Starfish Team とは?AIエージェント時代に中小企業の経営を止めない組織モデル【クラウドERP活用】

AIエージェントが急速に進化するなか、「SaaSは死ぬ」「人の仕事はAIに置き換わる」といった刺激的な言説が飛び交っています。

業務の一部はAIに自動化・代替されつつあるのは事実です。

しかし本質的な問いは、「どのツールが生き残るか」ではありません。

企業の仕事と組織は、どう再設計されるべきか」こそが、経営者の方々が向き合うべき問いです。

本記事では、新しい組織モデル「Starfish Team(スターフィッシュ・チーム)」をご紹介します。人・AIエージェント・AIクラウドERP(クラウド型で提供される基幹システム)が協調するモデルです。

これは、NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットがご提案する、AI時代の中小・中堅企業のための組織モデルです。NetSuite導入の現場で積み上げてきた知見がベースになっています。

目次

AIエージェント時代に「SaaSは死ぬ」のか? ── 結論から先に

近年、AIエージェントの進化を背景に「SaaSは死ぬ」「これからはデータを持つ企業が勝つ」という議論が盛んです。

確かに、表層的な機能やUIだけで成立しているSaaS(Software as a Service:クラウド上で提供されるソフトウェア)もあります。こうしたものは、AIエージェントによって代替・圧縮されていく可能性があります。

しかし結論から言えば、すべてのSaaSが淘汰されるわけではありません

むしろ、AIエージェント時代においては、基幹システムの重要性がこれまで以上に高まる という逆説的な状況が生まれています。ERP(Enterprise Resource Planning:基幹業務を統合管理するシステム)やCRMが、その代表です。

理由は単純です。

  • 信頼性・可用性・セキュリティ
  • ガバナンスや監査対応
  • 運用保守の継続性

これらは、表層的なUIとは別次元の価値を持ちます。

AIと連携できるインフラ側のSaaS ── 特にクラウドERPは、AI時代にむしろ重要性を増しています。詳しくは「NetSuiteとは?中堅・中小企業の経営者が知っておきたいクラウドERP入門【2026年版】」もご参照ください。

AIは非決定論、ERPは決定論 ── なぜERPの価値が逆に高まるのか

AIエージェントとERPは、対立する技術ではありません。

むしろ、役割が真逆だからこそ補完し合う関係 にあります。違いを整理すると、次の表のようになります。

AIエージェントとERP ── 役割の違いと補完関係

観点AIエージェントERP(基幹システム)
動作原理非決定論(同じ入力でも出力が揺らぐ)決定論(同じ入力には同じ出力)
得意な仕事推論・予測・提案・自然言語の対話取引記録・在庫管理・会計処理・データ統合
求められる精度「だいたい合っている」で十分な領域数円単位まで合っている必要がある領域
AI時代の役割判断と推論を担う「唯一の正しいデータ」を提供する
欠かせない理由経営判断のスピードを上げる監査・統制・再現性の基盤となる

AIが増えるほど、ERPの価値はむしろ上がります。

なぜなら、AIが推論や判断を担うようになるほど、参照すべき「正しいデータ」の重みが増すからです。

企業システムには、以下のような要件が求められます。

  • 取引処理は毎回同じルールで行われる
  • 数値は監査に耐えうる正確性が求められる
  • 業務プロセスは再現可能である必要がある

これらは、AIの非決定論的な振る舞いとは真逆の要件です。

AIの判断を信頼するためには、その判断材料が信頼できる必要があります。だからこそ、SoR(System of Record:唯一の事実を記録するシステム)の役割を担うERPの存在が重要です。AI時代の基幹システムとして、その重みは増し続けています。

生成AIとERPの組み合わせがもたらす価値については、「価値創造経営の第一歩「ERPと生成AI」」もご参照ください。

中小企業にNetSuiteが適している5つの理由

企業がERPなどのエンタープライズソフトウェアを導入する理由は、「便利だから」ではありません。

企業プロセスを体系化し、将来にわたって崩れにくい基盤を作るため です。

特に、売上10億円を超えて拠点・人員・取引先が増え始めた企業にとって、業務の複雑化はすでに経営課題になっています。

その段階で求められるのが、柔軟性と統制を両立できるERPです。これにフィットするのが、中堅・中小企業向けに設計されたクラウドERP NetSuite です。

NetSuiteは現在、世界43,000社以上、220地域、190通貨、27言語 に対応しており、「#1 AI Cloud ERP」として位置づけられています。中小・中堅企業に適している理由を、3つの観点に整理します。

