NetSuiteで残業削減を実現する方法|なぜ残業が減らないのか、その真因と仕組みづくり

水曜日のノー残業デー。

18時に事務所の照明が落ちたあと、経理の担当者は請求書のExcelを自宅に持ち帰ります。

数字の上では、残業は減りました。

残業削減とは、業務の量と流れを変えて、時間外労働(会社で決めた労働時間を超えて働くこと)を減らす取り組みです。

号令で時間だけを削っても、仕事は見えない場所へ移るだけです。

残業が減らない原因の多くは、社員の頑張りではなく、仕組みの問題にあります。

では、仕組みで減らすとは、何をどの順番で変えることなのか。

目次

この記事で分かること

  • 残業が生まれる3つの構造的な原因
  • NetSuiteが残業削減に効く3つのポイント
  • 仕組みで減らす順番(見える化→整理整頓→仕組み化)
  • Excelで足りる段階と、システムが要る段階
  • 残業削減でよくある3つの失敗

なぜ残業はなくならないのか

長時間労働は、社員の健康を損なうだけでなく、生産性の低下や人件費の増加を招きます。

働き方改革関連法には、残業時間の上限の規制も含まれています(出典:厚生労働省、2026年9月確認)。

人手不足と採用難の中で、一人ひとりの残業に頼る経営は続きません。

残業が生まれる3つの原因

原因起きていること個人を責めると
業務の見えない化誰が何にどれだけ時間を使っているか分からない「早く帰れ」の号令になり、仕事が隠れる
属人化特定の人にしかできない業務があり、その人の残業でしか回らないその人がさらに抱え込む
手作業の多さExcelへの転記や手集計など、人手に頼る作業が積み重なる頑張るほど根本の問題が見えなくなる

3つとも、個人を責めても解決しません。

冒頭の経理担当が持ち帰ったExcelも、転記という手作業が形を変えて残っただけです。

残業が減らない組織と、減る組織

観点残業が減らない組織残業が減る組織
業務の状態誰が何にどれだけ時間を使っているか見えない業務の量と工数がデータで見える
仕事の回り方特定の人に業務が集中(属人化)業務が標準化され、チームで回せる
データの扱いExcelや紙で手作業・転記が多いシステムの上で一元管理し、つなげている
経営の関わり方「早く帰れ」と号令をかけ、現場に任せる真因を特定し、経営の課題として関わる

右側の組織に、特別な人材がそろっているわけではありません。

違いは、個人の頑張りに頼らない仕組みがあるかどうかです。

NetSuiteが残業削減に効く3つのポイント

NetSuiteは、会社の業務とデータをインターネット経由でまとめて管理するクラウドERPです。

世界220地域・44,000社以上で利用されています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月確認)。

時間の使い道を「見える化」する

Oracleの説明では、NetSuiteの各機能は共通のデータベースを持ち、情報がリアルタイムに更新されます。

社員・管理職・経営層それぞれに向けた、役割ごとのダッシュボードも用意されています(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)。

案件ごとに時間と経費を記録する機能もあり、人の時間の使い道を数字で追えます(出典:Oracle NetSuite公式「プロジェクト管理」、2026年9月確認)。

どの業務に時間がかかっているかが見えれば、勘ではなく事実で手を打てます。

時間の記録を採算まで結びつける方法は、工数管理を「現場の作業」で終わらせないで扱っています。

時間の見方は、人時生産性を上げるにはも参考になります。

申請と承認を、システムの中で回す

紙やメールで回していた申請と承認を、システムの上で完結させられます。

Oracleのヘルプでは、承認の方法として、基本の承認ルート(Approval Routing)が用意されています。

SuiteFlow(業務の流れを設定する機能)による承認も選べます。

どの方法でも、承認の設定は会社全体にかかると説明されています(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)。

承認の待ちや差し戻しが減ると、その時間と、確認の漏れを直す時間の両方が減ります。

設計の手順は、NetSuiteの承認ワークフロー実装ガイドで扱っています。

部門をまたぐ手戻りを減らす

Oracleは、受注から入金、購買から支払までを、再入力や書き出しなしに1つの仕組みで進められると説明しています。

調達では、発注書・受領・請求書の3つを照らし合わせる仕組みもあります(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)。

