残業を無くすメリットとは

働き方改革の大きなポイント「長時間労働の是正」。
残業をなくす動きも続々と出てきています。

しかしその反面、隠れ残業や持ち帰り残業が増えているのも事実。
また残業分の仕事を明日に回してしまい、より効率の悪い働き方になっている例も見られます。

しかし、引用記事に出てくる化粧品会社は、社員全員定時退社を実施。
その上で、業績もアップしているようです。なぜ、こんなことが可能なのでしょうか。

ノー残業を実施している化粧品メーカーの岩崎裕美子社長は、以前は別の会社の取締役を務めていたのだとか。
そしてその会社は超ブラック。寝ずに働き、業績をアップさせていたそう。
ただし、社員にも同じことを強いた結果、何と離職率100%という数字になってしまったようなのです。

絶えず社員が入れ替わっている状況に、疑問を抱いた岩崎裕美子氏。
社員が残業しなくてもよい方法を考えてみたそう。
その結果、「消費者が欲しいものしか作らない。そして実感できるものを売る。」「丁寧にお客様目線に沿って売る。」といったシンプルな目標を立てたそうです。

化粧品というのは、かなり頻繁に新作がでます。そこに消費者の心が躍ることも多いのですが、そういったことに関係なく商品を買うお客も多い。

また商品の回転の速さを喜ぶ消費者と、そうではない消費者がいます。
平成時代、化粧品などドラッグストアに置かれている商品は、かなり多くの種類が販売されるようになりました。
ここから、商品を選びぬくのが消費者の楽しみの1つ。
しかし、その反面、高齢者などが「買い物難民」になってしまった面も否めない。

「普通のモノが欲しい」という声は、化粧品を筆頭にしばしば聞かれる声。
化粧品や家電などは機能がウリ。そのため、多くの機能が宣伝されていますが、
「汚れが落ちる洗剤」「いつもの番組が映るテレビ」というシンプルな願望しかない消費者も多く、多機能が裏目に出ているケースもあります。

選択肢を多くすることがお客様サービスとも限らない。逆に消費者を疲れさせている可能性もあるのです。
そういった路線を歩くより、誰にでも安心して使ってもらえる化粧品を提供するというのは、1つの考え方ですね。

そして企業にとって、女性というのは商品開発者でもある。
いつか出産育児を経験するかもしれないのです。そういったときに、長時間の残業が当たり前の会社だと、有能な女性もすぐに退職してしまうかもしれません。

残業のない会社であれば、安心して結婚、出産も可能。女性が働きやすくなります。
化粧品の主なユーザーは女性、同じ女性が安心して働ける会社つくりは欠かせないということなのです。
確かに、あまり寝ておらず、肌のコンディションも悪い化粧品メーカーの商品というのは、イメージがよくないですね。

残業をなくすにはどうしたらいい?

ここまでが、会社側の理念。しかし理念を実行するにも、実際に仕事量が多ければ、残業せざるを得ません。
そこで実施したのが「仕事の見える化」。

残業している仕事の中身は何なのかを洗い出す作業を行ったのです。
すると、出てきたのは、目的不明な作業。やらなくてもいいもの、やめてしまってもいいものが多々あったとか。
また優先順位の付け方がおかしい作業もあったよう。

作業をタスクとして考え、見直す方法はRPA導入などには欠かせない考え方。
この会社ではRPA導入ではなく、アウトソーシングという形を取っています。

化粧品会社であっても、当然事務などの雑務は発生します。
しかし、それを「化粧品作り」のために働く社員にさせる必要があるのか。
事務などは外部委託してしまえばいいのではないか。

また社内の人間が行うメールも「お疲れ様」は省く。
会議は30分など極力無駄を廃止。また情報共有を行えるシステム作りも進めたよう。

これらを「残業はしない」という理念に基づき、実行。
残業時間はゼロではないが、基本的に残業は存在しない会社になったようです。

まずこの会社が行った「業務のタスク化」は、今後の企業には欠かせない考え方。
無駄を省き、RPAなどデジタルに作業を任せるうえでは欠かせない作業です。
企業の業績を上げるのに「無駄を省く」ことは、最低限必要なこと。

その結果、タスク化できる部分が少ない、またアウトソーシングでは効率が悪い、もしくは業績アップにつながらない企業も出てくるでしょう。
この会社では「化粧品会社の人間は化粧品作りやセールスに専念できる環境にいるべき。」という考え方を採用していますが、どの会社でも有効とは言い切れない。

そのためにも、タスク化してみることは欠かせない作業。
また残業をなくす理由は「女性社員が安心して働ける」ため。そして「消費者が欲しいものを売る」という理念もはっきりしている。
社員が目標に向かうための、動機づけがはっきりしているのです。

残業をなくすこと、それ自体を目標にしても「今、自分は困っていない、残業代が減るのはいやだ。」となりがち。業務の無駄を省くという作業に着手するには、「なぜ残業をしないのか」そして「どんな会社を目指すのか」という幹の部分がしっかりしていることが、大前提なのです。