クラウドネイティブで「最初から重くならない」

NetSuiteは、オンプレミス前提の従来型ERPとは異なり、最初からクラウド前提で設計されています。

そのため、以下のような特徴があります。

  • サーバー調達や運用を前提にしない
  • 初期導入時の構成がシンプル
  • 利用規模に応じて自然にスケールできる

売上10億円前後の企業にとって重要なのは、「将来の最大構成に耐えられること」よりも、今の業務を止めずに導入できること です。NetSuiteは、「いきなり完成形を求めないERP」という点で、中小・中堅企業の現実的な成長フェーズに合っています。

APIが豊富で、外部システムやAIとつなぎやすい

NetSuiteの大きな特徴の一つが、APIを前提とした設計です。API(Application Programming Interface)とは、システム間で機能を呼び出す仕組みのことです。

これは単なる技術仕様ではなく、「ERPが単独で完結しない」ことを前提にしているという思想を意味します。

  • 既存のSaaSと連携できる
  • 業務特化ツールを後付けできる
  • AIエージェントから安全に呼び出せる

この構造があるからこそ、ERPを「全部入りの巨大システム」にする必要がありません。

段階的に育てるERP ── AI時代との相性が良い

NetSuiteは、最初からすべての機能を入れる前提ではありません。

例えば、次のような段階的な拡張が可能です。

  • まずは会計・販売管理から
  • 次に在庫・購買を追加
  • その後、AIエージェントと連携

「今の業務」と「将来の成長」を同時に考えなければならない売上10億円以上の企業にとって、極めて現実的なアプローチです。

完成形を一度で作ろうとしないからこそ、導入も運用も破綻しにくいのです。

NetSuiteの製品詳細については「AIクラウドERPとは?AI時代の基幹システムと両利きの経営を実現する最新戦略を解説」もご参照ください。

AIはツールではなく「仕事そのもの」を担う時代へ

AIエージェント導入により、「人の仕事が奪われるのではないか」という懸念がよく語られます。

しかし、より正確に表現すると、AIはツールではなく、仕事そのものを担いに来ている と言えます。

これまで人が行ってきた判断業務 ── 営業判断、需給予測、在庫最適化、経営分析など ── を、AIエージェントが直接代替するケースが増えています。

その結果、AIは単なるITコストではなく、人件費と競合する存在 になりつつあります。

この変化は、企業にとって2つの示唆を与えます。

  1. AIをコストではなく「業務を担う戦力」として位置づける必要がある
  2. AIに任せる業務領域と、人が担う業務領域の再設計が経営課題になる

この前提のもとで、次の問いが浮かびます。「日本企業は、AIを業務に組み込む準備ができているのか?

日本企業がAI活用で苦戦する本当の理由 ── 単一の事実(SSoT)の欠如

日本企業では「AIを導入すれば業務が変わる」という期待がある一方で、実際には本格活用に至らないケースが少なくありません。

その理由は、技術力や意識の問題ではありません。システムとデータが統一されていないこと にあります。

具体的には、次の3つの状態に陥っています。

  • 部門ごとに異なるシステムを利用している
  • データ形式や定義がバラバラ
  • 社内ですら「単一の事実」が存在しない

一方、欧米企業ではERPを中心にデータが統合されています。自社だけでなくサプライチェーン全体のデータをAIエージェントが活用できる環境が整っています。

AIはデータ基盤がなければ機能しません。この差が、AI活用の成否を分けています。

同じ言葉でも、部門ごとに意味が違う

さらに深刻なのは、「同じ言葉でも、意味が統一されていない」問題です。

例えば、「売上」「受注」「在庫」といった基本的な指標ですら、部門やシステムごとに定義や集計タイミングが異なることが珍しくありません。

AIは与えられたデータを前提として推論します。定義が揺れているデータを学習・参照すれば、どれほど高度なAIであっても、判断は不安定になります。

AIには「Single Source of Truth」が必須

社内ですら「単一の事実」が存在しないと、結果として次のような状況が生まれます。

  • どの数字が正しいのか分からない
  • 会議ごとに数字が変わる

これは人間にとっても致命的ですが、AIにとってはさらに致命的です。AIは矛盾した事実を調整する役割を担えません。

AIが機能するためには、唯一の正しいデータ(Single Source of Truth:SSoT) が必要です。それを提供できるのが、ERPを中心とした統合データ基盤です。

