アメーバ経営とは?京セラ独自の経営管理手法のメリット・デメリット

少ないコストで大きな成果を挙げることは、多くの企業が目指しているところではないでしょうか。経営方針1つで収益とコストのバランスが変化します。すでに確立された経営方法を学び、自社に適切な形で取り入れましょう。ここでは、京セラ独自の経営管理手法「アメーバ経営」について、目的からメリット・デメリットまで詳しくご紹介します。

目次

アメーバ経営とは

アメーバ経営とは、京セラの創業者「稲盛和夫」氏が提唱した経営管理手法で、京セラの経営理念を実現することを目的に生み出されました。アメーバ経営では、1つの大きな組織を小集団に分け、それぞれの集団の中で計画を立てて行動することで、大きな組織の目標を達成することが狙いです。

それによって、全ての従業員が主役になり、経営へ積極的に関わることができます。アメーバ経営は、京セラだけではなく、稲盛和夫氏が創業したKDDI、再建に尽力した日本航空をはじめとした約700社に導入実績があります。

それだけ多くの企業に導入されているのは、アメーバ経営が優れた経営管理手法である証明と言えるでしょう。

稲盛和夫はどんな人?

アメーバ経営を提唱した稲盛和夫氏が創業した京セラは、当時ファインセラミックスの専門メーカーとして設立されました。創業約12年で株式上場を果たし、今ではさまざまな業界で事業を展開しています。

当時、多額の負債を抱えていた日本航空の会社に無報酬で就任し、3年という非常に短い期間で再び上場させたことで話題になりました。アメーバ経営は、そんな稲盛和夫氏の考え方が組み込まれた経営管理手法です。

コストを抑えたい、業績が悪化してきているなど、あらゆる悩みを解決する術になる可能性があります。

アメーバ経営の目的

それでは、アメーバ経営の目的について詳しくみていきましょう。

市場に直結した部門別採算制度の確立

会社経営では、最大限の売上を獲得しつつ経費を最小限に抑えることが基本です。この原則さえ守ることができれば、会社は利益を積み重ねることができるでしょう。しかし、そう簡単には実現できません。そこで、1つの大きな組織を小集団(アメーバ)に分け、部門別採算管理を行います。

その結果、経営のトップが会社のすみずみまで管理できるうえに、マーケットの情報を素早く入手することが可能です。また、経営の課題が明確になることで、会社の弱点をいち早く補い、利益の最大化に向けて効率的な経営ができるようになります。

この目的を達成するために、全ての従業員が簡単に理解できる採算表を作成することが大切です。従業員に採算意識がついて、1人1人が経営に携わることができます。

経営者意識を持つ人材の育成

組織を小集団に分け、それぞれでリーダーを選任します。それぞれが小さな会社のような役割を果たせるように、経営者の意識を持つ人材へと育成するのです。経営計画や実績管理、労務管理、資材の発注など、経営に関わることはすべて任せて、共同経営者として扱います。

その結果、タイムリーで正確な経営判断が可能になるとともに、現場の従業員と経営者の距離が近くなることで人材が育ちやすくなります。

全員参加経営の実現

全従業員が経営に参加して、やりがいや達成感を得られる会社を目指します。会社が言うことだけやるのではなく、自己実現のために自ら行動する人材の育成が可能です。目標を達成する喜びを感じられることで、さらなる高い目標の達成を目指せるようになります。

そのために、アメーバ単位で目標を立て、それをそれぞれのアメーバ間で共有します。また、会社方針と会社全体の目標に基づいた年度計画を立て、続いて月次予定を立てて管理するのです。

アメーバ経営のメリット

アメーバ経営のメリットは、売上が高くてコストが低い理想的な状況を生み出せることです。組織が小さければ、売上とコストのバランスに関わる要因にしっかり目を向けて管理できるでしょう。しかし、組織が大きくなったり複雑になったりするうちに、管理ができなくなっていきます。その結果、部門ごとの売上とコストのバランスが見えにくくなり、大雑把な経営判断しかできなくなるのです。

アメーバ経営では、小集団単位で利益を追求し、課題を見つけて改善を繰り返す仕組みになっています。そのため、課題が大きくなる前に対処して、経営に大きな影響が及ぶ事態を未然に防げるのです。

さらに、社員1人1人が経営意識を持って働けることで、結果的にコストを抑えて売上を最大化できるようになります。

アメーバ経営のデメリット

アメーバ経営のデメリットは、導入が難しいことです。どれだけ素晴らしい経営手法でも、経営者との相性が悪いと導入できません。アメーバ経営を導入したからといって、必ずしも従業員1人1人に経営意識がつくとも限らないでしょう。

また、アメーバ単位でリーダーを選任するときも、人選を誤れば逆効果になります。そのため、従業員ごとの性質を見極めて、慎重にアメーバ経営を進めていく姿勢が必要です。また、経営者自身が小集団に自分で判断して行動する経営を任せられるかどうかも問題になります。

人に任せることができないタイプの経営者は、自分ですべてを管理しようとします。しかし、それでは従業員が十分に育たないため、長期的な目で見ると経営に悪影響を及ぼす可能性があります。アメーバ経営の根底には、人を信頼して社員の幸せを願うことがあるのです。もし、経営者がこの理念に共感できないのであれば、アメーバ経営は避けた方がよいかもしれません。

まとめ

アメーバ経営は、京セラの稲盛和夫氏が提唱した経営管理手法です。小集団に分けてそれぞれにリーダーを選任することで、従業員1人1人に経営意識を持たせることができます。コストを抑えて売上を最大化する会社経営の基本原則を守ることが可能です。ただし、アメーバ経営の導入は難しいため、自社に合っているかどうか慎重に検討することをおすすめします。

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