世界標準のERPシステム「NetSuite」を“攻めの経営”に向けて積極活用することでさらなるビジネス成長とIPOをめざす

プリンター用の互換インクやトナーをはじめとするオフィスサプライの輸入・卸売りを主な事業としてきたキュリエは、新たな成長の柱として「スマラピ」事業を始動し、販路の拡大と顧客獲得に注力しています。
この戦略を支えるのが、オラクルのクラウドERP「NetSuite」です。世界標準の業務プロセスを取り入れつつ、“攻めの経営”を実現するためのツールとしても積極的に活用することで、実績を着実に伸ばしています。
その先で見据えているのが、IPO(株式の新規上場)の実現です。

新たな成長の柱と位置付ける「スマラピ」事業を始動

2005年の創業以来、プリンター用の互換インクやトナーをはじめとするオフィスサプライの輸入・卸売りを軸に事業を拡大してきたキュリエ。 近年はネット販売にも注力し、自社ECサイトのほか楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングにも出店し、法人・個人を問わず幅広い利用を拡大 してきました。
たとえば楽天市場では「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」を、これまで計4度にわたって受賞しています。同賞は5万以上のショップの中から年に1回、上位0.2%だけが選ばれるもので、楽天市場の頂点に立つショップとしての証となります。特に2024年は、各ジャンルのベストショップのみが選ばれる「大賞」(パソコン・周辺機器ジャンル)を受賞するという栄誉を得ました。
そして同社が、新たな成長の柱と位置付けているのが、2024年1月より始動した新事業「スマラピ」です。

新たな成長の柱と位置付ける「スマラピ」事業を始動

中国rock space社との戦略提携に基づき導入した「スマートフォンビューティファイ」と呼ばれるサービスの日本市場での拡販をめざすものです。スマートフォンの外観をオリジナルの写真やイラストなどでドレスアップできるのが特徴で、「スマートフォンをより個性的にしたい」、「自分の好みのデザインを反映させたい」といったニーズに応え、新たなトレンドとして幅広い世代から注目されています。
同社 代表取締役の吉塚 康一氏は、「スマラピという商材を得たことで、新たな市場を開拓していくチャンスが広がっています。オフィスサプライの輸入・卸売り事業に加え、この新事業の実績を着実に伸ばしていくことで、近い将来のIPOをめざします。」と、意気込みを見せています。

将来的な成長や環境変化に柔軟に対応できる「NetSuite」を導入

キュリエは新たな事業成長に向けた足場を、どうやって固めてきたのでしょうか。重要な施策の1つとして挙がられるのがERPの導入です。
それ以前の状況について、同社 経営企画室 室長の小笠原 和也氏は、「最も問題視していたのは、情報の一元管理の欠如です。複数のシステムやExcelなどにより手作業で管理していたため、データが分散しており、リアルタイムでの経営判断が難しかったことがボトルネックとなっていました。特に、販売・在庫・経理の情報が一体化していなかったため、全社的な戦略の立案が遅れがちでした」と振り返ります。

個別システムを使い分ける方法も検討しましたが、それでは情報の断片化を解消することができず、全体の流れを把握するのは困難です。そこでERPを導入することで、すべての業務プロセスを一元管理し、より効率的な経営が実現したいと考えたのです。
こうして同社が数多あるERPシステムの中から選んだのは、オラクルのクラウドベースのERPである「NetSuite」です。
「NetSuiteを選んだ決め手は、世界標準のERPであることと、その頻繁なアップデートにあります。私は『既製服を着る』と言っているのですが、『Fit To Standard』の考え方に沿うことでこそ、最先端の業務プロセスや管理方法を自然に社内に取り入れることができると考えています。標準そのものも時代とともに変化していきますが、グローバル規模での対応力をもったNetSuiteを基盤とすることで、常に最新の機能を活用でき、将来的な成長や環境変化に柔軟に対応できると確信しました」(吉塚氏)