データドリブン経営の進め方は「【2026年最新】データドリブン経営とは?中小企業がERPで実現する実践方法と失敗パターン」もあわせてご参照ください。

AI時代に「生き残るSaaS」の4つの条件

AIエージェントの普及によって、「SaaS is Dead」という言葉が語られるようになりました。

ここで言われている“死”は、SaaSという形態そのものの消滅を意味しません。

人が画面を開いて操作することを前提としたSaaSの終わり を指しています。

AIエージェントが業務を担う時代、仕事はUIの上ではなく裏側で流れます。人は「意図」を伝え、AIが複数のサービスを横断して処理する。そのときSaaSは、アプリではなくAIに呼び出される部品 になります。

では、AIが安心して使えるSaaSとは何か。条件は次の4つに集約されます。

APIの設計:AIが安全に「操作できる道路」があるか

AIエージェントは、人間とは比べものにならない速度と回数で操作を行います。

API設計が雑なSaaSでは、ミスが一瞬で大事故に変わります。

  • 二重請求が大量に発生する
  • 同じ通知が何十回も送られる
  • 失敗した処理を元に戻せない

AI時代に求められるAPIとは、次のような設計です。

  • 同じ操作を何度呼んでも結果が壊れない
  • 失敗時のロールバックが定義されている
  • エラー理由が機械的に判別できる
  • 危険な操作には制限や確認フローがある

つまり、AIが運転する前提で設計された道路 です。

データモデル:企業の世界観が定義されているか

AIはデータを理解しているのではありません。データモデル(データの構造定義)を前提に推論しているだけ です。

  • 「顧客」とは誰か
  • 「契約」はいつ成立するのか
  • 「解約」は申請か、確定か

こうした定義が曖昧なままデータを詰め込むと、AIは文脈を失い、誤った判断をします。AI時代のSaaSにおいて価値があるのは、派手なUIではなく、整ったデータの器 です。

権限:AIに「どこまで任せるか」を設計できているか

AIエージェントに業務を任せるということは、実質的に権限を委譲する ことを意味します。

権限が強すぎれば事故が起き、弱すぎれば業務が進みません。

だからこそ、次のようなガードレール設計が不可欠になります。

  • 最小権限
  • 役割ベースの権限
  • 期限付き権限
  • 特定操作のみ追加承認

この設計ができないSaaSは、「便利でも怖くて使えない」と判断されます。

監査ログ:AIの行動を説明できるか

AIが仕事を担うほど、「なぜその判断が行われたのか」が問われます。

  • 誰が請求額を変えたのか
  • なぜ顧客がブロックされたのか
  • どのAIが、いつ、何をしたのか

監査ログがなければ、原因追跡も説明責任も果たせません。AI時代においては、「やったことが残る」こと自体が信用です。

AI時代の組織設計でやりがちな4つの失敗パターン

AIエージェントとAIクラウドERPで組織を強くしようとする取り組みは、少し進め方を誤ると、思った成果が出ません。

ここでは、ベンチャーネットがこれまで多くの現場で見てきた、AI時代の組織設計でやりがちな失敗パターンを4つご紹介します。

これは「うまくやれていない会社」をあげつらうためではありません。「同じ失敗を繰り返してほしくない」という思いから書くものです。お客様との対等な関係を大切にしているからこそ、リスクを正直にお伝えします。

失敗パターン①:データ統合をしないまま、AIエージェントから入れる

よくある現象

  • AIエージェントを試験導入したが、部門ごとにデータが分断していて活用しきれない
  • 「売上」「在庫」など同じ指標でも、システムごとに数字が違って判断に使えない
  • BIツールやChatGPTを社内で配ったが、現場の意思決定はExcelのまま変わらない

なぜ失敗するか

AIエージェントは「データの整理が終わっている前提」で動きます。

部門ごとにシステムが乱立し、データ定義もバラバラの状態を考えてみてください。そこには、AIが参照すべき単一の事実(Single Source of Truth:組織内で唯一信頼できるデータ源)が存在しません。