入力が1回で済めば、冒頭の転記はそもそも生まれません。

業務量そのものを減らす方法は、NetSuiteで工数削減で扱っています。

真因ごとの打ち手

真因システムを入れない打ち手NetSuiteでの打ち手AIとの親和性
見えない化1週間だけ、業務と時間を手で記録する取引と時間の記録から、ダッシュボードで見る高。記録がそろえば、時間の偏りをAIで点検しやすい
属人化業務の手順書をつくり、2人目を育てる承認と処理の流れをシステムに置き、誰でも同じ手順で回す中。手順がデータに残り、引き継ぎの資料の下書きに使える
手作業Excelの関数やマクロで転記を減らす入力を1回にし、部門をまたいでデータをつなぐ高。取引がそろい、集計や照合をAIに任せやすい

どの真因でも、最初の打ち手はシステムではなく、見える化です。

仕組みで減らす順番|見える化→整理整頓→仕組み化

冒頭の問いへの答えは、この順番です。

いきなりツールを入れても、残業は減りません。

残業の3つの真因と、仕組みの打ち手 業務の見えない化には時間の使い道の見える化、属人化には手順の標準化と2人目の担当、手作業の多さには入力を1回にする一元化で対処する。どれも見える化から始める。 真因ごとの打ち手 見えない化 → 見える化 誰が何に何時間使っているかを記録 属人化 → 標準化 手順を書き出し、2人目の担当を決める 手作業の多さ → 一元化 入力を1回にし、転記をなくす どの真因でも、最初は見える化から
残業の3つの真因と、仕組みの打ち手
段階やること目安の期間
1. 見える化誰が何にどれだけ時間を使っているかを把握する2〜4週間
2. 真因の特定と整理整頓業務量・属人化・手作業のどれが主な原因かを見極め、やめる・まとめる・そろえる業務を決める1〜2週間
3. 仕組み化真因に合わせて、自動化・標準化・一元化を進める数か月
4. 定着運用のルールを整え、効果を測りながら改善を続ける継続

期間は一般的な目安で、会社の規模と業務によって変わります。

いちばん時間をかける価値があるのは、1の見える化です。

ここを飛ばすと、的外れな施策に時間を使ってしまいます。

残業が減った先も、考えておく価値があります。

ベンチャーネットは、仕組みが回った後を「守り→攻め→次へ」の3段で考えます。

業務が回る守りの段で浮いた時間を、データで売り方や在庫を見直す攻めの段に回す。

残業削減は、人が減る時代に経営を強くする入口にもなります。

判断の物差し|Excelで足りる段階と、システムが要る段階

いまはシステムを入れなくてよい段階

  • 残業が特定の月(決算期など)だけに集中している
  • 手作業の多くが、Excelの関数や運用の見直しで減らせる
  • 社員が少なく、誰が何をしているか経営者が把握できている

この段階なら、まず業務の棚卸しと手順の見直しから始めます。

システムが効きやすい段階

  • 残業が毎月、特定の部門や人に集中している
  • 同じ情報を、2つ以上のシステムやExcelに入力している
  • 承認の待ちで、仕事が止まることが多い
  • 月末の集計と数字合わせに、数日かかっている

いまの段階を分けると、次のとおりです。

Excelで足りる段階と、システムが要る段階の分かれ目 残業が特定の月だけでExcelの見直しで減らせるなら、いまは入れずに棚卸しと手順の見直しから。毎月特定の部門や人に集中し、二重入力や承認待ちがあるなら、システムが効きやすい。 システムはいま要るか 残業はどう偏っている? 特定の月だけ (決算期など) Excelの関数や 運用の見直しで減る 毎月、特定の部門や 人に集中している 二重入力・承認待ち 月末の集計に数日 いまは入れない 業務の棚卸しと 手順の見直しから システムが効く 入力の一元化と 承認の仕組み化を検討 勤怠の把握が中心なら勤怠のSaaS、 小さく始めたいならOdooも選択肢
Excelで足りる段階と、システムが要る段階の分かれ目

