【2024年最新】Power Appsで業務効率化の推進:メリットやデメリット、導入費用、業務アプリ作成方法、実用例を紹介

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に伴い、プログラミングの専門知識がなくてもアプリケーションを開発できる「ローコード・ノーコードツール」への関心が急激に高まりました。この波に乗る形で、多くの企業が使い勝手に優れた業務アプリ開発ツールを市場に投入しており、中でもMicrosoftが提供する「Power Apps」は特に注目されています。

この記事では、Microsoftが開発した革新的なノーコード業務アプリ開発ツール「Power Apps」に関して、メリットやデメリット、料金体系、使用方法を解説していきます。さらに、Power AppsをOracle NetSuiteと統合して利用する事例を紹介し、実践的な活用法についても掘り下げていきます。

目次

Power Apps(パワーアップス)とは

Power AppsはMicrosoftが提供するノーコード・ローコードプラットフォームで、Microsoft 365のサブスクリプションサービスの一部として利用可能です。この直感的な開発ツールを活用することで、ユーザーはドラッグ&ドロップといったシンプルな操作により、多様な業務アプリケーションを迅速に構築できます。

業務アプリケーションは、日常の業務プロセスをデジタル化し、効率化を目指して開発されたソフトウェアを指します。この範囲には在庫管理、顧客関係管理、生産管理など多岐にわたる領域が含まれています。例えば、在庫管理アプリを活用することにより、スタッフはパソコンやタブレットを通じて迅速に商品の在庫状況を把握し、業務の迅速化を実現できます。

従来、業務アプリケーションは企業の特有の要求に応じて、専門の開発業者が制作してきました。しかし、ローコード・ノーコードツールの登場によって、プログラミング知識が乏しい企業であっても、自社でアプリケーションを作成することが可能になったのです。この変革により、企業は外部依存を軽減し、開発および運用コストを削減できるようになります。また、業務プロセスに変更や更新が必要になった場合でも、迅速で柔軟な対応が可能です。

Power Appsのメリット

Power Appsが提供するメリットは、ユニークな機能や高い利便性など多岐にわたります。ここで、特に重要な4つのポイントを紹介します。

メリット①:充実したワークフロー自動化機能

Power Appsの大きな利点は、Microsoft Power Automateとの統合によるワークフロー自動化機能です。この統合を活用することで、承認プロセスやタスク管理などの定型業務を簡単に自動化し、業務効率を飛躍的に向上させることが可能です。クラウドベースのPower Automateを使用すれば、コーディングの必要なくビジネスプロセスを素早く自動化できます。多彩なテンプレートを駆使し、直感的かつ迅速にワークフローを設計できるため、開発にかかる時間とコストを削減しながら、業務プロセスの自動化と最適化を進められます。

メリット②:幅広いマルチプラットフォーム対応

Power Appsが提供する利点は、Windows、Web、iOS、Androidといった多種多様なプラットフォームに対応できる能力にあります。開発者は一度の開発作業で複数のプラットフォームを対象にできるため、Power Appsのレスポンシブデザインを活用して、どのデバイス上でも最適化されたユーザーエクスペリエンスを実現します。この広範囲にわたるプラットフォーム対応が、アプリケーションの普及を加速させ、ユーザーの満足度を高める要因となります。

メリット③:高いカスタマイズ性能

Power Appsの利点は、コーディング知識がなくても直感的なドラッグ&ドロップ操作により、アプリケーションを高度にカスタマイズできる能力にあります。企業は特有のニーズに迅速に応える「オーダーメイドのアプリケーション」を開発できます。このカスタマイズ性能を駆使して、企業は市場の変化に素早く適応し、顧客や利用者の期待に応じたサービスを迅速に展開できるようになります。

メリット④:直感的なデータ分析と連携の強化

Power Appsは、直感的なデータ分析機能と、ExcelやPower BIといったツールとの強力な連携能力を兼ね備えています。これにより、企業はデータの収集と整理を効率化し、Power Apps内で基本的な分析を手軽に行えます。ExcelやPower BIとシームレスに連携することで、ユーザーは容易に直感的で理解しやすいレポートやダッシュボードを作成可能です。Power Appsを活用することで、企業は市場動向を素早く把握し、データに基づく意思決定を加速させることができます。

Power Appsのデメリット

Power Appsはビジネスに多大なメリットをもたらしますが、利用する上でいくつかの制約も存在します。以下に、Power Appsの主なデメリットを挙げます。

デメリット①:大規模システム開発への適用性の限界

Power Appsは「中小規模ビジネスニーズ対応」に特化して設計されており、特定の業務プロセスを効率化するのに最適なツールです。しかし、多くのデータ統合が必要なケースや、複雑なロジックを用いる大規模なシステム開発には不向きです。