その結果、AIは推論のたびに矛盾するデータに突き当たり、判断が不安定になります。

つまり、データ統合という基盤工事を飛ばして、いきなり屋根(AI)から作ろうとしているのと同じです。

どう回避するか

まずクラウドERPで「単一の事実」となるデータ基盤を整えます。

ベンチャーネットでは、AIをいきなり全業務に展開するのではなく、ERPでデータの統合と定義の標準化を先行させる進め方を推奨しています。

これは決して遠回りではありません。結果として、AIが期待通りに動く環境を最短で作る道筋になります。

詳しくは「データドリブン経営入門」「AIクラウドERPとは?」もご参照ください。

失敗パターン②:中心人物への依存を残したまま、AIを足す

よくある現象

  • 営業のエース、経理のベテラン、生産管理の熟練者が抜けると業務が止まる
  • 「あの人にしか分からない」業務プロセスをAIで自動化しようとして頓挫
  • AIにルールを学習させようとしても、誰もそのルールを言語化できない

なぜ失敗するか

中心人物に業務知識が集中している組織では、その人の頭の中にだけルールが存在します。

ルールが言語化されていないので、AIエージェントに教えることもできません。

仮にAIを導入しても、結局は中心人物がAIの出力を承認する形になり、依存は減りません。これは「組織の中心が人にある」状態のままだからです。

属人化を解消しないままAIを足すと、AIが中心人物の負担をさらに増やす結果になります。

どう回避するか

組織の中心を「人」から「ERP上の事実とルール」に移します。

ベンチャーネットでは、業務プロセスをERP上で言語化・標準化する工程を、AI導入の前に必ず置きます。

これは中心人物の経験を否定するものではありません。むしろ、その経験を組織の資産に変える作業です。

中心人物が抜けても業務が止まらない状態が、AI活用の前提条件になります。これは Starfish Team の核心メッセージ「中心はERP、人ではない」と一致します。

失敗パターン③:全社一斉でAIエージェントを導入し、「完璧」を目指す

よくある現象

  • 経営層が「全社DX」「全部門AI化」を一斉に号令する
  • パイロット運用を経ずに、本番環境に全機能を一気に投入する
  • 「完成形を作ってから運用する」計画で、稼働開始がどんどん遅れる

なぜ失敗するか

AIエージェントもERPも、組織の中で使われながら磨かれていく仕組みです。

しかし「完璧」を最初から目指すと、現場が触る前に要件定義と設計に膨大な時間がかかります。その間にも市場やAI技術は変化していくため、稼働開始時点で設計が古くなっているケースもあります。

さらに深刻なのは、全社一斉導入は影響範囲が広すぎて、何か問題が起きた時に止められないことです。

一部の業務だけ戻すこともできず、組織全体が混乱する状態に陥ります。

どう回避するか

完璧より、まず回す」発想で、段階導入を選びます。

ベンチャーネットでは、会計や販売管理など影響範囲を限定したスコープから始め、運用しながら隣接業務に広げていく進め方を推奨しています。

AIエージェントについても、いきなり全業務ではなく、効果が見えやすい単位で導入します。結果を見ながら横展開していくのが現実的です。

これは「育てるERP」「育てるAI」という発想です。Starfish Team が「人やAIの入れ替えを前提にできる」と表現する通りです。最初から完成形を作るのではなく、動かしながら進化させる ことが結果的に最短ルートになります。

失敗パターン④:パートナー軽視で、自社だけでAI×ERPを進める

よくある現象

  • ERPもAIも導入経験が浅いまま、自社単独で要件定義から進めようとする
  • 「コスト削減」を優先してパートナーを選び、業務理解の浅いベンダーに任せる
  • 導入後に問題が起きても、相談できる相手がいない/ベンダーから明確な答えが返ってこない

なぜ失敗するか

ERP導入とAIエージェント活用は、製品の機能だけで成果が決まる領域ではありません。

業務をどう設計するか、データ定義をどう揃えるか、組織の中心にどんなルールを置くか。こうした論点には、経営判断と現場知識を両方理解した伴走者 がいないと、製品の力は引き出せません。

