残業時間だけカットしても‥

「働き方改革」の目玉、長時間労働の是正。
今回の改正案は「守らない場合、企業に罰則が加えられる」という理由で、守られつつあるようです。

ただし、あくまで「タイムカード上の問題」であり、実際は「家に持ち帰り」
「途中で長時間休養を取ったことにする」など、会社に迷惑をかけない形で残業が行われているというケースも多いよう。
予想された結果ともいえます。

残業というのは「上司が残っているから何となく」という理由以外は、必要だから残って行う仕事。
今回の法改正で「惰性による居残り」という習慣はなくなるかもしれませんが、仕事それ自体が減らない限り、どこかで時間を使って、仕事をこなさなくてはいけません。

今まで通りの量の仕事を同じ人数でやっている場合、当然「隠れ残業」が必要になるのです。
というわけで、ヤミ残業、ヤミ出勤が増えているというのが引用記事の内容。

特にサービス業においては、顧客ファースト。
お客様の都合に合わせなくては、意味がないということで、時間管理の枠外で仕事をしているケースもあるよう。
またマスコミの場合も、定時以外の仕事ができないということで、内容の質が落ちたりということもあるようです。
やはり、働き方改革は弊害しかないのか。

どうなるコンビニ業界

現在のコンビニ業界の働き方を見てみましょう。
行き過ぎの過重労働が報道され、「大手コンビニチェーンの働き方やいかに」というニュースが流れるこの頃。見直しはなしという店はないよう。

大きな流れとして、まず営業時間の見直し、次に無人レジなど、人間以外のシステムを導入するなど、何らかの対策が各チェーンで始まろうとしています。
このように従来の仕事内容を維持していていいのか?という問題が、サービス産業では出始めています。

そもそもコンビニの場合、24時間営業に加え、店舗が絶えず綺麗に保たれているなど、かなりサービスが行き届いています。
このレベルを維持する必要があるのか?という見直しも可能。

またサービスを見直した結果、著しく収益が減少するようでは、本末転倒になりますが、そうでもない場合「安い賃金で苦労の多いコンビニ店員」というイメージが払しょくされる。
より質の高い労働者を得ることができます。

コンビニ業界の場合、多かれ少なかれ、無人レジのようなデジタル化が進むと思われます。しかし高齢化する社会を考えると、それをフォローする人材もまた必要。
人々の生活に身近なだけに、店舗によっては高齢者の店員がいると、よりお客さんを呼び込める可能性も出てくる。
現在議論されていることですが、チェーン店とはいえ、全店舗を同じような条件で運営することがベストなのか?という疑問もある。

そもそも病院や空港などにあるコンビニの場合は、今でも24時間営業ではありません。
またお酒を置いていないコンビニもある。
逆に「介護相談センター」を置いているコンビニもあります。
今後はこのような差別化が広がる方が、利用する側にとってもプラスになるのではないか。

働き方改革により、仕事の中身が変わりつつある実例がコンビニともいえます。
同じような例として、流通業があります。コンビニ改革の原因の1つは「流通業界の人手不足」という面もある。

ネット通販などが普及したのはいいが、料金が安すぎるため、低賃金、過重労働となってしまっている流通業。
これも送料などを高くすることで、対応が始まっています。
しかし、その反面、サービスの種類も広がり、あまり根本的な改革にはならず、結局、過重労働状態は根本的に解決されず。
ノー残業にした場合、積み残しが繰り越されるだけという側面もある。
サービス業の場合、一気に仕事内容を変化させてしまうと「顧客の利便性を損なう」というマイナス面が出てしまいます。

拙速な改革は避けなくてはいけない。
しかし、「労働者ファースト」という意識を持たないと、収益が維持できない。
収益減少は給与の減少を呼び、買い控えを招く。こうして企業収益はより減っていくという悪循環を招くことに。

欠かせない「仕事の見直し」

結局、すべての業種において、仕事の内容自体を見直すという作業は必要になってくるのです。
その際、問題になるのは、マスコミのように「質が低下」してしまうこと。
特に文化的な側面が大きい業種の場合、質の低下はそのまま「受け取り手の感受性の低下」につながる可能性もある。
「日本の文化は低レベル」と言われてしまわないようにしなくてはいけない。

次に、現在横行するヤミ残業やヤミ出勤は、会社の黙認状態だと思われる。
これでは改革の意味がない。
過重労働も仕事の中身も変化しないことになってしまう。
「仕事の見える化」も進めなくてはいけない。

とはいえ、業務内容を見直して減らす、それと同時に利益も維持するという状態をつくる。こんなことが簡単にできれば、どの企業もすぐに着手しているはず。

今回、働き方改革を実施してもしなくても、人手不足は労働現場における大問題。
とすれば、このタイミングで「長時間労働の是正」という石が投げ込まれたのをプラスに解釈して、労働現場の問題を少しずつ解決していくのがベストなのかもしれません。