中小企業の経営課題はNetSuiteでどう解くか|段階的に進めるクラウドERP活用法

日本の中小企業は、全企業の約99.7%を占めるといわれます。

その一社一社が、いま大きな環境変化のなかで、いくつもの経営課題に直面しています。人材が足りない。後継者が見つからない。DXに乗り遅れたくない――。

こうした課題に共通する根っこは、「経営の状況が、見えにくい」ことにあります。

この記事では、中小企業が抱える3つの代表的な経営課題を整理します。そのうえで、クラウドERP「NetSuite」を使って、どう解いていくかを考えていきます。

あわせて、導入でつまずかないための「落とし穴」も正直にお伝えします。NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットが、現場で見てきた視点を交えて解説します。

※ ERP(Enterprise Resource Planning)とは、会計・販売・在庫・購買など、会社の基幹業務をひとつの仕組みでまとめて管理するシステムのことです。クラウドERPは、それをインターネット経由で使える形にしたものを指します。

目次

中小企業が直面する3つの経営課題

まず、いま多くの中小企業が直面している課題を、3つに整理します。

  • 課題1:人材不足と生産性の低迷
  • 課題2:事業承継と後継者不足
  • 課題3:技術革新への対応とDX

どれも単独の問題ではなく、互いに絡み合っています。そして、いずれも「経営の見える化」が出発点になります。

ひとつずつ見ていきましょう。

課題1:人材不足と生産性の低迷

少子高齢化が進み、働き手の数は減り続けています。中小企業にとって、人材不足は年々深刻になっています。

加えて、日本の労働生産性は主要先進国のなかでも低い水準が続いています。限られた人数で、いかに成果を出すか。これは多くの経営者に共通する悩みです。

NetSuiteで何が変わるか

NetSuiteを使うと、業務プロセスを標準化・自動化できます。

これまで手作業だった集計や転記が減り、限られた人手を、付加価値の高い仕事に振り向けられます。クラウドなので、場所を選ばず働ける環境づくりにも役立ちます。

ただし、ここで大切な視点があります。

システム導入は、現場任せにすると、必ずどこかに歪みが出ます。経営と現場が一体となって進めること。これが、生産性向上を実現する前提になります。

課題2:事業承継と後継者不足

経営者の高齢化が進む一方で、後継者が決まっていない企業は少なくありません。

事業承継の準備が遅れ、やむなく廃業を選ぶケースもあります。円滑な承継は、会社の存続だけでなく、日本経済にとっても重要なテーマです。

NetSuiteで何が変わるか

承継を難しくする要因のひとつが、業務の「属人化」です。

特定の人しか分からない仕事の進め方や判断基準が、社内に散らばっている。この状態では、引き継ぎがうまくいきません。

NetSuiteを使うと、業務のフローやノウハウを「見える化」できます。個人の頭のなかにあった知見が、組織の資産として蓄積されていきます。これは、後継者の育成にも役立ちます。

会計データや組織の情報が整っていれば、M&A(合併・買収)による承継の際にも、会社の価値を正しく評価する材料になります。

課題3:技術革新への対応とDX

AIやIoT、データ活用の波は、ビジネスのあり方を大きく変えつつあります。

新しい技術を使う企業が、これまでにないスピードで市場に参入してきます。変化に適応できるかどうかが、中小企業の生き残りを左右します。

※ DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を使って業務やビジネスのしくみそのものを変革し、競争力を高める取り組みを指します。

NetSuiteで何が変わるか

NetSuiteはクラウドサービスです。インターネットがつながる環境なら、どこからでも経営の数字を確認できます。

売上、原価、在庫といった情報を、リアルタイムで把握できます。市場の変化に素早く気づき、スピーディーに判断を下せます。

蓄積したデータを分析すれば、次の打ち手も見えてきます。DXの土台として、NetSuiteは経営基盤の役割を果たします。

NetSuiteで「経営の見える化」を実現する

3つの課題に共通するのは、「経営の状況が見えにくい」という点でした。

逆にいえば、見える化が進むだけで、多くの判断がクリアになります。ここが、クラウドERPの最も大きな価値です。

エクセル管理とクラウドERPの違い

多くの中小企業では、いまもエクセルで数字を管理しています。

しかし、規模が大きくなるほど、限界が見えてきます。「最新版がどれか分からない」「数字がいつも合わない」。こうした声をよく聞きます。

両者の違いを整理すると、次のようになります。

観点エクセル等の属人管理クラウドERP(NetSuite)
データの最新性最新版がどれか分からない常に最新データに自動更新
数字の整合性数字がいつも合わない一か所にまとまり整合する
損益の見える化集計に膨大な手作業ダッシュボードでリアルタイム把握
分析の切り口顧客別・製品別の集計が困難フィルターで自由に分析
属人化リスク担当者に依存し引き継ぎで停滞仕組み化され組織の資産になる