特にAI時代のERPは、API設計・データモデル・権限・監査ログといった「AIが安心して触れる土台」の設計が成果を左右します。

これは経験のある支援パートナーでないと、適切な設計判断ができません。

どう回避するか

対等な関係」で議論できる伴走パートナーを選びます。

ベンチャーネットは、お客様との対等な関係を大切にしています。失敗のリスクを正直にお伝えし、難しい判断は一緒に考え、長期的に伴走することを前提としています。

これはERPとAIを「導入して終わり」ではありません。「経営プロジェクト」として一緒に育てていく発想です。

パートナー選びをもう少し深く考えたい方は、「ERP導入失敗の原因はパートナーにあり?「パートナー変更(リプレイス)」という選択肢」「ERP導入はなぜ失敗するのか」もご参照ください。

4つの失敗パターンに共通すること

4つの失敗パターンに共通しているのは、「組織の中心をどこに置くか」という発想の欠如です。

中心が「特定の人」のままだと、AIを足しても属人化は減りません。中心が「個別のシステム」のままだと、AIが参照すべき単一の事実が存在しません。

Starfish Team の発想は、組織の中心を「ERP上の事実とルール」に置き直すことから始まります。これは決してシステム導入の話ではなく、経営プロジェクト です。

完璧を最初から目指さず、まず回しながら磨いていく ── ベンチャーネットは、その伴走者でありたいと考えています。

「中心人物依存型」と「Starfish Team型」── 組織モデルの5軸比較

ここまでの議論を踏まえて、AI時代の組織モデルを提案します。

それが、Starfish Team(スターフィッシュ・チーム) です。Starfish Team は、ヒトデのように分散・自律協調する組織モデルで、次の構造を持ちます。

  • 中心:ERP(ヒトデの中心)── 単一のデータ真実、業務整合性・監査性・スケーラビリティを担保
  • 各腕:人 × AIエージェント(営業AI、生産計画AI、在庫最適化AI、経営分析AIなど)

各腕は独立して判断・行動し、一部が止まってもチーム全体は止まりません。

従来のプロジェクト型組織と何が違うのか。整理すると、次の表のようになります。

従来型との5軸比較

※ 中心人物依存型が、いつでも悪いわけではありません。創業期や小規模な組織では、優秀な中心人物に判断を集める方が、意思決定が速く合理的な場面もあります。

ただし、事業の規模が拡大し、業務が複雑化するフェーズ になると、中心人物依存型のリスクが高まります。AIエージェント時代には、組織モデルを意識的に再設計する必要が出てきます。

「中心人物依存型」と「Starfish Team型」── AI時代の組織モデル比較

観点中心人物依存型(従来型)Starfish Team型(AI時代の組織)
中心に置くもの特定の人(エース社員・キーマン)ERP上の事実とルール
業務分担の単位個人の経験・暗黙知「人 × AIエージェント」のペア
入れ替わりへの耐性中心人物が抜けると業務が止まる人が替わっても、AIが世代交代しても動き続ける
AI導入の進め方全社一斉、完璧主義業務単位で段階導入、入れ替え前提
判断プロセスの透明性中心人物の頭の中(ブラックボックス化しやすい)ERPとAIのログで追跡可能

Starfish Team の本質は、組織図を変えることではありません。

組織の中心をどこに置くか」という発想を変えることにあります。

中心が人だと、その人が抜けた瞬間に組織は機能不全に陥ります。中心が個別システムだと、AIが参照すべき事実が複数存在してしまいます。

中心を「ERP上の事実とルール」に置き直すことで、人が抜けても、AIが世代交代しても、業務の整合性は失われません。

これが、AI時代に「動き続ける組織」を作る出発点です。

なぜ Starfish Team が強いのか

Starfish Team が AI時代に適している理由は、次の3点です。

  • 分散型で属人化しない:中心は「人」ではなく「ERP上の事実とルール」
  • AIエージェントを業務単位で拡張できる:全社一斉ではなく、業務単位で導入・改善
  • 人やAIの入れ替えを前提にできる:中心が不変だから、周辺はいつでも更新できる

特に変化の激しいAI時代において、「最初から完璧なシステムを作る」のではなく、「動かしながら磨いていける構造」が極めて大きな強みになります。

「THE STARFISH」── ベンチャーネットの実装フレームワーク

ベンチャーネットでは、この Starfish Team の考え方を「THE STARFISH」と名づけました。AIエージェント × AIクラウドERP時代の組織設計フレームワークとして展開しています。

THE STARFISH の核となる考え方は、次の通りです。

  • 中心にあるのは常に、決定論的な SoR(System of Record) としてのERP
  • 周囲に、人とAIエージェントが役割単位で接続される
  • 人とAIが入れ替わることを前提にしながらも、データの一貫性と業務の再現性を失わない

AIを「導入する」段階から、AIとともに「組織を設計する」段階へ ── THE STARFISH は、その転換点に立つ企業のためのフレームワークです。

よくある質問(FAQ)

Q1:中堅・中小企業でも Starfish Team は現実的ですか?大企業向けの理論ではないですか?