NetSuite以外が合う場合

状況合いやすい選択肢
勤怠の管理と残業の把握が課題の中心勤怠管理のSaaS
費用を抑え、必要なアプリから小さく始めたいOdoo
国内の商習慣や既存の国産ソフトとの親和性を重視したい国産ERP
1つの業務の手作業だけを、集中的になくしたいAIスクラッチ開発

勤怠の扱いの比べ方は、NetSuiteとOdooの人事・勤怠・給与で扱っています。

これから仕組みを選ぶ会社と、システムがあるのに減らない会社

これから選ぶ会社は、道具より先に「減らしたい残業がどの業務から生まれているか」を決めます。

第8章の表で、残業の多い業務を3つに絞ってから選んでください。

NetSuiteの価格は、ミニマム構成で月額20万円〜が出発点です。

モジュール・ユーザー数・オプションで変わり、数百万円規模になることもあります。

システムがあるのに減らない会社は、システムの外を見ます。

  • Excelの転記や集計が、システムの外に残っている
  • 承認を、メールや口頭で済ませている
  • システムの使い方を知る人が、1人に偏っている

当てはまるなら、入れ替えより運用の見直しが先です。

判断の材料は、NetSuiteが使いにくい・活用できていないと感じたらも参考になります。

残業削減でよくある3つの失敗

3つの失敗と避け方を図にすると、次のとおりです。

残業削減でよくある3つの失敗と避け方 号令だけで早く帰れと言う失敗は時間の使い道の見える化で、業務の集中は手順の書き出しと2人目の担当で、ツール頼みは業務を見直す経営のプロジェクトにすることで避ける。 3つの失敗と避け方 1 号令だけで「早く帰れ」 → 先に時間の使い道を見える化 2 業務が特定の人に集中 → 手順を書き出し、2人目を決める 3 ツールを入れれば解決と考える → 業務を見直す経営のプロジェクトに 共通点:残業を個人の頑張りの問題にすること
残業削減でよくある3つの失敗と避け方

失敗1:号令だけで「早く帰れ」と言う

起きること:ノー残業デーを設け、残業の申請を厳しくする。

数字の上では減るが、仕事が持ち帰りや隠れた残業に移る。

原因:業務の量が変わらないまま、時間だけを削ろうとしている。

避け方:号令の前に、何にどれだけ時間がかかっているかを見える化します。

減らす業務を決めてから、時間の目標を決めます。

失敗2:業務が特定の人に集中したままにする

起きること:「あの人しか分からない業務」があり、担当者が休むと仕事が止まる。

原因:属人化した業務は、本人の残業でしか回らない。

人を増やしても分けられない。

避け方:手順を書き出し、2人目の担当を決めるところから始めます。

進め方は、『業務属人化』がDXを止めるで扱っています。

失敗3:ツールを入れれば解決すると考える

起きること:システムを入れたが使われず、Excelに戻る。

手作業も残業も、元のまま残る。

原因:業務の見直しとセットにしていない。

使わない機能まで盛り込み、操作が重くなっている。

避け方:ツールの導入を、業務を見直す経営のプロジェクトとして扱います。

手作業を減らす範囲を先に決め、稼働後の定着の計画まで組み込みます。

3つに共通するのは、残業を個人の頑張りの問題として捉えてしまうことです。

ベンチャーネットならこう見る|見える化から、定着の4手順まで

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱っています。

SAPからのリプレイスにも対応し、特定の製品に誘導しない立場です。

型1:見える化→整理整頓→Fit&Gap

残業の相談でも、システムの話から始めません。

まず、残業が生まれている業務の流れを、現場に聞いて描きます。

次に、やめる・まとめる・そろえる業務を決めます。

残った業務だけを、製品の標準機能と照らし合わせます(Fit&Gap)。

合わない業務は、「標準に合わせる/開発する/残す」から選びます。

ベンチャーネットの進め方:見える化→整理整頓→Fit&Gap→3つの選択 業務の見える化、整理整頓、移る先の製品の標準機能とのFit&Gap、そして標準に合わせる・開発する・残すの3択で決める。 ベンチャーネットの進め方業務の見える化いまの業務フローを現場に聞いて描く整理整頓やめる・まとめる・そろえる業務を決めるFit&Gap移る先の製品の標準機能と照らし合わせる3つの選択標準に合わせる/開発する/残す製品が決まっていても、見える化から始める
ベンチャーネットの進め方:見える化→整理整頓→Fit&Gap→3つの選択