高性能や高度なセキュリティ要件が必要な場合、Power Appsを主要開発ツールとして用いるのは適していない場合があります。大規模プロジェクトにおいては、Power Appsをデータ入力や検索インターフェースなど、特定の機能開発に補助的に利用することが推奨されます。

デメリット②:デザインの自由度に制約あり

Power Appsは、その使い勝手の良さから、非開発者でもアプリケーションの作成が可能です。しかし、この便利さの裏側には、画面のカスタマイズに関する選択肢の限定という制約が存在します。用意されているデザインテンプレートやビルディングブロックは基本的な要求に応えるものの、洗練されたデザインや特定のブランドイメージに合わせた深いカスタマイズは難しい面があります。そのため、Power Appsを導入する際は、このような制限を踏まえた上で、ビジネスの要求との適切なバランスを見極めることが大切です。

Power Appsの料金プランおよび料金体系について

Power Appsを利用する上で、適切な料金プランの選択が重要です。Power Appsでは、企業や個人の具体的なニーズに応じた最適なプランを選択できるように、様々な料金プランが提供されています。ここで、Power Appsの料金プランについて紹介いたします。

サブスクリプションプラン

<アプリごとのプラン>
月額625円で、1人のユーザーが1つのアプリを利用可能です。このプランは小規模プロジェクトや、特定の業務向けに特化したアプリケーション開発に最適です。

<ユーザーごとのプラン>
月額2,500円で、1人のユーザーが複数のアプリを使用できます。企業がPower Appsを幅広く利用する際に適しており、1人のユーザーが複数のアプリケーションへのアクセスが必要な場合に理想的なプランです。

従量課金プラン

<アプリごとのプラン>
月額1,250円で、アクティブユーザーごとに使用するアプリケーションに応じて課金されます。使用量に基づいてコストを最適化したい場合や、特定のアプリケーションのユーザーが多数いる状況に適しています。

追加費用なしで利用可能なプラン

既に、以下のMicrosoftサブスクリプションプランを利用しているユーザーは、追加費用なしでPower Appsを利用できます。

  • Office 365
  • Microsoft 365 E1/E3/E5/F1
  • Microsoft 365 Business

これは、既存のMicrosoft製品との統合を考えている企業にとって、大きな利点となります。

Power Appsの使い方:日報アプリの作成例

ここでは、Power Appsを使用して「日報アプリ」を作成する方法を、操作画面を通じて具体的に紹介します。ビジネスシーンで頻繁に利用される「日報アプリ」の作成手順は、以下の通りです。

STEP
Power Appsを開く

Power Appsはブラウザから操作できます。Microsoftアカウントでログイン後、Power Appsのロゴをクリックして開始してください。

STEP
Power Appsのホーム画面

Power Appsにログインすると、ホーム画面が表示されます。左側のサイドバーに表示されている「+作成」ボタンをクリックします。

STEP
アプリの作成

「+作成」をクリックすると、どのタイプのアプリを作成するか選択する画面が表示されます。

Power Appsでは、さまざまなニーズに応じて以下の3種類のアプリを作成できます。日報アプリを作成する場合、「空のキャンバスアプリ」を選択するのが最適です。

<キャンバスアプリ>
ユーザーフレンドリーなデザインが特徴で、ドラッグ&ドロップやフォームベースのインターフェースを使用して、簡単にカスタマイズできるアプリを作成できます。ユーザー中心の対話型アプリケーションの開発に最適です。

<モデル駆動型アプリ>
複雑なデータ構造やビジネスロジックの取り扱いに特化しており、大量のデータや複数の数値を効率的に処理するアプリケーションを構築できます。作成プロセスはやや複雑であり、管理者や開発者向けの選択肢となっています。

<ポータル>
社外のユーザーや顧客と情報を共有するためのウェブサイト風のアプリを構築できます。情報の外部発信や、ユーザーによる情報入力が必要なシナリオに適しています。

STEP
アプリ作成画面

新しいキャンバスアプリの作成を開始すると、白紙のキャンバスが表示されます。サイドバーにはテキストボックス、画像、各種オブジェクトをアプリに追加するための編集ツールが豊富に用意されています。これらのツールを使って、直感的にアプリのレイアウトをデザインし、必要な要素を追加できます。さらに、「データ」オプションを選択すれば、外部データソースから情報を取り込み、アプリ内で使用できます。

