製造業ERP14選|解決できる課題・できること・選び方まで解説

製造業の基幹業務は、受注・生産・購買・在庫・原価・会計など、部門をまたいでつながっています。にもかかわらず、実際の現場では「部門ごとに別システム」「Excel管理が残っている」「数字が合わない」といった分断が起こりやすく、結果として納期回答の遅れや在庫のムダ、原価の見えにくさにつながります。

こうした課題を根本から整理する手段として注目されているのが、製造業向けERP(基幹システム)です。データを一元化し、現場の業務と経営管理を同じ数字でつなぐことで、日々のオペレーションを安定させながら、判断スピードも上げることができます。

ただし、製造業向けERPは「どれを選んでも同じ」ではありません。組立・プロセス・個別受注など製造スタイルによって求める機能が変わり、クラウド/オンプレミスの向き不向きも異なります。

本記事では、製造業でERPが解決できる課題や基本機能、失敗しにくい選び方を整理したうえで、代表的な製造業向けERPを14製品紹介します。自社に合うERPの検討軸をつくるために、ぜひ参考にしてください。

目次

製造業向けERPとは

製造業向けERPとは、製造業の業務フローに合わせて設計された基幹システムのことです。
受注・生産・在庫・購買・原価・会計といった業務データを一つの仕組みでまとめて管理し、部門をまたいだ情報共有を可能にします。

製造業では、営業、製造、購買、経理といった部門がそれぞれ異なるシステムやExcelで管理しているケースが多く、
「同じ情報を何度も入力する」「数字が部門ごとに合わない」といった問題が起こりがちです。
製造業向けERPは、こうした業務の分断を解消し、データを一元化するための土台となります。

また、一般的なERPと比べて、製造業向けERPは

  • 生産計画
  • 部品表(BOM)
  • 製造実績
  • 製品・部品ごとの原価管理

といった、モノづくりに欠かせない業務を前提にしている点が特徴です。
現場の業務と経営管理をつなぐ役割を担うのが、製造業向けERPだと言えます。

製造業でERPが必要とされる背景

近年、製造業でERPの導入や刷新を検討する企業が増えています。その背景には、現場と経営の両面で共通する課題があります。

まず、多くの企業でシステムの老朽化・分断が進んでいます。
長年使い続けてきた生産管理システムや販売管理システムが部門ごとに独立しており、データ連携に手間がかかる状態です。その結果、リアルタイムで正確な経営数値を把握することが難しくなっています。

次に、人手不足と属人化の深刻化です。
熟練担当者の経験や勘に頼った業務が多く、担当者が不在になると業務が止まってしまうケースも少なくありません。ERPを導入し、業務プロセスとデータを標準化することで、属人化の解消が求められています。

さらに、原価高騰や競争環境の激化も大きな要因です。
原材料費や外注費が上昇する中で、製品ごとの利益を正確に把握し、迅速に価格や生産計画を見直す必要があります。そのためには、原価・在庫・売上を横断的に把握できる仕組みが不可欠です。

こうした背景から、製造業では「業務を回すためのシステム」ではなく、経営判断を支える基盤としてのERPが求められるようになっています。

製造業でERPが解決できる主な課題

製造業でERPの導入が進む理由は、「便利そうだから」ではありません。
多くの企業が、日々の業務の中で同じような課題に直面しており、その解決策としてERPが選ばれています。ここでは、製造業で特に多い代表的な課題を整理します。

部門ごとにデータが分断されている

製造業では、

  • 営業は販売管理システム
  • 製造は生産管理システム
  • 経理は会計ソフト
  • 現場はExcel

といったように、部門ごとに別々のツールを使っているケースが少なくありません。

その結果、
「売上の数字が営業と経理で合わない」
「在庫数が最新なのか分からない」
「同じ情報を何度も入力している」
といった問題が日常的に発生します。

ERPを導入すると、これらのデータを一つの仕組みで管理できるため、部門間の情報ズレや二重入力を解消できます。

生産計画と在庫の精度が低い

製造業では、生産計画と在庫管理の精度が業績に直結します。
しかし、実際には

  • 在庫が多すぎて資金が寝ている
  • 足りない部品が直前で判明する
  • 納期回答が担当者の経験頼み

といった状況に陥りがちです。

ERPでは、受注情報・在庫・生産実績を連動させて管理できるため、
「今ある在庫で、いつ・どれだけ作れるのか」を見える化できます。
これにより、無駄な在庫を減らしつつ、納期回答の精度向上につながります。