型2:定着の4手順

失敗3のように、入れたシステムが使われないと、残業は元に戻ります。

ベンチャーネットは、定着のために次の4つを守ります。

  1. データ整理を最初に:取引先や品目をそろえてから載せる
  2. 段階的に導入:残業の多い業務から順に広げる
  3. 研修・サポートを徹底:使い方を知る人を1人にしない
  4. 操作はシンプルに:使わない機能を盛らない

最初に伺う問いは、3つです。

  1. 残業は、部門・人・時期のどれに偏っているか
  2. その時間は、転記・集計・承認待ち・手戻りのどれに使われているか
  3. システムを入れないと解けないか

3つ目の答えが「運用の見直しで足りる」なら、システムはおすすめしません。

今日できること|残業の多い業務を3つ書き出す

1時間で、次の表を埋めてみてください。

業務担当時間の使い道その人にしかできないか
(例)月末の請求書の作成経理販売管理からExcelへの転記はい

残業の多い業務を、上から3つ書き出します。

「時間の使い道」が転記・集計なら手作業、「はい」が多ければ属人化が真因です。

どちらでもなければ、業務の量そのものが多い可能性があります。

よくある質問

Q1. NetSuiteを導入すれば、残業はすぐに減りますか

導入しただけで自動的に減るわけではありません。

真因を見える化し、業務を見直すことで減っていきます。

NetSuiteは、業務とデータをまとめ、手作業や属人化を減らす土台です。

効果が出るのは、導入を業務の見直しのきっかけとして生かせた場合です。

Q2. 業務が複雑で、何から手をつければよいか分かりません

何にどれだけ時間がかかっているかの見える化から始めます。

残業の真因は、会社ごとに違います。

業務量が多いのか、属人化なのか、手作業が多いのか。

第8章の表で、残業の多い業務を3つ書き出すところから始めてください。

Q3. 残業削減のほかに、どんな効果がありますか

判断の速さと人手不足への強さも高まります。

残業が減る組織は、業務がデータで見え、チームで回せる状態になっています。

特定の人が辞めても業務が止まりません。

浮いた時間を、データで売り方を見直す「攻め」に回せます(第3章)。

Q4. 勤怠管理のシステムを入れれば、残業は減りますか

残業の時間は見えますが原因までは見えません。

勤怠のシステムは「何時間働いたか」を記録します。

残業を減らすには、「その時間を何に使ったか」まで分かる必要があります。

業務の記録と組み合わせて見てください。

Q5. 人を増やせば、残業は減りますか

属人化や手作業が原因なら減りにくいです。

その人にしかできない業務は、人を増やしても分けられません。

転記の作業が残ったままだと、同じ作業をする人が増えるだけです。

先に業務を標準化し、手作業を減らしてから人を配置します。

Q6. どこに相談すればよいですか

真因が分からない段階でも相談できます。

ベンチャーネットは、製品を決める前の、業務と時間の使い道の整理からお受けしています。

システムが要らないと判断した場合は、その旨をお伝えします。

まとめ

  • 残業が減らない原因の多くは、見えない化・属人化・手作業という仕組みの問題
  • 残業削減は、見える化→整理整頓→仕組み化の順に進める
  • NetSuiteは、データの一元化・承認の流れ・部門をまたぐ手戻りの削減で効く
  • 残業が特定の時期だけ、手作業がExcelで減らせるなら、いまは入れない判断もある
  • 入れたシステムは、定着の4手順で使い続ける

冒頭の経理担当が持ち帰ったExcelは、見える化の最初の1枚になります。

まずは、残業の多い業務を3つ書き出すところから始めてください。

もう少し詳しく知りたい方へ

業務と時間の使い道の整理から、ご相談をお受けしています。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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