残業を無くすということ

いよいよ働き方改革が、平成最後の2019年4月から始まろうとしています。
今回の法案には反対も多い「高プロ」など、いろいろな要素が盛り込まれていますが、1番大きな改革は「長時間労働の是正」が法案化されたこと。

今までの労働基準法などでも「1日8時間、週40時間」とされていましたが、例外を設けることが可能でした。
とはいえ、例外の上限も「月45時間、年360時間」となっていましたが、法的な拘束力はなく、過労死などが多発。
近年、大きな社会問題となっており、上限が法的に規制されることに。

とはいえ、職種によっては、繁忙期が偏る可能性もあることから、多少の融通が利くようにはなっていますが、原則として「残業が当たり前」の社会ではなくなるようです。

これで過労死などが減り、労働環境も改善される‥か、どうかはやや怪しいところ。
引用記事では、そもそも長時間労働の是正=生産性向上という意味をはき違えているケースが非常に多いと述べられています。

無駄を省くこと言うこと

生産性の向上というのは、皿洗いに例えると、1人10分かかっていたものを5分にする。もしくは2人で5分かかっていたものを1人でやってもらうというようなこと。

この場合、5分間か人員1人を他に有効活用できるということになります。
しかし、現在では、あまり具体的な方法が示されることなく「5時までに皿を洗おう」となっていることが多い。
その結果、洗いきれなかったものは、翌日に繰り越されます。1日放置している分、よけいな手間が増える可能性もある。

また「皿洗い」というのは業務の1つに過ぎない。
しかし「皿洗いだけ」の効率をアップすることに血道を上げるケースも多い。
引用記事では「雑巾を絞った水レベル」と書かれていますが、家計の節約術にも似ていますね。

そのレベルであっても、単純に「使った人が洗う」「家から食器を持ってくる」など、全く別の方法で「皿洗い」問題を解決できる可能性も高いのです。

しかし、現状では「5時までに終わる」の達成。もしくは「雑巾の絞った水の量自慢」に終わっているよう。
当然、この方法では生産性の向上には限界があります。
そもそも生産性についての改革は何もされていないのだから、残業時間が短くなれば、その分仕事が減るだけという可能性が大きい。

仕事が減れば、会社の利益は落ちる。すると賃金は下がります。
残業代もない。社員の手取りは落ちる。節約に励み、日本経済は停滞する。
これが、働き方改革で予想される日本の未来です。

丸投げ激増社会

また「長時間労働の是正」が4月から適用されるのは大企業のみ。
中小企業はやや遅れてスタートすることになっています。

ということは、大企業の場合、さばけない雑務は中小企業に外注してしまえばよい。実際にそういった動きが出てきているよう。
この方法では、当然「アウトソーシング代」がかかります。

また中小企業の場合、面倒な仕事を持って来られても断れない、経営上の死活問題ということも多い。こちらは、過労状態になってしまいます。

大企業の長時間是正が大事なのは、本当の意味で生産性を上げることが必要だから。それが働き方改革。
大企業には、なぜか「一定数、働かないおじさん」が存在するようですが、こういった人たちを「社内の利益を生む存在」にすることが大事。
そうでなければ、働き方改革はせこい節約と外に仕事を丸投げという方法で終わってしまうのです。

しかし、現状では「働かないおじさん」の自覚がないまま、長時間労働の是正だけが行われそう。
企業収益が落ちる可能性を考えると、今より悪い労働環境になる可能性も多分にあります。

労働ストレスとは

今回の法施行で、いわゆる過労死はなくなるかもしれない。それ自体は喜ばしいことです。
しかし、これまでの過労死のケースを見てみると、労働者自身が「結果を残さなくては」と思い過ぎていたケースも多々あります。

逆にいうと、仕事の結果を残すことは、労働者のやりがいでもある。
しかし、当然命を削ってまで仕事をしては本末転倒。しっかり休むことが結果を出すためにも大切。
法律ではっきりそう明記することで、健康を維持しながら、仕事のやりがいを追求、ひいては会社の利益につなげるような考え方をする労働社会へ。

これが、「長時間労働是正」の主旨であるはず。健康を害さない程度に、労働者の意欲を尊重することも、また労働者の権利なのです。

しかし一律に残業時間を削ってしまうと、やりがいも削られてしまう可能性も大。そしてそのフォロー案はあまり見えてこない。
「働かないおじさん」が野放しになるどころか「働く人」がベストを尽くせず、別のストレスを抱える可能性もあるのです。

基本的に、企業は利益を追求する集団、そのために知恵を出し、行動を起こし、
やりがいや給与につなげる。
それが「会社」や「労働」というものです。
会社を維持するための法律を守ってもらうために、社員が存在しているわけではありません。元気に会社に貢献してもらうために社員が存在する。
この基本を忘れないようにしてほしいものです。