原価が見えず、利益が把握しにくい

「売上は伸びているのに、なぜか利益が残らない」
製造業ではよくある悩みです。

原因の多くは、

  • 製品別・案件別の原価が正確に把握できていない
  • 標準原価と実際原価の差を分析できていない
  • 原価集計に時間がかかり、結果を見るころには手遅れ

といった点にあります。

ERPを使えば、材料費・外注費・加工費などを紐づけて管理でき、
製品ごとの利益構造を把握しやすくなります。
これにより、価格見直しや生産方法の改善といった判断がしやすくなります。

業務が属人化している

製造業では、
「この業務はあの人しか分からない」
「Excelの計算式は作った本人しか触れない」
といった属人化が起こりやすい傾向があります。

属人化が進むと、

  • 担当者が休むと業務が止まる
  • 引き継ぎに時間がかかる
  • 業務改善が進まない

といったリスクが高まります。

ERPを導入し、業務フローとデータを標準化することで、
誰が担当しても同じやり方で業務を回せる状態を作ることが可能になります。

経営判断が遅れる

製造業では、

  • 売上
  • 原価
  • 在庫
  • 生産状況

といった情報を横断的に見て判断する必要があります。しかし、データがバラバラだと集計に時間がかかり、
「数字が出たときには状況が変わっている」
ということも珍しくありません。

ERPは、これらの情報をリアルタイムで集約できるため、
経営状況を素早く把握し、判断のスピードを上げることができます。

製造業向けERPでできること(基本機能)

製造業向けERPは、「製造業に関わる業務をまとめて管理する仕組み」です。
ここでは、多くの製造業向けERPに共通して搭載されている基本機能を、実務のイメージが湧く形で解説します。