まずは「見たい数字を3つだけ」

見える化と聞くと、大がかりに感じるかもしれません。

でも、最初から全部を見ようとする必要はありません。まずは「見たい数字を3つだけ決める」ことから始めるのがおすすめです。

たとえば、売上総利益・営業利益・キャッシュ残高。この3つが日常的に見えるだけでも、経営の視界は大きく変わります。

導入でつまずかないために|中小企業が知っておきたい落とし穴

ここまで、NetSuiteで何ができるかをお伝えしてきました。

ただ、ベンチャーネットは、導入支援の現場で「つまずき」も数多く見てきました。

これは、NetSuiteを売り込みたいから書くのではありません。お客様に「失敗してほしくない」からこそ、正直にお伝えします。よくある4つの落とし穴と、その回避策です。

落とし穴1:「全部を一度に」やろうとする

経営の全体像をひとつのシステムで見たい。その気持ちはよく分かります。

しかし、最初から全機能・全部門を一括で導入すると、現場が疲弊します。プロジェクト自体が止まってしまうこともあります。

回避策:段階的に進めましょう。まずは「経営の見える化」に直結する領域から始めるのが現実的です。

落とし穴2:会計の「思想の違い」を見落とす

NetSuiteは「売上原価対立法」という考え方を採用しています。売上が立ったタイミングで原価を計上する仕組みです。

一方、日本企業の多くは「三分法」を使っています。仕入・売上・在庫を分けて管理する方法です。

どちらが良い悪いではなく、考え方が違うのです。ここを見落とすと、導入後に「こんなはずでは」となりかねません。

回避策:今の会計処理とNetSuiteの考え方が合うかを、事前に整理しておきます。財務会計は「フェーズ2以降」に回す選択も有効です。

落とし穴3:顧問税理士と足並みがそろわない

意外と見落とされやすいのが、顧問税理士との連携です。

NetSuiteが出力する帳票やデータ形式が、税理士の業務フローに合うか。ここを確認せずに進めると、あとで双方に負担がかかります。

回避策:システム導入は、経営者・現場・顧問税理士の三者で進めます。導入前に一度集まって話し合うだけで、リスクは大きく減らせます。

落とし穴4:経営層が現場任せにする

「ERPは情シスや経理の話」と考え、経営層が関わらないケースがあります。

しかし、現場任せにすると、必ず歪みが出ます。ERPは経営のインフラだからです。

回避策:経営層がプロジェクトに本気で関わることが、成功の前提です。「なぜ導入するのか」を経営者自身が語れる状態をめざします。

これら4つは、いずれも「事前に知っていれば避けられる」ものです。

だからこそ、ベンチャーネットは正直にお伝えしたいと考えています。お客様と対等な関係で、失敗を一緒に防ぐ。そんな伴走者でありたいからです。

まとめ:焦らず、段階的に。経営を強くする一歩を

中小企業を取り巻く環境は、かつてないスピードで変化しています。

人材不足、事業承継、DX。どの課題も、「経営の見える化」から解決の糸口が見えてきます。その有力な選択肢が、クラウドERPのNetSuiteです。

ただし、大切なのは「理想」ではなく「自社にとっての最適解」です。

システムは目的ではありません。経営を強くするための手段です。焦らず、段階的に、確実に進める。まずは自社の課題が「人」なのか「数字」なのか、どこにあるのかを整理することから始まります。

ベンチャーネットは、単なるシステム導入ではなく、業務整理から運用定着までを一貫して伴走します。

「うちでもできるだろうか」と迷われているなら、一度お話を聞かせてください。御社にとって最適な進め方を、一緒に考えさせていただきます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 中小企業でも、本当にNetSuiteを導入できますか?

はい、導入できます。むしろ中小企業こそ、得られる恩恵は大きいと考えています。

段階的に導入でき、まずは損益管理だけを整える、といった進め方も可能です。最初から大規模に構える必要はありません。

Q2. 何から手をつければいいですか?

無理に全部を一度にやろうとせず、「見たい数字を3つだけ決める」ことから始めるのがおすすめです。

たとえば、売上総利益・営業利益・キャッシュ残高。この3つが日常的に見えるだけでも、経営判断は大きく変わります。

Q3. 財務会計も、最初からNetSuiteに一本化すべきですか?

理論上は、最初から統合したほうが効率的です。

ただし、導入初期に無理をすると、現場が疲弊し、プロジェクトが停滞することがあります。段階的に進めるほうが、結果的に早く安定運用に到達するケースが多いと感じています。

もう少し詳しく知りたい方へ

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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