1人あたりの付加価値は、企業の生産性を表す指標の中でも重要性が高い指標です。企業の収益性や安定性を高めたい場合は、1人あたりの付加価値を増やしましょう。しかし、具体的にどの程度まで増やせばいいのかイメージがつかない方が多いのではないでしょうか。そこで今回は、1人あたりの付加価値の概要、重要な理由、計算方法、メリット、追うときのポイントについて詳しくご紹介します。

1人あたりの付加価値とは

1人あたりの付加価値とは、簡単に言えば「従業員1人あたりの稼ぎ」のことです。1人あたりの稼ぎ×従業員の数が企業の総売上になりますが、従業員によって稼ぎは異なるため、もう少し複雑な方法で計算することになります。

1人あたりの付加価値が高い企業は、一般的に優良な企業として認識されています。これは、「1人あたりの付加価値が高い=生産性が高い」ということだからです。同じように優良企業かどうかを見るときに注目すべき指標に「付加価値率」があります。

付加価値率が高い会社は収益性に優れているため、優良企業と言えるのです。もし、付加価値率が低くても、1人あたりの付加価値が高ければ、生産性が高い優良企業として認識されるでしょう。

1人あたりの付加価値が高くなる理由は、「製造効率が高い」、「効率的に商品を販売できている」、「サービス提供の回転効率が高い」などです。このような企業が生まれてきた背景には、ITや製造機器の進歩があります。5G回線、AIなど、新たなテクノロジーが続々と登場していることから、今後も1人あたりの付加価値が高い企業が増えることが期待されています。

1人あたりの付加価値が重要な理由

1人あたりの付加価値は、多くの企業が必達目標に掲げています。これほどまでに重要視されているのは、収益だけではなく安定性にも深く関わっているためです。1人あたりの付加価値が低いからといって、すぐに経営が立ち行かなくなるわけではありません。しかし、1人あたりの付加価値が低い会社は、それだけ従業員に支払う給与も低くなります。

複数の条件を満たした場合には、やむを得ずリストラや減給などを行えますが、そうなれば従業員のモチベーションが大きく低下するでしょう。その結果、ますます1人あたりの付加価値が下がるという悪循環に陥る恐れがあります。一度、このような負の連鎖に陥れば、抜け出すのは至難の業です。そのため、1人あたりの付加価値は常に追い求める必要があります。

1人あたりの付加価値の計算方法

1人あたりの付加価値は、「会社の付加価値÷社員数」といった計算式では算出できません。これは、社員の総労働時間を要素として組み込まなければ、生産性を正しく評価できないためです。つまり、1人あたりの付加価値を算出する際には、総労働時間まで考慮して、「1人の従業員における1時間あたりの付加価値」を算出する必要があります。これは、「従業員が1時間働いたときに生み出せる付加価値」のことです。

会社の付加価値(総人件費と営業利益を足して算出)と、1人の従業員における1時間あたりの付加価値を算出することで、収益性と労働生産性の判定が可能になります。

1人の従業員における1時間あたりの付加価値は、次のように算出しましょう。

売上総利益÷平均従業員数×100

1人あたりの付加価値(限界利益)が適正かどうか判断する方法

1人あたりの付加価値が適正かどうかを判定しなければ、次に取るべきアクションが見えてきません。1人あたりの付加価値が増加傾向にある場合は、好ましい状況にあると言えるでしょう。反対に、減少傾向にあったり、停滞していたりする状況は好ましくありません。生産性の低下の原因によっては、問題を放置すると歯止めがかからなくなります。

会社の付加価値が高くても、従業員数や残業時間が過剰な場合は、1人あたりの付加価値が低下します。そのため、必要最小限の人員で最大限の生産性を目指す必要があります。ここで注意したいのは、従業員を削減した結果、残業時間が増えてしまえば元も子もないということです。

必要最小限の人数で最大限の生産性を目指しつつ、売上アップを目指しましょう。そうすれば、収益性と安定性の両方に優れた優良企業へと成長できます。

1人あたりの付加価値を高めるメリット


1人あたりの付加価値を高めることに、どのようなメリットがあるのか詳しくみていきましょう。

経営の安定性が高まる

1人あたりの付加価値が大きいほどに、会社の利益も高まります。従業員を増やして営業の数を増やしても売上が上がる可能性がありますが、これは会社の価値が高まったわけではありません。

1人あたりの付加価値が大きいほどに、少ないコストで大きな収益を得られるため、それだけ社員の給与に還元しやすくなります。生産性が高い従業員に適正な給与を支給すれば、モチベーションが上がって生産性も高まるでしょう。

そのような企業は、新卒や中途採用者の両方から好感を持たれるため、優秀な人材を確保しやすくなります。優秀な人材が入れば、1人あたりの付加価値がさらに高まるという良い循環が生まれます。

会社の信頼性が高まる

1人あたりの付加価値が増えると、従業員だけではなく取引先に支払う金額も増加します。その結果、企業の信頼性が高まり、より良い取引ができる企業と巡り合え、良い関係を築けるようになるのです。報酬以上の価値を生み出す企業や従業員に恵まれた場合は、会社の利益がさらに大きくなります。そして、従業員や取引先に支払える報酬額がさらに高まるという良い循環が生まれます。

会社の信頼性は、取引先や従業員だけではなく、商品やサービスを購入する顧客にも影響を与えます。企業の知名度や信頼性が上がると、「あの会社の商品・サービスだから安心して購入できる」と考える顧客が増えます。

その顧客が周りの見込み客に良い口コミを伝えることで、新規客を獲得できる可能性もあるでしょう。このように、1人あたりの付加価値を高めることは、企業の収益性と安定性に深く関わっています。

1人あたりの付加価値はいくらを目指せばいいのか?

1人あたりの付加価値は増加傾向にあれば良いとお伝えしましたが、目標額は決めておくべきです。中小企業の1人あたりの付加価値は700万~900万円程度が多く、大企業では1,000万~1,300万円程度が多い印象です。

もちろん、1人あたりの付加価値が大企業のそれに匹敵する中小企業も存在します。小さな目標を積み立てて最終目標に向けて行動すべきですが、ひとまず最終目標は1,500万円に設定しましょう。

非常に高い目標に思えるかもしれませんが、中小企業は大企業のように規模が大きくないため、付加価値総量がどうしても小さくなります。そのため、1人あたりの付加価値が大企業と同じでも、なかなか安定・成長しないのです。

1人あたりの付加価値は、規模が小さい企業ほど高めやすいため、1,500万円を最終目標にしてみてください。

まとめ

1人あたりの付加価値が高いほどに、従業員1人が生み出す利益が大きいことになるため、企業の収益性と安定性に深く関わる指標と言えます。1人あたりの付加価値が増えるほどに企業の信頼性や従業員のモチベーション、生産性が上がり、さらに付加価値が高まるという好循環が生まれます。

中小企業だからこそ、大きく成長するために1人あたりの付加価値を高めるべきと言えるでしょう。1人あたりの付加価値は、SFA/CRMツールで順次確認できるうえに、数値向上に必要な要素を追いやすくなります。企業の現状を知り、次に起こすべきアクションを見極めるためにも、SFA/CRMツールの導入を検討しましょう。