
先日、GoogleがRPAに参入するとアナウンスがありましたが、Googleに続いてMicrosoftもRPAに参入することが判明しました。もともとMicrosoftはPower Automateというサービスを提供しております。これはIFTTTやZapierといったiPaas系のサービスの1種です。今回はこのPower Automateにデスクトップの操作機能が追加された形になります。
ついにこの時がやってきました。
Microsoftが提供する「PowerAutomate Desktop」がWindows10のユーザーに対して無償提供されることが3月2日に発表されました。
もともと「PowerAutomate Desktop」は一部ユーザーに対してプレビュー版が公開されておりましたが、現在は公式HPから誰でもインストールができます。
Microsoft RPAプレビュー版導入方法
公式ホームページからダウンロード、インストールできます。
案内に従って進めていくだけですので、特に迷うポイントはないです。
(Microsoftのアカウントがインストール後必要になります。)
Power Automate Desktop3つの特徴
ここからは、普段WinActorを操作しているRPAエキスパートの笹谷から見た、Power Automate Desktopの3つの特徴についてお話します。
デフォルトで豊富かつ分かりやすいライブラリ
Power Automate Desktopを使用していて一番に感じるのは、アクションの分類の分かりやすさ・使いやすさです。
自動化のために必要なアクションが程よく揃えらえていて、初めて使う人でもわかりやすい操作性になっております。
加えて、AWSやAzure、FTPやOCRに関連するアクションも標準で備えられております。
自動記録のわかりやすさ
RPAではおなじみの操作記録によって自動でフローを作成する機能ですが、Power Automate Desktopでももちろん備えられています。
加えて、自動記録中にどの要素にどの操作をしているかがわかりやすくリストアップされるので、操作がきちんと反映されているかがわかります。
変数の自動リストアップ
アクションを使用するときに変数を設定することがあると思いますが、Power Automate Desktopではアクションを使用したときに自動で変数が設定されます。WinActorでは逐一変数を設定する必要がありますのでその点便利です。
無償版と有償版の違い
Power Automate Desktopは基本的に無償で利用できますが、一部の拡張機能を使用するには課金する必要があります。
無償版と有償版の違いを以下にまとめました。
Microsoftアカウント | 組織プレミアムアカウント | |
---|---|---|
ストレージ | OneDrive | Microsoft Dataverse |
クラウドフローの接続 | なし | あり |
チーム共有 | なし | あり |
中央制御 | なし | あり |
AI Builder、カスタムコネクタなどの拡張機能 | なし | あり |
(公式ドキュメントより一部抜粋)
いずれも、大規模組織で運用したり、より高度な機能を使用するためには組織アカウントが必要になりますが、RPAでよく使われる「Webで読み取りしたデータをExcelにまとめる」ですとか、「Excelデータをシステムに入力する」といった基本的な動作は無償版で十分実現可能です。
まず無償版でシナリオを作成し、必要に応じて課金を検討するとよいでしょう。
(例えば以下の公式チャンネルで紹介されているものは課金が必要です。)
Google、Microsoftの参入でRPA市場はさらに活性化
ここまで、導入方法と機能について見てきましたが、RPAの機能としては他ツールと遜色ないものとなっております。
Power Automate Desktopの一番のポイントはなんといってもOffice365のパッケージの派生で使える点です。コミュニケーションツールであるTeamsは、Office365のパッケージで使えることで、後発ながら圧倒的な成長率でSlackを追い抜いていきました。Office365をすでに導入している企業は多く存在しているので、この派生で導入できるPower Automate Desktopは今後さらに成長することが見込まれます。
こちら、無償版はWindows10であればだれでもダウンロードできることが発表されました。
今後のRPA市場は低価格は訴求ポイントから外れつつあります。
また、機能面に関してもツールごとに大きな差は見出しにくくなってきております。
ですので、今後RPAを選択するポイントとしては「無償のMicrosoftのRPA」か「管理やサポートといった付加価値を重視する有償のRPA」をまず選択する必要があります。
もちろんGoogleもGSuiteのパッケージがありますので、その延長線上でGoogleのRPA導入が見込まれます。
RPAがパッケージの中に含まれることで、RPAが1ソフトとして独立して提供される従来の形式に比べて、導入ハードルがかなり低くなります。RPAは幻滅期に突入しつつあると世間では言われていますが、GoogleとMicrosoftの参入で今後のRPA市場は新たな局面を迎えるでしょう。