受注・販売管理

製造業向けERPでは、見積・受注・売上・請求といった販売に関わる情報を一元管理できます。

たとえば、

  • どの顧客から
  • どの商品を
  • いつ、いくらで受注したか

といった情報を、後工程(生産・在庫・会計)と自動的に連携させることが可能です。

これにより、受注内容の転記ミスや確認作業が減り、受注から出荷までの流れがスムーズになります。

生産管理

製造業向けERPの中核となるのが生産管理機能です。

主に、

  • 生産計画の作成
  • 製造指示の発行
  • 作業実績の登録

といった業務を管理します。

受注情報や需要予測をもとに生産計画を立てられるため、
「作りすぎ」や「作れない」といった事態を防ぎやすくなります。

在庫管理

ERPでは、原材料・仕掛品・完成品の在庫をまとめて管理できます。

在庫数だけでなく、

  • どこにあるか
  • いつ入庫・出庫されたか
  • どの受注や製造に使われるか

といった情報もひも付けて管理できるのが特徴です。

これにより、在庫の見える化が進み、欠品や過剰在庫の防止につながります。

購買管理

製造に必要な原材料や部品の発注・仕入を管理する機能です。

生産計画や在庫状況と連動して、

  • いつ
  • 何を
  • どれだけ発注すべきか

を判断しやすくなります。

購買情報をERP上で管理することで、調達状況の把握や仕入先ごとの取引管理も簡単になります。

原価管理

製造業では、「原価が見えるかどうか」が非常に重要です。

ERPの原価管理機能では、

  • 材料費
  • 加工費
  • 外注費

などを製品や案件ごとに集計できます。

標準原価と実際原価を比較することで、
どこでコストが膨らんでいるのかを把握しやすくなり、改善につなげることが可能です。


品質管理

製造業向けERPの中には、品質管理に対応した機能を備えているものもあります。

具体的には、

  • 検査結果の記録
  • 不良品の管理
  • ロットや履歴の追跡

などを行えます。

これにより、トラブルが起きた際にも原因を追いやすくなり、品質の安定につながります。

会計・経営管理との連携

ERPでは、販売・購買・生産のデータが会計情報と自動で連携されます。

そのため、

  • 売上
  • 原価
  • 利益

をリアルタイムで把握しやすくなります。

現場の数字と経営の数字がつながることで、経営判断のスピードと精度が向上します。

製造業のタイプ別に見るERPの選び方

製造業と一口にいっても、モノの作り方は会社ごとに大きく異なります。
ERP選定で失敗しやすいのは、「有名だから」「高機能だから」と、自社の製造スタイルを無視して選んでしまうケースです。

まずは、自社がどのタイプに近いかを整理したうえで、合ったERPを選ぶことが重要です。


組立製造業の場合(部品を組み合わせて作る)

  • 機械・装置メーカー
  • 自動車部品メーカー
  • 電子機器・精密機器メーカー

特徴

  • 部品点数が多い
  • BOM(部品表)が複雑
  • 設計変更が頻繁に発生する

ERP選びのポイント

組立製造業では、部品管理と生産計画の精度が重要です。

特に以下の点をチェックしましょう。

  • 部品表(BOM)を柔軟に管理できるか
  • 設計変更に強いか(履歴管理・切替管理)
  • 見込み生産・受注生産の両方に対応できるか

組立製造では、「一部の変更が全体に影響する」ため、変更に強いERPかどうかが成否を分けます。

プロセス製造業の場合(配合・連続生産)