吉塚氏

もっともNetSuiteの定着化が、最初から順風満帆で進んだわけではありません。業務現場に蔓延していたNetSuite活用に対する抵抗を払拭して理解を得るため、長年のITパートナーであるベンチャーネットと共同しながら、さまざまな取り組みを重ねてきました。
「Excelからの移行において、まずは現場のスタッフがNetSuiteの利便性を実感できることを主眼に段階的な導入を進めました。研修やサポートも徹底し、特にデータの一元化によって得られる作業効率化のメリットを強調しました。加えてその効果を導入後すぐに実感できるように、シンプルで直感的な操作を心掛けています。なお、既存システムの膨大なデータを整理し、 NetSuiteに適切な形式で移行する作業は、予想以上の時間とリソースを要しましたが、これはデータの精度と整合性を確保する上で、最も重要な要件であることから、慎重な対応を進めました。」(小笠原氏)

小笠原氏

“守り”と“攻め”の両面で得られた効果

NetSuiteを活用することで、キュリエの経営体質は大きく改善しました。
「コスト削減の観点からは、在庫管理の自動化や業務プロセスの最適化が進んでおり、無駄な人件費や時間の削減に成功しました」(小笠原氏)

小笠原氏

それだけではありません。ERPが本来の目的としている守りの経営の強化だけにとどまらず、攻めの経営に向けても積極的にNetSuiteを活用していることが、同社の取り組みの重要ポイントです。
具体的には、SFA(営業支援)やMA(マーケティング自動化)のためのツールとしてもNetSuiteを活用し、基幹業務と連動させることで、全社的なビジネスの効率化と意思決定のスピードアップを進めています。
「さまざまな展示会への出展時にブースの来場者から集めた名刺データの取り込みからリード(見込み顧客)としての登録、Slackによる営業チームおよび経営陣との情報共有、フォローメールの送信、さらにはその後の商談管理まで、NetSuite上で一連の作業を連携させ、自動化しました。
これにより従来はイベントごとに、営業チーム全体で毎回50時間近くを費やしていた作業負担を0(ゼロ)としました」(吉塚氏)

吉塚氏と小笠原氏

また、リアルタイムで在庫が可視化できるようになり、商品の入出庫やロケーションの追跡が容易になりました。これにより適正在庫を維持するとともに、従前のように金額ベースだけでなくSKUレベルでの詳細なデータ分析を行うことが可能となり、売れ筋商品の把握や的確なマーケティング戦略を実践できるようになりました。
「スマラピ事業についてもNetSuiteを活用することで在庫管理が効率化され、売上予測の精度が大幅に向上しています。この結果にもとづいて販売戦略を迅速に変更し、市場の動向に合わせた販路拡大が可能となりました」(小笠原氏)

小笠原氏

新たなKPIを設定した管理会計やデータ分析の強化へ

上記のようにNetSuiteを最大限に活用することで、現在のキュリエは商品別の販売状況から顧客別の利益率、在庫の推移まで主要なKPIを可視化することで、戦略的な意思決定を的確に下し、迅速なアクションにつなげていく体制を築いています。
なかでもスマラピをはじめとする特に利益率の高い商品について、重点顧客をターゲットとしたマーケティング戦略を柔軟に練り直すことが可能となり、効果的なリソース配分を実現しています。
そして同社は、今後に向けてもこのアプローチをさらに追求していく考えです。
「例えばスマラピの各販売代理店におけるシートのカット数に着目するなど、よりリアルな販売実態を捉えるための新たなKPIを策定しつつ、NetSuiteを核とした管理会計の仕組みづくりやデータ分析の機能強化を図っていきます」(吉塚氏)

小笠原氏

その先に見えてくるのが、IPOの実現です。この構想を着実に進めていく上での新たなパートナーとして、世界最大級のプロフェッショナルサービスファームであるPwC(プライスウォーターハウスクーパース)が加わりました。
「IPOをめざすにあたっては、特に財務管理体制と内部統制の強化が不可欠と感じています。ベンチャーネットには引き続きそのシステム整備で支援をいただくと共に、PwCにはこれらの分野の業務面でのコンサルティングをいただき、さらにビジネス成長を加速させるためのアドバイスを期待しています」(吉塚氏)

ベンチャーネットとPwCの両社と緊密な連携を通じて、キュリエを社会からより高く信頼される企業とすることで、ビジョンとして掲げる「日本一・世界でも有数の合理化支援カンパニー」への飛躍を目指しています。

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