費との違いと「配賦」の考え方
- 「見える化→削減→継続管理」の正しい順序と、NetSuiteでの進め方
- 間接費削減でよくある3つの失敗と、その回避策
読了時間の目安:約8分
間接費とは?直接費との違いを整理する
間接費とは、製品やサービスを生産する際に、間接的にかかる費用のことです。一般管理費、減価償却費、家賃、光熱費などが該当します。
複数の製品・サービスにまたがって発生します。そのため、どの製品にどれだけかかっているかを正確に集計するのは簡単ではありません。
間接費は、大きく材料費・労務費・経費の3つに分けられます。
- 間接材料費:消耗品費、備品費、補助材料費など
- 間接労務費:間接作業の賃金、賞与手当、退職給与費用など
- 間接経費:減価償却費、賃料、保険料、修繕費、光熱費、旅費交通費、通信費など
一方、直接費は、製品やサービスの生産に直接かかわって発生する費用です。原材料費や、直接作業者の人件費が該当します。
両者の違いを整理すると、次のようになります。
| 観点 | 直接費 | 間接費 |
|---|---|---|
| 金額の大きさ | 一つひとつが高額 | 一つひとつは少額 |
| 発生の基準 | 生産するごとに発生 | 生産に関係なく発生 |
| 発生の頻度 | 規則的・限定的 | 不規則・多岐にわたる |
| 配賦の必要性 | 不要 | 必要 |
ここで出てくる「配賦(はいふ)」とは、共通でかかった費用を、一定の基準で各部門や製品に割り振ることです。間接費の管理では、この配賦が欠かせません。
配賦の考え方をもっと詳しく知りたい方は、関連記事配賦とは?業績評価が歪まないための原価配賦の考え方とNetSuite活用法もご覧ください。
なぜ今、間接費の削減が利益率を左右するのか
間接費は、直接費と比べて一つひとつの金額は小さいものです。しかし費目が多いため、合計すると売上の10〜20%にもなることがあります。
しかも、部門をまたいで発生するため、管理が煩雑です。適正な金額の見極めも難しいのが実情です。
裏を返せば、ここには改善の余地が眠っています。間接費を削減できれば、その分がそのまま利益率の向上につながるからです。
近年は、原材料費や人件費の上昇が続いています。直接費を下げるのは簡単ではありません。
だからこそ、見落とされがちな間接費に目を向ける意味があります。「筋肉質な企業体質」をつくるうえで、間接費の最適化は重要な打ち手の一つです。
削減の前に「見える化」── 順序を間違えると失敗する
間接費の削減で、最初にお伝えしたいことがあります。それは、いきなり削りにいかないということです。
順序が大切です。まず「見える化」、それから「削減」。この順番を逆にすると、たいてい失敗します。
なぜなら、どこに・いくらかかっているか分からないまま削ると、必要な費用まで削ってしまうからです。結果として、業務が滞ったり、現場が疲弊したりします。
私たちが大切にしているのは、「数字を正直に見る」という姿勢です。数字は厳しいですが、正直です。正直であるほど、経営は強くなります。
見える化とは、具体的には次のような状態をつくることです。
- どの部門で、どの費目に、いくらかかっているか分かる
- どの製品・プロジェクトに、間接費がどれだけ配賦されているか分かる
- 費用の推移が、月単位で追える
この状態になって初めて、「どこから削るべきか」の優先順位が見えてきます。削減は、その次のステップです。
NetSuiteで間接費を把握・削減する方法
NetSuiteのようなクラウドERP(基幹業務を統合管理するシステム)を使うと、間接費の見える化が進みます。
部門別・製品別に、間接費をタイムリーかつ的確に把握・配賦できるからです。発生した間接費を集計し、作業時間などの基準で自動的に配賦計算を行います。
これにより、「どの部門で、どの費目に、どれだけ発生しているか」が可視化されます。
見える化ができたら、いよいよ削減です。費目ごとに、削減のポイントを見ていきましょう。
間接材料費の削減ポイント
間接材料費は、消耗品の一括購入による単価引き下げが有効です。あわせて、必要量を見極めて在庫を最適化します。
NetSuiteを使えば、安全在庫の設定や需要予測ができます。適正水準の在庫を保つことで、過剰在庫にかかるコストを抑えられます。
間接労務費の削減ポイント
間接労務費は、業務の自動化による作業工数の削減が効果的です。外部リソースの活用で、人件費を適正化する方法もあります。
NetSuiteの導入をきっかけに、業務フロー自体を見直すこともできます。その過程で、無駄な作業を大きく減らせる場合があります。
間接経費の削減ポイント
家賃・光熱費・旅費交通費・通信費などの間接経費も、見える化の効果が大きい領域です。
部門ごとの推移を追うと、増えている費目が見つかります。出張ルールの見直しや、契約の棚卸しといった具体策につなげられます。
原価計算全体の進め方は、関連記事NetSuiteで実現する全体最適な原価管理|部分最適の罠と経営者が見るべき視点もあわせてご覧ください。
間接費削減でよくある3つの失敗と回避策
間接費の削減は、ただ数字を削る作業ではありません。やり方を誤ると、利益も現場も傷つけてしまいます。
失敗してほしくないからこそ、現場でよく見られるつまずきを共有します。これは、NetSuiteを売り込みたいからではありません。
ここでは、代表的な3つの失敗パターンと、その回避策をお伝えします。
失敗①:「見える化」せずに、いきなり削りにいく
よくある現象
- 「前年比でコストを一律◯%カット」という号令が下りる
- 目につきやすい費目だけを削る
- どの部門のどの費目が多いか、把握しないまま着手する
なぜ失敗するか