  • 食品メーカー
  • 化学・医薬品メーカー
  • 素材・原材料メーカー

特徴

  • 配合比率で製品が決まる
  • ロット管理や期限管理が重要
  • 原材料の単位が複雑

ERP選びのポイント

プロセス製造では、配合・ロット・期限管理への対応が不可欠です。

確認すべきポイントは次の通りです。

  • 配合表(レシピ)を管理できるか
  • ロット・賞味期限・使用期限を追跡できるか
  • 原材料単位(kg、Lなど)の変換に対応しているか

組立製造向けERPをそのまま使うと、「管理できない」「現場が回らない」ケースも多いため注意が必要です。

受注生産・個別受注生産の場合

  • 装置産業
  • 金属加工業
  • オーダーメイド製品メーカー

特徴

  • 案件ごとに仕様が異なる
  • 製番(案件単位)で管理したい
  • 原価を案件別に把握したい

ERP選びのポイント

このタイプでは、案件単位の管理ができるかが最重要です。

  • 製番ごとに原価・進捗を追えるか
  • 見積〜受注〜生産〜売上まで一貫管理できるか
  • 途中仕様変更に対応できるか

「製品単位」ではなく「案件単位」で管理できるERPを選ばないと、原価が見えず、利益管理が難しくなります。

見込み生産が中心の場合

  • 消費財メーカー
  • 量産型メーカー

特徴

  • 需要予測が重要
  • 在庫リスクが大きい
  • 生産量の調整が頻繁

ERP選びのポイント

見込み生産では、在庫と生産計画のバランスがカギになります。

  • 需要予測をもとに生産計画を立てられるか
  • 在庫過多・欠品を防ぐ仕組みがあるか
  • 売れ行きに応じて柔軟に調整できるか

「在庫を減らしつつ、売り逃しを防ぐ」ための仕組みがあるERPが向いています。

製造業向けERPはクラウドとオンプレミスどちらがよいか

製造業でERPを検討する際、「クラウドERPとオンプレミスERP、どちらを選ぶべきか」は非常に重要な判断ポイントです。

ここではメリット比較ではなく、「どんな会社に向いているか」という視点で整理します。

クラウドERPが向いているケース

次のような条件に当てはまる場合、クラウドERPの方が失敗しにくい傾向があります。

基幹システムの老朽化を解消したい

  • 長年使ってきたシステムがブラックボックス化している
  • 保守できる人が限られている

サーバー管理や保守を自社で抱えなくてよいため、リプレイス時の負担を大きく減らせます。

将来的な事業拡大や変化を想定している

  • 拠点や工場が増える可能性がある
  • 海外展開やグループ管理を視野に入れている

クラウドERPは拡張・追加がしやすく、後から困りにくいのが強みです。

経営数値をリアルタイムで把握したい

  • 原価や在庫、売上をタイムリーに見たい
  • 月次決算を早めたい

データが一元管理されるため、経営判断のスピードが上がります

ERPを「現場システム」と切り離して考えたい

  • 生産管理やMESは専用システムを使いたい
  • ERPは会計・販売・在庫・管理会計を中心にしたい

クラウドERPは他システムとの連携が前提の設計になっていることが多く、役割分担しやすいです。


オンプレミスERPが向いているケース

一方で、次のようなケースではオンプレミスERPが選ばれることもあります。

業務フローが極めて独自

  • 標準機能では対応できない工程が多い
  • ERPを業務に合わせて細かく作り込みたい

業務を変えずにシステムを合わせたい場合はオンプレミスが向くことがあります。

ネットワーク制約やセキュリティ要件が厳しい

  • 工場ネットワークが外部と分離されている
  • クラウド利用に制限がある業界・企業

インターネット接続に依存しない点がメリットです。

既存オンプレ環境を前提にした運用が確立している

  • 社内に運用ノウハウが蓄積されている
  • サーバー管理体制が整っている

すでに仕組みがある場合、無理に変えない選択も現実的です。

製造業向けERP14選

Oracle NetSuite(Oracle)

NetSuiteは、クラウドネイティブで設計されたERPとして、製造業の基幹業務を横断的に管理できる点が大きな特長です。販売・購買・在庫・生産・会計を単一データベースで統合し、受注から製造、出荷、会計処理までを一気通貫で可視化できます。複数拠点・複数事業を前提とした設計のため、工場や販社が増えてもマスタや数値を統一しやすく、成長フェーズの製造業に向いています。

製造業向けには、BOM管理、MRP、生産進捗管理、原価管理といった基本機能を標準で備えており、組立製造を中心に、受注生産・見込生産の双方に対応可能です。SKU別・案件別の損益管理や在庫回転率の可視化など、「現場の管理」と「経営判断」を同じ数字でつなげたい企業に適しています。
また、API連携や拡張性が高く、MESやWMSなどの周辺システムと組み合わせて段階的に高度化できる点も評価されています。

SAP S/4HANA Cloud(SAP ジャパン株式会社)

SAP S/4HANA Cloudは、製造業の基幹業務を幅広く統合し、計画から実行までをつなげて管理できるERPです。組立製造・プロセス製造の双方に対応し、繰返生産や受注生産、リーン生産、カンバン方式など、多様な生産方式を前提に設計されている点が特長です。製造現場の実態に合わせて、計画の立て方や指図の流し方を選べるため、製品特性や工場ごとの運用差が大きい企業でも整理しながら適用しやすいでしょう。

提供形態はパブリッククラウド版とプライベートクラウド版が用意され、プライベートクラウド版では既存運用に合わせたカスタマイズが可能です。需要の優先度や生産コスト、在庫状況を踏まえて生産計画を最適化し、製造業における一般的な業務フローを高い水準で効率化することを狙えます。一方で機能領域が広い分、現場への浸透や要件整理の難易度が上がりやすいため、導入時はベンダー支援や運用サービスを含めた体制設計が重要になります。


mcframe 7 SCM(ビジネスエンジニアリング株式会社)

mcframe 7 SCMは、需給調整から生産計画、調達、製造、出荷までをカバーする生産・販売・在庫の統合システムです。単独拠点での運用はもちろん、複数拠点を束ねる管理基盤としても利用できるため、工場・倉庫・販社などをまたいだサプライチェーン最適化を狙う企業に向きます。会社間取引やグループ共通マスタの管理機能も備え、拠点間でデータの粒度やルールを揃えたいケースで効果を発揮します。