現実的です。むしろ、中堅・中小企業ほど Starfish Team の発想と相性が良いと言えます。

中堅・中小企業は、大企業と違い、組織構造をまだ柔軟に再設計できる段階にあります。専門部署を多数抱えていない分、ERP を中心に据えた組織モデルへの移行が比較的スムーズです。

また、AIエージェントの活用も「全社一斉」ではなく「業務単位」で進められるため、リソースの少ない中堅・中小企業に適した進め方です。

NetSuite のような中堅・中小企業向けに設計されたクラウドERPを中心に据えれば、無理のない規模感で Starfish Team を実装できます。

Q2:人を「入れ替え可能」と考えるのは、冷たい発想に聞こえます。

ご指摘の通り、表現だけ取ると冷たく聞こえるかもしれません。ただし、Starfish Team の発想はむしろ「人を守る」ためのものです。

中心人物に業務知識が集中している組織では、その人が病気で休んだり、退職したりすると、業務が止まります。残された人にも、引き継ぎや復元の負担が一気に押し寄せます。

これは個人にも組織にも、大きな負担です。

Starfish Team の発想は、特定の人に過度な負担が集中しない仕組みを作ることです。組織の中心を ERP 上の事実とルールに置けば、誰かが抜けても業務は止まりません。

これは個人を「替えがきく駒」と見るのではありません。個人が安心して休めて、安心して新しい挑戦ができる土台 を作るための発想です。

Q3:Starfish Team を実装する「最初の一歩」は何ですか?

クラウドERPで「単一の事実(Single Source of Truth)」となるデータ基盤を整えることから始めます。

AIエージェントを先に導入しても、参照するデータが分断されたままだと、AIは正しい判断ができません。まずは ERP で会計・販売・在庫など、影響範囲が見えやすい業務領域からデータを統合します。

全業務を一気に統合する必要はありません。「完璧より、まず回す」発想で、一部から始めて、運用しながら隣接業務に広げていくのが現実的です。

詳しい進め方は、「データドリブン経営入門」「AIクラウドERPとは?」もご参照ください。

Q4:既に別のERPを使っています。Starfish Team に移行する必要がありますか?

すぐに置き換える必要はありません。まず現状の ERP が Starfish Team の中心になれるかを評価することから始めます。

評価のポイントは、AI時代に生き残るSaaSの4条件 ── API の安全性、データモデルの整合性、権限設計、監査ログ ── を満たしているかどうかです。これらが十分なら、現状のERPを活かしながら、AIエージェントを段階的に接続する道があります。

もし現状のERPで限界を感じている場合は、リプレイス(基幹システム入れ替え)も選択肢です。

ベンチャーネットでは、現状評価から最適な進め方の判断まで、伴走支援しています。リプレイスを検討される方は「ERP導入はなぜ失敗するのか」もご参照ください。

AI時代に動き続ける組織を、あなたの会社にも ── 次の一歩

AIエージェント時代の競争力は、「どのAIを使うか」では決まりません。

どのデータ基盤と組織構造を持つか」で決まります。

Starfish Team は、人とAIが共存し、入れ替わりながらも動き続けるための、一つの現実的な答えです。

中心にERPがある限り、組織構造そのものは壊れません。だからこそ、人にもAIにも、新しい挑戦の余白が生まれます。

ベンチャーネットは、NetSuiteを中心としたAI時代の経営基盤づくりを、お客様との「対等な関係」と「伴走」のスタンスで支援しています。

これはERPを「導入して終わり」ではありません。「経営プロジェクト」として、一緒に育てていく取り組みです。

完璧を最初から目指さず、まず回しながら磨いていく ── 私たちは、その伴走者でありたいと考えています。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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