ERPを導入したのに「使いにくい」「成果が出ない」と感じていないでしょうか。
ERP導入の失敗原因は、製品選定ミスよりもパートナー起因であることが多いです。
プロジェクトの迷走、サポート対応の遅さ、業務理解の浅い提案などは、パートナーとの相性や力量の問題かもしれません。
本記事では、ERP導入がうまくいかない原因の切り分け方と、NetSuiteを継続しながらパートナーだけを変更する方法、成功させるためのポイントを解説します。
ERP導入「失敗」の3つの場面——導入・保守・運用
ERPを導入したものの、明確に効果が表れていない。
また、そもそも導入前から業務効率化ができていない。
といったケースは非常に多いです。
一方で、明確に「失敗」と断ずることもできず、ずるずると使い続けていると事業の成長は止まってしまいます。ERP導入は「失敗」の判断が難しいのです。
ではどのような状況ならば「失敗」と判断できるのでしょうか。
ERP導入の失敗は、フェーズによって現れ方が異なります。
そのフェーズとは「導入時」「保守」「運用」の3つです。
導入フェーズでの失敗
導入フェーズの失敗はかなり分かりやすく、「プロジェクトが迷走し、本番稼働にたどり着けない状態」であれば失敗です。具体的には次のような状況が想定されます。
- 要件定義が終わらず、スコープが膨らみ続ける
- スケジュールが何度も延期され、いつ稼働できるか見えない
- 追加費用が次々と発生し、当初予算を大幅に超過する
- パートナーの提案が的外れで、打ち合わせのたびに振り出しに戻る
導入フェーズでの失敗は深刻で、最悪の場合はプロジェクトが頓挫します。
予算を投下した以上やめるわけにもいかず、ずるずると工期が伸びてしまいがちなのですが、仮に半年以上迷走が続いているならばパートナーの力量不足を疑うべきです。
保守フェーズの失敗
保守フェーズの失敗とは、「稼働後のサポートが機能せず現場の不満が蓄積していく状態」です。
- 問い合わせへの回答が遅い、または的外れ
- 不具合を報告しても対応が進まない
- 担当者が頻繁に変わり、毎回一から説明が必要
- 「仕様です」「できません」で片付けられる
導入フェーズよりは深刻度が低いのですが、現場社員の不満が蓄積しやすく、モチベーションや業務品質の低下を招きます。
やがて「システムが悪い」という声が社内に広がり、せっかく導入したNetSuiteが使われなくなっていきます。
運用フェーズの失敗
運用フェーズの失敗とは、「システムは動いているが導入前と何も変わっていない」状態です。
- 現場がNetSuiteを使いこなせず、結局Excelに戻っている
- データは入力されているが、経営判断に活用されていない
- 業務改善の提案がパートナーから一切ない
- 「動いているからいい」で放置され、投資対効果が見えない
運用フェーズの失敗は、導入/保守フェーズの失敗より気づきにくいです。
「一応、動いている」ため問題が顕在化しません。
しかし、導入から1年以上経っても業務効率化やデータ活用が進んでいないなら、パートナーの伴走力不足を疑うべきです。
「製品」「パートナー」「自社」~原因を切り分ける
ERP導入の失敗に対する原因は、大きく3つに分類できます。
それは「製品のミスマッチ」「パートナーの力量不足」「自社の準備・体制不足」です。
ここでは失敗原因の切り分け方を整理してみます。
製品に原因がある場合
まず確認すべきは「同じERPを使っている同業他社は成果を出しているか」です。
多くの外資系ERPは世界中で導入実績があり、同業種・同規模の企業でも多く使われています。
他社が成果を出しているなら、製品自体に問題があるとは言い難いでしょう。
なぜなら、外資系ERPは一般的に「多機能・高機能」であり、カスタマイズやアドオン開発で広範な要求に対応できてしまいます。
ERPが登場してから半世紀近く経ちますが、毎年のように改善が積み重ねられ、いまは大半の製品が「使い切れないほどの機能」を持つに至りました。
近年はNetSuiteのようにCRMやSFA、さらにAIを内包したクラウドERPも増えており、その汎用性は日本企業の独自性もしっかりカバーします。
「自社の業務に対応できない」と感じている場合でも、実際には知識やノウハウが不足しているだけ、という状況がほとんどです。
もちろん、業界の慣習や企業規模、業務プロセスへのマッチ具合は変わりますが、製品の限界と決めつける前に、次の2点を確認すべきです。
パートナーに原因がある場合
次に確認すべきは「パートナーに伝えた要望は正しく実装されているか」です。
要件として伝えたはずの内容が反映されていない、実装されたが意図と違う、そもそも要件の解釈がズレている。
こうした状況が頻発しているなら、パートナーの理解力・技術力に問題がある可能性が高いです。