現場の状況を把握しやすいダッシュボードや、異常・重要事項を知らせるプッシュ通知など、意思決定に必要な情報へ早く辿り着くUI設計も特徴です。タブレットやスマホで不良状態を画像で記録する機能、留意事項をタイムラインで共有する機能など、品質管理業務の“現場での使いやすさ”を意識した仕組みも用意されています。結果として、管理側だけでなく現場側の入力・共有が回りやすくなり、品質・在庫・進捗の情報鮮度を上げる運用につなげやすいでしょう。


Infor SyteLine(インフォアジャパン株式会社)

Infor SyteLineは、多言語・多通貨・マルチサイトに対応したグローバルERPパッケージで、海外拠点を含む複雑な製造体制を前提に据えています。全世界で6,000拠点以上、日本国内でも200拠点以上の導入実績があるとされ、拠点が増えるほど難しくなる「データの整合」「手配の連携」「在庫の見える化」に強みを持つタイプです。拠点間でデータ共有・連携を行い、必要に応じて拠点間の入出荷オーダーを自動作成するなど、マルチサイト運用の手間を減らす設計が特徴です。

また、現場運用に合わせた調整を行えるノンプログラミングのカスタマイズツールを搭載し、承認ワークフローや帳票フォーマットの変更にも対応します。さらに、バージョンアップ後も設定を引き継げるため、改善のPDCAを回す際に「改修したはずが、アップデートで戻った」といった手戻りを抑えやすい点が利点です。海外展開や拠点再編が見込まれる企業では、将来の構成変化を織り込んだ運用設計がしやすいでしょう。


InfiniOne 組立製造業向けERPソリューション(FutureOne株式会社)

InfiniOne 組立製造業向けERPソリューションは、組立製造業の業務に軸足を置き、販売・購買・在庫・生産・原価・会計といった基幹領域を一元化するソリューションです。組立製造と一口に言っても、生産形態は見込生産・受注生産など複数存在しますが、本製品はそれらの違いを前提に機能が整理されています。現場の実態に合わせて、管理単位や計画の立て方を設計しやすい点が特徴です。

さらに、ファブレス型製造業にも対応しており、生産活動を外部委託する企業に必要な外注管理を便利にする機能を搭載しています。見込生産向けには生産計画、製品別原価の予実管理、実際原価と標準原価の差異分析などを用意し、利益のブレを“気合”ではなく数字で追える状態を作りやすいでしょう。また収益管理にも対応しており、見込生産では製品別、受注生産では案件別というように、生産形式に合った単位で収益を紐づけて管理できる点が、経営管理まで見据えた運用に向きます。


FutureStage 製造業向け⽣産管理システム(株式会社日立システムズ)

FutureStage 製造業向け生産管理システムは、中堅・中小規模企業の“モノづくりの実態”を想定してノウハウを凝縮した生産管理システムです。自動車部品製造、金属加工、一般機械(個別受注生産)向けなど、業種・業務形態に合わせたテンプレートが用意されており、商慣習や業務プロセス、マスタ、必要機能を現実的な形で当て込みやすい設計です。「ゼロから要件を積み上げて作り込む」のではなく、「型を使って早く整える」方向で検討しやすいのがポイントです。

機能面では生産・原価・販売・購買・在庫管理に加え、輸出入管理やロットトレース管理を標準で搭載しています。輸出入管理では為替差損益の算出や貿易事務に必要な書類作成に対応し、海外拠点・海外顧客との取引効率化にもつながります。また、MRPと製番管理を併用できる生産管理や、製番別の正確な原価計算など、現場で詰まりやすいポイント(手配の乱れ、原価の見えなさ、利益率の把握遅れ)を狙って解消する機能が厚いのも特徴です。


BIZXIM製番(株式会社NTTデータ関西)

