SaaS経営で覚えておきたい指標12個 | 注目すべき理由と使い方例を解説

SaaS業界では、ビジネスを成功させるために様々な指標に注目が必要です。SaaSビジネスは、スマートフォンの普及やコスト削減の意識から休息に拡大しました。競争率が高いSaaSビジネスだからこそ、重要な指標に注目する必要があります。しかし、どの指標も英語表記で意味をよく理解できない方が多いのではないでしょうか。

そこで、SaaS業界でよく使われる指標について、わかりやすくご紹介します。

目次

SaaS業界で様々な指標に注目すべき理由

SaaSは、クラウド上で提供するサブスクリプション型のソフトです。1回購入してもらえれば、その企業との付き合いがなくなるわけではありません。月額料金や年額料金方式のため、できるだけ長く利用してもらうことが非常に重要です。

長く利用してくれる企業が増えるほどに、安定的に収益を得られます。反対に、取引企業は多いのに、2~3ヶ月など短期間で契約解除される場合は、収益がなかなか安定しません。

このことから、SaaSは1回限りの購入の商品を販売する企業とは異なる指標に注目する必要があります。

SaaS業界で覚えておきたい指標12個


それでは、「SaaSビジネスを拡大するために必ず覚えておきたい指標」をわかりやすくご紹介します。

ACV

ACVとは、Annual Contract Valueの略で、1年間の契約金額のことです。年間契約金額が高いほどに収益が大きいことになり、「競合他社との比較」や「自社の成長の推移の確認」に役立ちます。

ACVには、定期的に支払われる料金のほか、初期費用やオプション料金、サポート料金なども含みます。

TCV

TCVとは、Total Contract Valueの略で、契約期間中に自社に支払う金額の合計のことです。合計契約金額は、顧客との契約の規模や価値を測る指標のため、随時確認した方がよいでしょう。

TCVには、月額料金や年額料金などのほか、初期費用やオプション料金なども含みます。契約期間に関係なく、全ての顧客のTCVを算出し、現在の状況を把握することが重要です。

ちなみに、TCVを1年間で算出した指標がACVです。

AOV

AOVとは、Average Order Valueの略で、1回あたりの平均注文金額です。SaaSの料金は、顧客の規模や用途で変動するため、AOVは把握すべき指標と言えます。AOVは、総売上を注文件数で割って算出します。

MRR

MRRとは、Monthly Recurring Revenueの略で、毎月得られる収益のことです。月間経常収益や月間定期収益などとも呼びます。毎月、決まって入る収益のみが対象のため、初期費用や追加オプション費用、単発のサポート費用などは含まれません。

年額プランの場合は、12ヶ月で割って月額に換算して計算します。MRRの推移からは、成長率、定着率、解約率などが見えてくるでしょう。月額契約や年間契約のSaaSにおいて、MRRの把握は必須と言えます。

ARR

ARRとは、Annual Recurring Revenueの略で、毎年必ず得られる1年間の収益のことです。年間経常収益や年間定額収益などと呼ばれます。MRRと同じく、初期費用や追加のオプション費用、単発のサポート費用などは含まれません。

年間契約のSaaSに使用できる指標で、定着率や契約率などを確認できます。1年間の中で月度によって年額の変動が大きいSaaSの指標としては適しません。

ARPU

ARPUとは、Average Revenue Per Userの略で、1ユーザー当たりの平均売上のことです。一般的に月単位で計算されます。1ヶ月に1ユーザーあたりどれだけ売り上げているかがわかります。

1ユーザーあたりの売上が少ない場合、それだけ多くのユーザーに利用してもらわなければなりません。追加サービスや優れたサポートの提供によって、1ユーザーあたりの売上を増やすことが大切です。

カスタマーチャーンレート

カスタマーチャーンレートとは、顧客数における解約率のことです。決まった期間の中で、どれだけ解約されたかを示します。SaaSビジネスでは、いかに売上を増やしながら解約率を抑えるかが重要です。

新規顧客の獲得に躍起になり、顧客のサポートや新規提案がおろそかになると、解約率が上昇する恐れがあります。また、解約した人物の特徴や所属業界などを追跡し、解約率の上昇を防ぐ対策を講じることも大切です。

レベニューチャーン

レベニューチャーンは、収益ベースの解約率のことです。月額料金や年額料金が顧客によって大きく異なる場合、単なる解約率だけを見ても現状を正確に把握できません。カスタマーチャーンレートとレベニューチャーンレートの両方に注目することで、現状を正確に把握できます。

グロスレベニューチャーンレート

グロスレベニューチャーンレートは、解約やダウングレードによる損失割合のことです。分母は「先月末時点でのMBR」、分子は「当月のチャーンMRRと当月のダウングレードMRRの合算値」です。

ネットレベニューチャーンレート

ネットレベニューチャーンレートとは、プランのアップグレードによるMRRを考慮したチャーンレートのことです。分母は「先月末時点でのMRR」、分子は「当月のチャーンMRRと当月のダウングレードMRRの合算値からExpansion MRRを差し引いた値」です。

Expansion MRRは、「前月よりも取引額が増えた顧客からのMRR」です。

ネガティブチャーンレート

ネガティブチャーンレートとは、ネットレベニューチャーンレートがマイナスの状態のことです。顧客のプランのアップグレードに対して、ダウングレードや解約が少ない状態を指します。つまり、過去と比べて成長している証明になり、SaaSビジネスを行ううえで良好な状態と言えます。

NRR

NRRはNet Revenue Retentionの略で、売り上げ維持率のことを指します。対象月の売上から来年の同時期の売上を予測します。算出した数値が100%以上の場合は、アップグレードやプラン変更などによる売上増加のペースが良いと言えます。

数値が低い場合は成長率が悪いことになるため、経営から取り扱い商品まで細かな見直しが必要です。

まとめ

今回、ご紹介した指標は、いずれもSaaSビジネスを展開するうえで必須です。それぞれの指標を組み合わせることで、企業の今を適切に把握できるようになり、軌道修正や新企画の立案などに役立てられるでしょう。指標に頼らない経営は、現状の正確な把握とリスク対策が難しくなります。この機会に各指標の意味を理解して、経営に役立ててみてください。

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