配賦されていないと、どこにいくらかかっているかが見えません。その状態で削ると、必要な費用まで削ってしまいます。
結果として「削ったのに利益は増えない」という事態が起きます。むしろ業務が滞ることさえあります。
どう回避するか
まず部門別・製品別に間接費を可視化します。そのうえで、削る優先順位をつけます。
NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットでは、削減の前に「見える化」から始めることをお勧めしています。
失敗②:現場の納得を得ず、トップダウンだけで進める
よくある現象
- 経営層だけでコスト削減を決めてしまう
- 現場に「なぜ削るのか」を説明しない
- 削減目標の数字だけが現場に下りてくる
なぜ失敗するか
間接費は、現場の日常業務に紐づいています。納得のない削減は、現場の士気を下げます。
そして、見えないところでの非効率を生みます。一時的に数字は下がっても、長続きしません。
どう回避するか
部門責任者を巻き込み、「なぜ削るのか」を一緒に共有します。
このとき、可視化したデータが共通言語になります。数字を全社で見える状態にすると、現場も動きやすくなります。
失敗③:一度削って終わりにする
よくある現象
- 削減プロジェクトが単発で終わる
- 半年後には、コストが元の水準に戻っている
- 削減後の推移を、誰も追っていない
なぜ失敗するか
間接費は、放置すれば再び増える性質があります。継続的に見る仕組みがないと、効果は一過性で終わります。
「がんばって削ったのに、気づいたら元通り」。これは、よくあるパターンです。
どう回避するか
ダッシュボードで、間接費の推移を常に追える状態にします。
「見える化 → 削減 → 継続管理」のサイクルを、仕組みとして定着させます。ベンチャーネットは、この仕組みづくりに伴走します。
間接費の削減で本当に大切なのは、削る技術そのものではありません。自社の数字を正直に見て、続けられる仕組みをつくることです。
数字に強い会社は、強い経営ができます。まずは、自社のコスト構造を見えるようにするところから。そこから一緒に始めましょう。
削減は一度きりではない ── 継続管理の仕組み化
間接費削減を成功させるコツは、一朝一夕を求めないことです。地道な積み重ねが効いてきます。
NetSuiteで間接費の推移を追いながら、着実に削減を進めていきます。現場の創意工夫を引き出し、全社で取り組むことが大切です。
間接費をゼロにすることはできません。しかし、デジタル技術を使って最適化を進めれば、筋肉質な企業体質への変革は可能です。
ここで一つ、視点を補足します。間接費は「削る対象」であると同時に、「間接部門が生む価値」という側面もあります。
コストとしてだけ見ると、判断を誤ることがあります。
間接部門の価値を活かす視点については、関連記事間接部門は「コスト」か「資産」か|NetSuiteで間接費を最適化し、価値を最大化する方法もご覧ください。
本記事のテーマである「削減」と、あわせて読むと理解が深まります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 間接費は、どのくらい削減できますか?
削減できる幅は、企業の状況によって大きく異なります。一律の目安はありません。
ただし、まず見える化を行うと、これまで気づかなかった無駄が見つかることがよくあります。
大切なのは、削減幅の数字を最初に決めることではありません。自社の間接費の実態を正確につかむことです。そこから現実的な目標を設定します。
Q2. 中小企業でも、間接費の見える化はできますか?
できます。むしろ、規模が小さいうちに仕組みを整えるほうが効果的です。
間接費は、企業が成長するほど複雑になります。早い段階で見える化の仕組みを持っておくと、成長に合わせてコストを管理しやすくなります。
NetSuiteは、中堅・中小企業での利用を前提としたクラウドERPです。自社の規模に合わせて、段階的に始められます。
Q3. Excelでの管理ではダメなのでしょうか?
Excelでも、ある程度の集計はできます。ただし、部門・製品が増えると限界が来ます。
手作業での集計は、時間がかかります。入力ミスのリスクもあります。データが最新かどうかも分かりにくくなります。
クラウドERPなら、データが一か所にまとまります。常に最新の状態で、間接費の推移を追えます。この差は、管理を続けるほど大きくなります。
Q4. 何から相談すればいいですか?
まずは、「自社の間接費がどこにいくらかかっているか分からない」という状態の整理からで大丈夫です。
ベンチャーネットでは、見える化の仕組みづくりから運用の定着まで、伴走してご支援します。実際の画面は、無料デモでご覧いただくこともできます。
まとめ:間接費の見える化から、利益率向上の一歩を
間接費は、売上の10〜20%を占めることもある、利益率改善の重要な打ち手です。
しかし、いきなり削りにいくと失敗します。順序が大切です。
- まず見える化:どこに・いくらかかっているかをつかむ
- 次に削減:優先順位をつけ、現場と一緒に進める
- そして継続管理:仕組みとして定着させ、元に戻さない
この3ステップを回すことで、間接費は着実に適正化されていきます。
NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、中堅・中小企業の経営DXを支援しています。間接費の見える化から継続管理の仕組みづくりまで、伴走してご一緒します。
「自社の数字を、まず見えるようにしたい」。そう感じた方は、お気軽にご相談ください。
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