BIZXIM製番は、多品種少量生産に多い「受注生産」「個別受注生産」を中心に、製番管理を軸として業務を統合するERPソリューションです。引合の発生段階から管理でき、見積・受注・出荷・売上・原価までを一気通貫で追えるため、「案件ごとに儲かっているのかが最後まで分からない」「追加工数や部材の増減が利益にどう響いたか曖昧」といった課題に対して、管理の骨格を作りやすいでしょう。さらに、財務会計まで含めて業務プロセス全般をカバーする点も特徴です。

アフターメンテナンスや定期点検のステータス、修理で使用する保守部品情報などを、元の製番情報と紐づけて管理できるため、販売後の対応品質を安定させたい企業にも向きます。UI面でも、CSV取り込み、フィルタ・ソート検索などExcelライクな操作性を備え、画面レイアウトをユーザー単位で変更できるなど、現場の“使われ方”を意識した作りになっています。結果として、入力負担を下げつつ、履歴が残る運用を定着させやすい点が強みです。


Ross ERP(株式会社日立システムズ)

Ross ERPは、化学品製造業や食品製造業といったプロセス製造に焦点を当てた基幹業務システムです。世界35カ国以上、2,500社超の導入実績があるとされ、プロセス製造で頻出する「単位が複雑」「配合・純度・特性が絡む」「ロットや期限で追う必要がある」といった要件を前提に機能が設計されています。一般的なERPでは対応が難しい業務課題の解決に役立つとされる点が、プロセス製造向けとしての立ち位置です。

食品業界向けには、ロット単位で品目・消費期限(有効期限)・品質検査結果・顧客ごとの規格値情報を管理・照会でき、顧客ごとに異なる品質要求にも対応しやすい構成です。化学業界向けには、粉体・液体・ロール状半製品など多様な形態の管理に向けた「拡張単位変換」など、現場の扱う“ものの形”に踏み込んだ機能を搭載しています。品質・期限・ロットを軸に、トレーサビリティや規格管理を強く求められる領域で検討対象になりやすいでしょう。


スーパーカクテルCore FOODs(株式会社内田洋行)

スーパーカクテルCore FOODsは、食品製造業に特化した製販一体型の統合パッケージで、調達から生産、販売までの流れをつなぎ、PDCAを回しやすい形に整えることを狙っています。食品業界では季節要因や消費動向の影響が大きく、計画と実績のズレが在庫ロスや欠品に直結しがちですが、本製品はそうした業界特性を踏まえた販売計画・生産計画の作成を強みとして掲げています。生産量の調整や在庫の適正化を実務に落とし込み、製造から出荷までのリードタイム短縮に貢献する設計です。

また、賞味期限管理や店舗・帳合先管理、ハンディターミナルによる入出荷・検品など、食品業界特有の商慣習や現場オペレーションを効率化する機能が充実しています。過去の売上データを活用して精度の高い販売・生産計画、製造指示を作成し、売上機会の損失や在庫ロスを防ぐことも狙えます。「計画の精度」と「現場の実行」を同時に押さえたい食品メーカーにとって、検討しやすい選択肢となるでしょう。

STRAMMIC(株式会社ニッセイコム)

STRAMMICは、生産管理を中心に据えた製造業向け基幹業務システムで、マルチカンパニー・マルチファクトリー対応を前提に設計されています。すべてを一度に導入するのではなく、目的に応じて必要な機能から導入し、段階的に拡張できる点が特徴です。システム刷新のリスクを抑えながら進めたい企業にとって、現実的な選択肢となります。

所要量計算や補充計算をもとに、生産指図や出荷指示を自動生成できるため、自社工場だけでなく協力工場・外注先を含めた生産体制の効率化にも向いています。製造パターンごとにBOMを定義でき、拠点ごとの能力差や工程変更にも柔軟に対応可能です。
業種特有の情報(危険物管理など)をマスタに持たせられる点も、製造現場の実務を意識した設計といえるでしょう。


atWill(SCSK株式会社)

atWillは、製造業で長年蓄積された業務ノウハウをベースに構築された業務システムで、「標準×拡張」のバランスを重視した設計が特徴です。業態・業界別に整理されたテンプレート群(Vertical/Horizontal)と、ローコード開発基盤(atWill Platform)を組み合わせることで、過度なフルスクラッチを避けつつ自社要件に寄せることができます。

