身体だけ休めても頭は休まない

平成もいよいよラスト、新元号も「令和」に決定。
それと同時に働き方改革もスタートしました。今回の改革、最大の目玉は「長時間労働の是正」。
残業時間は月45時間まで、違反した場合は企業に罰則が科せられるという画期的なものです。

ところで、この月45時間は時間として長いのか、短いのか?
1日3時間残業したとして15日分に相当する長さ。ほとんど残業がない職場の場合、長く感じられるだろうし、逆の場合は短く感じられることでしょう。

職種によっては、仕事を終える段階に入ってから、長く時間がかかるものもあります。またこの長さ以上の通勤時間をかけて、仕事に通う人もいるはず。
人により「長さが微妙」と感じられる時間だからこそ、月45時間に設定されたという見方も可能。

しかし、45時間では時間が少ないと感じるタイプの職場では、仕事がきちんと回るのかどうかも懸念されるところ。
引用記事によれば、時間の感覚はかなり主観によるものが大きいとされています。

これは楽しい時間はすぐに過ぎ、つまらない時間はやたらに長く感じられることからも、よくわかりますね。
なぜこんな感覚になるのか?というと、引用記事によれば、時間の感覚は「意識的情報量」を「無意識の情報処理速度で割った」長さということになるそう。

つまり、楽しい時間はかなりの速度で情報処理が行われる。楽しい時間があっという間に過ぎるのはこのせい。
集中力の高い状態とも言えます。どんどん情報を処理してしまうため「もっといろんな情報や刺激が欲しい」と感じてしまう状態。

これに対して、退屈でつまらない時間というのは、処理されない情報がどんどん入ってくる状態。
どうでもいいような資料の内容、渋滞の景色などが、これに相当します。
ということは、資料や渋滞の景色に「意義を見出す」ことが、時間を長く感じない秘訣とも言える。
面白いことを発見できるタイプ、アイディアマンと言われる人には、こういったタイプが多くいます。
普通の人であれば、処理されない情報が、頭で処理される。
そして他の情報と結びつき、新しいアイディアとなって登場するということ。

つまり「時間を短く感じる人になる」ことが、仕事の効率を上げる方法ともいえます。

逆に考えると、こういう人は、5時間何かを考えていても苦にならない。
意図的に休みを設けないと、頭はいつまでも休めないことになってしまうのです。そういった意味で、強制力のある残業時間の規制は有効と言える。

残業時間規制を本当に有効なものにするには、肉体労働時間を短縮するだけでなく、集中力の高い状態から労働者を解放するという意味を持たせることが大事ですね。

考え事はどこででもできる

しかし、問題なのは、残業時間の規制はあくまで「出社、退社時刻」が基準であるということ。
ワーカホリックと言われるタイプの人は、いつでもどこでも精神的に仕事をしている人も多くみられます。

これでは事実上、残業規制は意味がないのではとも考えられる。
また職場以外の場所で仕事のことを考える場合、2パターンの内容が考えられます。

1つはアイディアを練るなど、前向きな事柄。もう1つは人間関係の悩みや、片づけていない仕事の中身など、どちらかというとネガティブな事柄。

前者については、考えている方が労働者の健康にもよいと言える。
逆に後者の場合、精神的休息が取れていない状態。またこういった悩みが付きまとうこと自体、労働環境がよくないともいえる。
仕事をやるうえで効率が悪い環境であることも考えられる。

多少、残業してでも、仕事のやり方などを工夫する話し合いの場を設けた方がよい可能性もあります。

問題は前者のケース。本人の心身の健康に問題がない以上、仕事に関することはどんどん考えてもらった方が、自分も楽しい。そして職場に還元できるといういいことづくめの状態になります。

だからといってエスカレートしてもいいのかどうかは、健康を考えると別の問題。

残業時間の規制というのは、肉体面ではわかりやすい効果を発揮しますが、精神面では、必ずしもそうとも言い切れないのです。
職場の悩みはもちろん、やりがいが先行して寝られない。こういったことが原因で、労働者が健康を害した場合、会社がどこまで責任を持つのか?

基本的には、職場は労働者のもの。主体的に行っていることであれば、規制は少ない方が望ましい。
精神的就業時間をどうとらえていくのか?も、働き方改革が進んで行くうえで、問題になってくるでしょう。

それ以前に、過剰な肉体労働、不毛な仕事やつまらない仕事を減らすことが先決であるのはいうまでもありませんが。

労働者個人がつまらないと感じる仕事に対して、できることは「何かしらの興味を持ち、集中してみる」ことで乗り切ることは可能なよう。
働き方改革スタートを機に「仕事を楽しい時間ととらえる」という意識改革を始めてみるのもいいかもしれませんね。