競争が激化する現代のビジネス環境で成功するためには、迅速かつ正確な経営判断を行う必要があります。月次決算は、適切な経営判断に欠かせません。また、NetSuiteを活用することで、月次決算の結果に基づいた的確な経営判断が可能になります。
本記事では、月次決算の内容や目的、実施方法、押さえておくべきポイントなどについて詳しく解説します。
月次決算とは
月次決算とは、1ヶ月ごとに企業の経営成績や財務状況を集計・分析し、決算書を作成するプロセスのことです。年次決算と同様に、企業の収支や財務状態を把握するために必要な業務ですが、違いはその頻度にあります。年次決算が1年に1度行われるのに対して、月次決算は毎月行われるため、よりタイムリーに経営状況を把握することが可能です。
月次決算を導入している企業は、経営判断のスピードと精度を向上させ、業績管理や資金繰りを適切に行うことで経営の健全化を図っています。
年次決算との違い
年次決算は、会社法や法人税法に基づいて法的に義務付けられたもので、株主や税務当局に対して会社の経営成績や財務状況を報告するために行います。これに対して、月次決算は法的な義務がなく、あくまで企業が任意で行うものです。
年次決算は、企業の1年間のパフォーマンスを報告する重要な資料となりますが、その反面、年次決算までの間はデータが蓄積されるだけで、最新の業績をリアルタイムで把握することが難しいというデメリットがあります。
月次決算を行うことで毎月の業績や財務状況を把握しやすくなるため、迅速な経営判断に役立ちます。
月次決算の目的と必要性
月次決算の目的と必要性について詳しく見ていきましょう。
1.年次決算の負担軽減
月次決算を実施することで、年次決算時の業務負担を大幅に軽減できます。たとえば、仮払金や仮受金などの一時的な取引は、月次決算で適切に整理されていれば、年次決算で遡って確認する手間が省けます。これにより、年次決算時に集中する作業量が分散され、スムーズに決算業務を進めることが可能です。
2.迅速な経営判断の実現
月次決算によって企業は毎月の業績をタイムリーに把握できるようになるため、迅速かつ適切な経営判断が可能になります。月次ベースで収益やコストの状況を把握することで、問題が生じた場合にも早期に対策を講じることができ、経営リスクを最小限に抑えることができます。
たとえば、飲食業界の企業が月次決算を導入し、各店舗の売上・コストを毎月分析することで、売上が低迷している店舗を早期に特定し、適切なマーケティング施策を実行することが可能になります。
3.資金繰りの改善
月次決算を行うことで、毎月の資金繰り状況を把握しやすくなります。これにより、融資が必要な場合にも事前に計画を立てやすくなり、資金不足を未然に防ぐことができます。
たとえば、季節的に売上が低迷する時期に必要な運転資金の調達を事前に行うことで、資金ショートのリスクを回避できます。
月次決算の流れ
続いて、月次決算の流れについて詳しく見ていきましょう。
1.現金・預金の残高確認
月次決算の第一歩は、現金や預金の残高を確認し、帳簿上の数字と実際の残高が一致しているかをチェックすることです。これにより、不一致があった場合には速やかに修正することができます。
2.棚卸しの確定
次に、月末時点の在庫を確認し、棚卸しを確定します。棚卸し資産の状況を適切に把握しておくことで、在庫の過剰・不足を防ぎ、効率的な在庫管理が可能になります。
3.仮勘定の整理
仮払金や仮受金などの仮勘定を整理し、正しい勘定科目に振り替える作業です。これにより、会計データの正確性を保つことができます。
4.経過勘定の計上
未払費用や前払費用などの経過勘定を計上し、発生主義に基づいた正確な費用計上を行います。
5.減価償却費の計上
減価償却費や退職給付引当金などの費用を毎月計上することで、年次決算時の一括計上を避け、月次でコストを正確に把握します。
6.月次決算書の作成
最終的に、損益計算書や貸借対照表、資金繰り表などの月次決算書を作成し、経営陣に報告します。これにより、経営状況の可視化が実現し、次月以降の方針や戦略を立案するための材料が整います。