STEP
保存

アプリが完成したら、保存しましょう。上部ツールバーにある保存アイコンをクリックしてください。

STEP
プレビュー

アプリを保存した後、上部ツールバーの「▶」アイコンをクリックすると、ブラウザやモバイル端末でアプリがどのように表示されるか確認できます。

以上のような手順で、簡単に日報アプリが作成可能です。

Power Appsの活用事例:Oracle NetSuiteとの統合

Power Appsは、デジタル化を進める企業に欠かせないツールとなっています。特に、ERPシステムである「Oracle NetSuite」との統合によって、その柔軟性と拡張性が一層高まります。Power AppsとOracle NetSuiteの連携による活用方法は、以下の通りです。

NetSuite向けカスタムインターフェースの開発とデータの自動挿入

Power Appsを利用することで、直感的かつユーザーフレンドリーなOracle NetSuite向けカスタムインターフェースを迅速に開発可能です。従来のNetSuiteインターフェースは、操作性が複雑であり、モバイルデバイスでの使用が困難な点などの課題がありました。加えて、カスタマイズ費用が高額のため、企業にとって大きな障害となっていました。Power Appsを駆使することで、これらの課題を克服し、各ユーザーのニーズに合わせた簡易な操作性を低コストで実現できます。

多くの業務プロセスでは、人手によるデータ入力が必須です。例えば、電話での受注業務など、どうしても人の手が必要な作業があります。Power Appsを通じてカスタムインターフェースを構築することで、これらの作業負担を減らし、作業効率を高めることが可能です。NetSuiteの既存インターフェースよりもカスタマイズがしやすく、コスト削減も実現できるため、多くの企業にとって魅力的な選択肢といえます。

加えて、Power AppsやPower Automate Desktopを活用することで、データを直接NetSuiteに挿入することが可能です。データ入力作業が容易となり、リアルタイムに近い形でのデータ統合、整形、付与が実現します。その結果、データ管理の効率が飛躍的に向上し、従業員の作業負担も大きく軽減されます。これが、Power AppsとNetSuiteを統合することの大きな魅力です。

Power Appsの活用事例:AIビルダーを使用したAI-OCRの検証

Microsoft Power AppsのAIハブを使用して、デジタル化を支援するAI-OCR技術の効果を検証しました。

AI-OCRとは?

AI-OCRは、画像やPDFファイル内の文字を識別し、編集可能なテキスト形式に変換する技術です。Power AppsのAIハブでは、このプロセスがユーザーフレンドリーなインターフェースを通じて簡単に行えるよう設計されています。

検証方法

今回、検証に使用したものは縦書きの文章になります。

Power AppsのAIモデルの作成

AI-OCRを利用するためには、AIモデルを作成しなければなりません。以下の手順によりAIモデルを作成しました。

STEP
メニューからAIモデルを選択

Power Apps トップページの左サイドバーより「AIハブ」を選択し、次に「AIモデル」を選択する

STEP
「カスタムモデルの作成」から構造化ドキュメント内で読み取るフィールドを決める

・カスタムモデルの作成

・構造化ドキュメントを選択

・フィールドの決定

STEP
トレーニング用のドキュメントを選択し、読み取り範囲を決める。

トレーニング用のドキュメントを5つ以上選択する。

・読み取り範囲を決める

STEP
モデルをトレーニングする
STEP
クイックテストを行う

作成したモデルのクイックテストを行うと、読み取り精度がスコアとして表示される。

以上で、AIモデルの作成は終了です。

検証結果

上記が、AIモデルを使用したOCR機能の検証結果です。

現状では、縦書きの文章を左から読み取ってしまうので、AIモデル作成時に工夫が必要そうです。横書きのものであればある程度の成果は得られるのではないかと感じました。

まとめ:Power Appsを活用して、業務効率化やDXを推進しよう

Microsoft 365を既に利用している企業にとって、Power Appsを利用することは、コストを抑えながら業務効率化やデジタル変革を推進する絶好の機会です。直感的な操作性により、技術的な専門知識がないユーザーもデジタル化をスムーズに進めることができます。さらに、Microsoft 365やOracle NetSuiteといった他のアプリケーションとの連携を通じて、業務自動化をより柔軟で拡張性の高い形で実現可能です。

ベンチャーネットは、RPA技術をはじめとする自動化技術の導入と業務適用に関して豊富な実績を有しており、企業の業務効率化を長年にわたり支援してきました。Power AppsやPower Automate Desktopを含む多様なアプリケーションとの組み合わせや、具体的な活用方法の提案ができることが、当社の大きな強みです。加えて、Oracle NetSuiteの無料相談やデモサービスを提供し、ERPの選定から導入、そして運用に至るまで、専門的なアドバイスを提供します。ERP導入過程における問題の特定や課題をサポートし、企業が直面する問題の解決を共に目指します。

Power Appsを用いたRPAの適用や、Oracle NetSuiteとの統合による業務改革を考えている企業さまは、ぜひベンチャーネットにご相談ください。お客さまのニーズに応じた最適な解決策を私たちが提案いたします。

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