生産管理を中心に、販売・購買・在庫・品質・原価を一元管理でき、時間単位での生産計画や、配賦パターンの細かい原価計算にも対応します。また、金型管理やアフターサービス、倉庫管理、CPQなど、製造業で後回しにされがちな周辺業務まで含めて整理できる点も強みです。
「現場の運用を大きく変えすぎず、段階的に高度化したい企業」に向いています。


アラジンオフィス(株式会社アイル)

アラジンオフィスは、中堅・中小製造業を中心に多数の導入実績を持つ販売・在庫・生産管理パッケージです。組立型・加工型・プロセス型・ファブレス型など、多様な製造業態を想定した標準機能を備えており、比較的短期間での導入・定着を狙いやすい点が特長です。

部品表管理、工程進捗、所要量計算、原価・ロット・トレーサビリティ管理までを標準でカバーし、図面や見積書といったドキュメントも取引先単位で紐づけ可能です。これにより、属人化しがちな情報管理をシステム側に寄せやすくなります。
BtoB受発注システムや外部会計、WMSとの連携実績も豊富で、「現場と経営を無理なくつなぎたい中小製造業」に適したERPといえるでしょう。


Dynamics 365 Business Central(Microsoft)

Dynamics 365 Business Centralは、販売・購買・在庫・生産・会計といった基幹業務を統合管理できるクラウドERPで、製造業向けの生産管理モジュールを標準搭載しています。組立製造・プロセス製造の双方に対応し、見込生産・受注生産など複数の生産タイプを扱える点が特徴です。

MPS/MRPによる生産・購買計画の自動立案や、BOM・工程のバージョン管理、リアルタイム原価計算など、製造業で必要とされる基本機能を押さえています。Microsoft 365やPower Platformとの親和性が高く、Excelベースの業務を段階的にシステム化したい企業にも向いています。
「ITリテラシーの差がある現場でも使いやすいERP」を求める企業にとって、検討価値の高い選択肢です。


GRANDIT(インフォコム株式会社)

GRANDITは、複数のコンソーシアム企業のノウハウを集約して開発された、製造・販売・財務一体型のERPです。日本の製造業で多い生産形態を前提に、生産管理機能が細かく用意されている点が特長です。

組立製造向けには、BOMに基づく手配処理だけでなく、製番別の都度手配にも対応し、繰返生産・個別生産・ハイブリッド生産を柔軟に扱えます。プロセス製造向けには、配合表をもとにした消費量計算や、代替原料を含むBOM管理など、業種特有の要件を織り込んだ機能を搭載しています。
「日本型の製造業務にフィットするERPを重視したい企業」に向いた製品といえるでしょう。

まとめ

製造業向けERPは、受注・生産・在庫・購買・原価・会計といった基幹業務を一つの仕組みでつなぎ、部門間の情報ズレや二重入力、属人化を減らすための土台になります。とくに、在庫や生産の見える化、原価の把握、経営判断の迅速化は、ERP導入によって改善が期待しやすいポイントです。

一方で、ERP導入を成功させるには「有名だから」「高機能だから」で選ぶのではなく、自社の製造スタイル(組立/プロセス/受注生産など)や、管理したい単位(製品別/製番別/ロット別)に合うかどうかを起点に比較することが重要です。クラウドERPが向く企業もあれば、業務の独自性や制約からオンプレミスが現実的な企業もあります。

本記事で紹介した14製品は、それぞれ得意領域や想定する業務規模が異なります。まずは「解決したい課題」と「ERPに任せたい業務範囲」を整理し、候補を2〜3製品まで絞り込んだうえで、デモやトライアル、導入パートナーの提案を比較しましょう。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

株式会社ベンチャーネット 代表取締役
2005年に株式会社ベンチャーネットを設立後、SEOをはじめとするデジタルマーケティング領域のコンサルティングサービスを展開
広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で支援を行っています
著書に『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業 「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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