月次決算で押さえておくべきポイント
月次決算で押さえておくべきポイントは下記のとおりです。
1.スピードと正確性の両立
月次決算は、年次決算と同様に正確さが求められますが、同時に短期間で完了させることも重要です。業務が遅延すると、経営判断が遅れ、競争力に影響を与える可能性があります。
2.各部署との連携強化
月次決算では、各部署からのデータ提供がスムーズに行われることが重要です。特に、請求書や経費精算の提出が遅れると、決算全体が遅延する原因となるため、締切の厳守を徹底する必要があります。
3.クラウドシステムの活用
業務の効率化には、NetSuiteのようなクラウド型ERPシステムを活用することが有効です。NetSuiteを導入することで、リアルタイムでのデータ収集・分析が可能になり、月次決算のスピードと精度が飛躍的に向上します。
月次決算をNetSuiteで実現するメリット
NetSuiteは、企業の財務データや業務データを一元管理できるクラウドベースのERPシステムです。NetSuite上で月次決算を行うことで、リアルタイムのデータを活用して迅速かつ正確な経営判断を行うことができ、従来の手作業や遅延による課題を解消できます。
ここでは、NetSuiteを活用して月次決算を実現する際の具体的なメリットを詳しく見ていきましょう。
1.リアルタイムのデータ収集
NetSuiteの最大の強みの一つは、リアルタイムでのデータ収集と分析です。従来の手作業による会計処理では、データ収集から分析、報告までにタイムラグが発生し、正確な経営判断が遅れることが多々あります。
しかし、NetSuiteを利用することで、財務データや売上データ、コスト情報などが即座に集計・反映され、経営者や経理担当者は常に最新の経営状況を把握することが可能です。
たとえば、小売企業では、各店舗の売上や在庫状況がリアルタイムで更新されるため、中央本部がすぐに販売データを分析し、売れ筋商品に関する判断や在庫補充のタイミングを迅速に決定できます。こうした即時の意思決定が、競争の激しい小売業界での勝ち残りに大きく貢献します。
2.自動化による業務効率化
NetSuiteには、多くの会計業務を自動化する機能が備わっており、特に経費の自動仕訳や棚卸しの自動更新など、従来手作業で行っていた煩雑な業務が効率的に進められます。これにより、経理担当者の業務負担が軽減され、月次決算業務が速やかに完了します。
たとえば、製造業の企業がNetSuiteを導入した結果、製品の製造コストや原材料費の自動集計が可能となり、従来数日かかっていた月次決算作業が大幅に短縮される可能性があります。さらに、経費精算のプロセスが自動化されたことで、経理担当者の手作業が減少し、業務の正確性も向上するでしょう。
3.経営状況の可視化
NetSuiteは、ダッシュボード機能を活用することで、企業全体の財務状況や業績を一目で確認できるように設計されています。ダッシュボードには、売上、コスト、利益、在庫、キャッシュフローなどの主要指標がリアルタイムで表示され、経営陣は経営の現状を即座に把握し、迅速に次のアクションを決定することが可能です。
たとえば、サービス業の企業では、NetSuiteのダッシュボードを利用して、顧客ごとの売上状況や案件ごとの進捗状況、さらには請求漏れの有無までをリアルタイムで管理できます。これにより、未回収金の発生を未然に防ぎ、キャッシュフローの安定化に寄与します。
NetSuiteの導入はベンチャーネットにご相談ください
月次決算は、経営者が正確かつ迅速に経営判断を行うために不可欠なプロセスです。リアルタイムで業績を把握し、迅速に問題を発見・解決するためには、月次決算の実施が効果的です。さらに、NetSuiteのようなクラウド型ERPシステムを導入することで、データの自動収集や分析が可能になり、経営判断の精度とスピードが飛躍的に向上します。
ベンチャーネットはOracle NetSuite認定パートナーです。NetSuiteの導入や運用に関するサポートは、ベンチャーネットにご相談ください。