また、以下のような兆候があれば、パートナー起因の問題を疑うべきです。
- 質問しても明確かつ具体的な回答が返ってこない
- 提案内容が自社の業務実態と合っていない
- 「できません」「難しいです」が多く、代替案が出てこない
- 担当者の製品・業務に対する理解度が低く、Fit&Gapの精度が低い
自社に原因がある場合
最後に確認すべきは「自社側で要件を明確に伝えられていたか」「運用ルールは守られているか」です。
- 要件定義の段階で自社の業務を整理できていなかった
- 要件定義を満たす個別の機能に対して、明確な要求ができていなかった
- 導入後の運用ルールが定まっていない、もしくは形骸化している
こうした状況であれば、パートナーを変えても同じ問題が起こります。
ただし、運用支援や定着支援までカバーできるパートナーならば、自社の原因も含めて解決できることがあります。
多くの場合、原因は複合的
実際には、パートナーと自社の両方に原因があるケースがほとんどです。
ただし、自社側の問題は自社単独で改善できるのに対し、パートナー側の問題は自社だけでは解決できません。
また、パートナーが適切な動きをしていないことによる工期の延長や日常業務への影響は、事業に直接的なダメージを残します。
ERP導入は全社的なプロジェクトで、経営層も巻き込むことから「一旦決めたパートナーを変更しづらい」と感じる方も少なくありません。
しかし、パートナー切り替えの判断は早ければ早いほどダメージが小さくなります。
パートナーに原因がある場合の対策
では最も解決が難しい「パートナーに原因がある場合」に限定して、対策を整理していきます。
この場合、「パートナーへの改善要求」か「パートナー変更」の選択肢しかありません。
大半の企業では、まず改善要求を試みるでしょう。
ただし、改善が期待できるケースと期待できないケースがあります。
改善が期待できるケース
改善要求が有効なのは、問題が「担当者レベル」や「コミュニケーション不足」に起因する場合です。
- 担当者のスキルや対応に問題があるが、組織としての体制は整っている
- 期待値のすり合わせが不十分で、認識のズレが生じていた
- 伝え方が曖昧で、要望が正しく伝わっていなかった
こうしたケースでは、担当者の変更や、コミュニケーション方法の見直しで改善する可能性があります。
改善が期待できないケース
一方、改善の見込みが小さいケースもあります。それは、問題が「組織的・構造的」な場合です。
- リーダークラス(PM/PL)の稼働率が著しく低い(兼任しすぎている)
- そもそも技術力や業務知識が不足している
- 社内の体制が脆弱で、担当者が頻繁に変わる
- 独自の開発ノウハウや標準機能への代替案を具体的に出せない
こうしたケースでは、担当者を変えても根本的な解決にはなりません。
組織としての力量不足であり、改善を待っている間に時間とコストが浪費されます。
パートナー変更を判断する基準
改善要求を出してから3ヶ月〜半年経っても変化がなければ、構造的な問題と判断してよいです。
また、以下のような定量的な指標を記録しておくと、判断材料になります。
- 問い合わせの平均回答日数
- 同一不具合の再発回数
- 追加開発の見積もり乖離率
- 担当者の交代頻度
これらの数値は、改善要求時の根拠としても、変更判断時の根拠としても使えます。
NetSuiteのパートナーリプレイスで知っておくべき基本知識
パートナー変更(パートナーリプレイス)を検討する際、「そもそも変更できるのか」「変更すると何が起きるのか」がわからず、踏み出せないケースは多いです。
結論から言えば、外資系ベンダーでは導入/保守パートナーのリプレイスが可能です。
認定パートナー制度によるリプレイスが可能
特に弊社が取り扱っているNetSuiteでは、提供元のOracleが「認定パートナー制度」を採用しています。
ユーザー企業はこの認定パートナーから、導入/保守のパートナーを自由に選択できます。
プロジェクトの途中であっても、稼働後であってもパートナーの変更は可能です。
また、「途中で変えるとシステムが動かなくなる」「データが消える」といった心配も不要です。
NetSuiteはクラウドERPであり、パートナーが変わってもシステム自体には影響しません。
パートナーリプレイスできる範囲
パートナー変更で移管できる範囲は、主に以下の3つです。
導入支援の引き継ぎ
導入プロジェクトが迷走している場合、新パートナーに引き継いで立て直すことができます。要件定義からやり直す場合もあれば、途中から引き継ぐ場合もあります。
保守・運用の移管
稼働後のサポート体制を新パートナーに移管できます。問い合わせ窓口、不具合対応、定期メンテナンスなどが対象です。
追加開発の委託先変更
