働き方改革に伴い進むテレワーク、出社しなくても働ける方法として、各企業で導入が進められています。
テレワークが進む主な理由は、多様な働き方の促進。
労働人口が減少している中、フルタイムで出社できる人材ばかりではなく、育児や介護休暇が必要な労働者や、障害を抱え通勤が困難な人、高齢者など様々な人材を確保することが必要になってきます。
またこういった人材を「穴埋め」として雇うのではなく、戦力にしなくてはいけません。

必然的に、従来のように、皆が同じように働く同一労働だけでは限界があります。
仕事をスリムにし、作業効率を上げるためには、現場で働く人間、テレビ会議を行う人間というメリハリも必要。
テレワークはそういった環境づくりに、とても役立つ方法。

それと同時に、今後は企業にとっての「危機管理」という意味を持つようにもなります。

1か所で皆が同じ労働をやっている場合、その場所で大規模災害などが起きた時に、業務が全く回らなくなる可能性は大きい。
すると、たちどころに業績が悪化、最悪の場合倒産ともなりかねない。
リスク管理のために、情報や人材を分散させておくためにも、テレワークは有効なのです。

すでに、こういった非日常的な状況は目前に迫っています。
それが東京五輪。多くの外国人が来日、大規模移動を行う。それだけでも十分に非日常的ですが、その上大きな大会を行うとなれば警備も必要になる。
普段通りの通勤ができるとも限らない。
そして東京外に本社を置く会社にとっては、取引先の業務が滞れば、仕事に支障が出る。

この半年後に迫った「危機」に対応するため、テレワークは、大変有効と言われています。
そもそもテレワークを行う上での重要なツール「IT」は、元をただせば、危機管理対策として、編み出されたもの。
デジタルツールを使い、企業の危機管理を行うことは必然ともいえます。

IT企業の中には、すでに完全テレワーク化の予行演習を行い、メリットや問題点の洗い出しを行っている企業も散見されます。
その1つがメンバーズ。東京に本社を置く、デジタルマーケティングを扱う企業。
在宅ワーク整備などはお手のものといえそうですが、そういった企業でも、いざ実践してみると、問題点が多く見つかったようです。

なぜやるの、何ができるの

テレワークは必要な人間には便利なシステムですが、そうでもない人間にとっては、実行する意味を感じにくいもの。
本社に出勤しているメンバーズの社員にとって、テレワークはまさにそういった存在だったよう。

むしろ家に帰ると家族がうるさく、仕事に集中できないなど、デメリットもある社員もいる。
そういった社員のために、コワーキングスペースを用意するなど、物理的なサポートも大事になってきます。

また、それ以上に、「なぜこんなことをするのか?」という動機づけが大事になってきます。メンバーズでは、ただ「試験準備をする」だけでなく「何のために行っているのか?」を社員それぞれが考え、課題を見つけ解決するためのマニュアルを整備。

テレワークでも生産性は落とさない、むしろ上げる方法を、全員が考え行動に移したのです。
その結果、顧客との関係性、IT整備面での問題、また普段と違う環境で働くためのメンタルケアなど、いくつかの問題も見つかったよう。

テレワークというと、万人に有効なようですが、出社してパフォーマンスを上げるタイプにとってはそうでないこともある。
また、各社員が分散してしまうため、指示がしっかりしていないとチームとして機能しないといった問題も出てきます。
ただIT整備をすればよいという問題ではないのですね。

またテレワークでできることには、限界があります。テレワークでできること、できないことをはっきりさせておくことで、災害など非常時の対応力もアップさせることができる。
テレワークは、ただ「便利で効率のよい労働形態」というだけでなく、企業の危機管理を行う上で、想定しておかなくてはいけないことと言えるでしょう。

テレワークを行うために必要なこと

メンバーズがこういった試験を実施できた背景には、すでに働き方改革がかなり進められていたという理由があります。
メンバーズの給与は固定給制。残業をしなかった場合、固定給が上がるようになっており、残業時間は劇的に減りました。
また女性社員の登用なども行われている、すでに「企業は変わっていかなくてはいけない」という意識を持っている会社だったのですね。

当然、残業を減らすためのIT整備もかなり進んでいる。
そういった下地があっての、本格的なテレワーク実験だったわけです。

多様な働き方が必要という意識はすでに浸透している企業でのテレワーク完全実施。
それでも「危機管理のために労働状況を変更する」となると、大きな負担がかかるということ。
逆にいうと、テレワークがいつでも実施できるような、IT環境の整備、またコミュニケーションを高めておくといった土台作りは、災害大国日本においては欠かすことのできない作業ともいえます。