中高年の力がスタートアップ企業を支える

大手企業の不祥事が続く中、転職を考える中高年も増えていますね。
現代では、大手企業を退職してスタートアップ、いわゆるベンチャー企業に就職する人も増えているとか。

引用記事では、58歳にしてスタートアップ企業に転職、給与は下がったが、やりがいに満ち溢れている男性が登場しています。
この男性の転職成功の秘訣は何だったのでしょうか。

スタートアップ企業にないもの

この58歳男性は大手企業でマーケティング部長をしていました。販促のプロだったのですね。
そして転職先のスタートアップ企業は、高い技術評価を得ている会社でしたが、営業のノウハウがないという会社。
マッチングがうまくいったということです。

一見簡単なことのように思えますが、実際にはかなり大変なこと。
まず、スタートアップ企業から見て「人材確保はハイリスク」なこと。
何かしらのスキルを身に着けている人は欲しいが、下手に色が付いていると、ただの使えない人になる。
それどころか、会社としてこれからスタートしようという状態のときに、チームワークを壊す人に参加されてしまった場合、組織が空中分解する可能性すら出てきます。

そんなリスクを取るくらいなら、色の付いていない新卒を鍛える、もしくはスタートアップ企業を経験している若手を採用する方がはるかに安全。
採用する側は、そういった事情を理解している人材かどうかが、最重要事項。
58歳男性もそういったスタートアップ企業の事情を、しっかり得られる状況になっていました。

そして中高年で転職を考える人の場合「自分は戦力」と考えている人が多い。
したがって「転職というリスクを伴うのだから、それなりのメリットが欲しい」
と考えます。
しかし、スタートアップ企業の場合、メリットが得られるかどうかは、その企業が順調に育つかどうかにかかっています。
大企業であれば、元々収益なり、何かしら会社が持っているものがすでにある。しかしベンチャーなどの場合、まだこれからそういうものができていく状態。

そこに力を貸すわけですから、下手をすれば、ただの捨て駒ともなりかねない。
そういうリスクを背負う覚悟がこの男性にはあり、なおかつ、それを楽しみと受け取る考え方がある。
それが満足感につながっているのです。

自分のこれまでの経験は評価されて当然、それなりの金銭的報酬も得られるはず。こういう考え方をする人の場合、転職はやめた方がよいでしょう。
転職先から見て、中途採用者は「結果が出なくては評価しようがない存在」。
採用した段階では、どれだけ能力があろうとも「リスク」でしかないのですから。

得てきたからこそ、捨てられる

しかし、これらの前提を踏まえれば、中高年世代は、スタートアップ企業にとって大きな戦力です。
それは、会社で身に着けた技術を始め「社会人としての経験がある」から。
スタートアップ企業は、まだ会社として軌道に乗った状態ではありません。

会社組織として必要なことが身についていない状態。
企業で長く勤務してきた人間であれば、足りないものをサポートできる。また、どうしたら不足を埋め、うまく会社が回っていくのかという知恵を出せる。

引用記事では、スタートアップ企業を「漕ぎ始めの自転車」に例えています。
転ぶ可能性も高い。少なくとも現段階では「普通に走っているわけではない、しかし自転車である」という状態。

しかし、うまく走ることができれば、既存の自転車よりずっと早い可能性もある。
もし、そうなれば結果がついてきます。そのときは、転職前以上の給与をもらえる可能性も出てくる。
そういう会社にできるかどうかは、そこに勤務している人次第ということ。

中高年で転職をしたいと考えている人の場合、すでに「順調に走っている乗り物」に飽きている、また自分がいてもいなくても関係ないのではないか?と考えることもある。
給与面はさておき、評価される場所に行きたい。そういった理由で転職を考える人も多く見られます。

こういった人が、転職先で「評価を得よう」とすると失敗します。
しかし、「これから、自分が評価を得られる場所を作る」という発想にしたらどうでしょう。
新卒時と違い、すでに多くの経験を得ています。知らずのうちに身についた技術もある。
立ち位置を間違えなければ、人生経験や社会人経験が浅いスタートアップ企業にとっては、かなり重要な人材になるのです。

また、大企業経験を得てきたからこその、改革点も見えてくる。もちろん自分の責任は自分で持つこと。下の世代に迷惑をかけないことも経験から学んだことの1つでしょう。

若い人材はこれから家庭を持つなど、私生活でも色々な経験を経なくてはいけません。それなりの収入も必要になる。
しかし、中高年の場合、すでに一定の所得は得ている、もう守りに入る必要はないとも言える。

中高年世代が「攻める姿勢」を持ち、若手をサポートする。若手に自分の能力を引き出してもらう。謙虚さを持つ中高年は、スタートアップ企業の大きな戦力になる可能性を秘めているのです。