アドオン開発による機能追加やカスタマイズを、新パートナーに依頼できます。
既存のカスタマイズ内容を引き継いだうえで、追加開発を進めることになります。
変更時に必要な準備
パートナー変更をスムーズに進めるには、事前の準備が重要です。
現状の契約内容の確認
既存パートナーとの契約条件を確認します。契約期間の縛り、解約条件、解約予告期間などを把握しておく必要があります。
開発成果物・ドキュメントの整理
カスタマイズの設計書、設定内容のドキュメント、運用マニュアルなどを整理します。
ドキュメントが存在しない場合は、新パートナーに現状調査から依頼することになります。
弊社では、ドキュメントが存在しない場合でもパートナーリプレイスをお引き受けしています。
引き継ぎ期間の確保
パートナーリプレイスでは、並行期間(既存パートナーと新パートナーが平行する期間)を設けることを推奨します。
並行期間を設けることで引き継ぎの漏れが防げますし、成果物の権利関係も整理できます。
特にカスタマイズやアドオン開発の成果物については、著作権や利用権がどちらに帰属するかの確認が必要です。
契約によっては、成果物の引き渡しに追加費用が発生する場合があります。
適切なNetSuiteパートナーリプレイスのための5つの選定基準
パートナーを変更しても、同じ失敗を繰り返しては意味がありません。
新しいパートナー選びで再び失敗しないために、明確な選定基準を設けておきましょう。
弊社では以下5つの選定基準をおすすめしています。
対応範囲の広さ
ひとつめは「NetSuite単独ではなく周辺領域までカバーできるか」です。
現代の業務システムは、ERP単独で完結することは稀です。
RPA、BI、AI、eコマース、倉庫管理システムなど、複数のシステムが連携して初めて業務が最適化されます。
優れたパートナーは、NetSuite本体だけでなく周辺システムとの統合や連携開発にも対応できる技術力を持っています。
パートナー選定時には、NetSuiteを中心とした業務システム全体の最適化を任せられるかどうかを確認しましょう。
問い合わせ対応の質とスピード
問い合わせへの回答速度は、業務停滞を防ぐ上で極めて重要です。
ただし、速さだけでは不十分です。
問い合わせの背景にある本質的な課題を理解し、根本的な解決策を提案ができるかも重視していきましょう。
例えば、「レポートが重い」という問い合わせに対し、「このデータ構造を見直せば全体的なパフォーマンスが向上します」といった踏み込んだ提案ができるパートナーが理想的です。
技術力の深さと幅
NetSuiteは非常に拡張性の高いプラットフォームです。
標準機能だけでは対応できない業務要件も「+α」によって実現できることが大半です。
それだけに、パートナーの技術力と幅がシステムの品質に与える影響は大きいのです。
例えば、SuiteScriptによるカスタマイズ、RESTやSOAPを使ったAPI連携、複雑なワークフロー設計など、高度な技術力があるパートナーならば、さまざまな「打ち手」が生まれます。
パートナーの技術力を見極めるには、過去の開発/カスタマイズ実績、受賞歴や独自機能の有無などを確認するとよいでしょう。
段階的移行の経験
パートナーリプレイスには必ずリスクが伴います。
いきなり全面的に切り替えるのではなく、既存パートナーと並行しながら徐々に範囲を拡大するアプローチが理想的です。
また、「前任者の退職」や「ドキュメントの不足」があっても引き継げるかも確認しましょう。
過去にパートナーリプレイスを複数回経験しており、そのプロセスや手法を明確に説明できるパートナーであれば、安心して任せることができます。
継続的な改善提案ができるか
優れたパートナーは、他社での成功事例や新しい機能のリリース情報をもとに、「この業務プロセスを見直せば月間○○時間の削減が可能です」「この新機能を使えば手作業を自動化できます」といった能動的な提案を行います。
単なる「御用聞き」ではなく、業務改革のパートナーとして伴走してくれるかどうかを見ていきましょう。
まとめ:NetSuiteパートナーリプレイスで業務効率とROIを最大化する
NetSuiteの導入効果は、パートナーの質によって大きく左右されます。
適切なパートナーへの変更は、NetSuiteを「使いやすく、事業の成長を支える基盤」へと変えていきます。
段階的な移行でリスクを抑えつつ、技術力・対応範囲の広さ・能動的な改善提案力を持つパートナーを選定しましょう。
ベンチャーネットは、NetSuite導入・保守・開発に加え、RPA・AI連携まで対応する伴走型支援を提供しています。
導入プロジェクトの立て直しから保守パートナー変更までサポートいたします。
まずは無料相談で現状の課題をお聞かせください。

