高齢化社会に伴い、労働市場でも高齢化は進んでいます。
それに伴い企業が考えなくてはいけないのが「高齢者対策」。

高齢の社員を雇うために必要なこととして、健康維持があります。
高齢者の場合、病気を抱えている人も多い、また単純に体力がない。
そうでなくても、ふとしたことで体調を崩しやすく、また治りが遅いといったことがあります。

そのため、今までのような「根性論」は労働現場では通用しなくなる。
福利厚生というレベルを超えて、病気と共存しながら就業するのが当たり前という風潮を各企業が作っていかなくてはいけません。

すでに、ローカル企業でもそういった取り組みが見られるようになっています。
東京に本社を置く印刷会社、東京ラインプリンタ印刷もその1つ。
東京ラインプリンタ印刷の特徴は、GLTDという独自の保険制度を導入したこと。
GLTDの特徴は「補償期間が長いこと」。最長3年の所得補償(一部)をして
くれる制度なのです。

この制度が作られた理由は、東京ラインプリンタ印刷の社員が病気になり、長期リタイアを余儀なくされたという経験があったため。
当初は健康保険で対処したものの、長期治療が必要な病気であり、それを超えてしまう場合、最悪、退職ということにもなりかねない。

そしてこの社員が営業職であったため、退職という事態になっては、会社の損失も大きい。
こういった事態は今後も予測されることから、長期保証制度ができたというわけです。

さらに東京ラインプリンタ印刷では、健康管理システムも導入。
病気予防に努めながら、病気になった場合は手厚いサポートを受ける制度ができているのです。

病気による「本当の損失」とは

労働者が病気になった場合の損失は、単純に欠勤だけにとどまりません。
例えば治療で、遅刻早退が増える。また症状に波があり、たまに休む日ができてしまう。
こういう状態になった場合、周囲に対して「申し訳ない」という気分になる社員は多い。
そして、それが高じて、最悪退職ということにもなります。

病気それ自体の悪影響よりも、「病気になってしまった」ことで周囲に遠慮をするなど、会社に対して前向きに企業貢献しようという姿勢自体が失われてしまうことが多い。

介護や育児など、家庭の事情を抱えている人にも、同じことがいえます。
また「プライベートに問題がなく、いつもベストな状態で仕事ができなくてはならない。」となれば、今現在、健康な社員であっても、その状態を維持しなくてはいけないというストレスがかかります。

もっと仕事に打ち込みたいが、健康を害してはやめることになってしまう。
そういった理由でベストを尽くせないという本末転倒な事態も起きかねない。

病気などに対する補償がないということは、職場に「ゆとりのなさ」や「不寛容さ」を生む原因にもなります。
そういった職場では、能力を発揮することより、皆の反感を買わないことに力が入りがちになる。
企業の理念や利益を求めるのではなく、そのための集団を維持するために頑張るといった的ハズレなことが起きてしまうのです。

病気による企業の損失とは「一定期間、社員が欠勤する」ことよりも、「その社員が復帰できない空気」が出来上がっていくことなのです。

では、病気や育児、介護など「後ろめたさ」を感じる状況に、どう対応すればいいのか。
まず、東京ラインプリンタ印刷のように「病気に対する補償制度」を手厚くする。
また時短や在宅ワークなど、多様な働き方を設けるといった方法があります。
企業が「後ろめたさ」を払しょくする制度を作り、「いろいろな人がいるのが当たり前」といった土台を作ること。
そして、そういった風潮が社員に浸透するような方法を考え、急がず実行することです。

多様な人材の確保に向けて

少子高齢化に伴い、今後の企業は高齢者だけでなく、女性や障がい者、外国人など従来の労働市場では異端とされてきた人材も、主流になって働く時代がやってきます。

病気や家庭の事情を抱えた労働者への対応は、サポートというより必須になりつつあるのです。
2020年初頭の時点では、まだまだ「病気による長期サポート」を特筆すべきこととして、書かなくてはいけない。
しかし遠からず、当たり前になる時代が来る。否そうでなくては日本企業の生き残りは無理と言っても過言ではありません。

メインの働き方があり、時短などサブの働き方があるといった時代は、もう終わりに来ているのです。
また同様に、他の企業がやっているからという理由で、同じ方法を取り入れる必要もありません。
東京ラインプリンタ印刷の場合、中小企業として、社員が大きな戦力になっていた。そのため病気による損失をまず防ぐことにした。
健康問題に焦点を当てることで、社員の持つ力を維持する方法を取っています。
しかし、他企業では時短の方がいいかもしれない。IT整備に力を入れた方がよい企業もある。

自分の企業ではどのような方法を取れば、社員の力が活かせるのか。
各企業が、まず自社を見直し、課題を見つけることが大切です。