グローバル化が必要な理由

多様な人材活用が叫ばれる働き方改革ですが、何のために多様な人材が必要なのか。
それを考えずに「多様性」という言葉だけにとらわれてしまうと、女性や障がい者の割合目標だけを達成すればよいという、実に無意味な結果に終わります。

多様な人材として挙げられる例に「外国人」がありますが、外国人労働者もどういった理由で雇用するのかが非常に大事。
職場によっては、日本人人材が集まらず、外国人労働者に頼らざるを得ないケースもありますが、こういったネガティブな理由で雇用する場合、労働環境が悪い。
また優れた人材が来ない。ひいては、将来外国人さえ来てくれなくなる可能性も出てきます。
賃金が安く抑えられるといった理由での雇用は、高く支払う企業や国が出てきた場合、すぐに成り立たなくなる。
所詮付け焼刃に過ぎません。

それに対して「外国人」である必然性がある場合は、外国人ならではの能力を活かして、企業に利益をもたらしてもらうことができる。
そのため、賃金を低く抑える必要はない。そして働く側にしてみれば「仕事のやりがい」を得ることができる。
そういった企業であれば、国を超えても働く甲斐があると思われ、より海外からの人材を確保しやすくなる。

一口に「外国人労働者の雇用」といっても、その動機により、企業の行く末を大きく左右することにもなるのです。

では外国人労働者を雇う大きな動機は何か。
東京都に本社を置くリンク・ソリューションが行っている働き方改革に、その理由を垣間見ることができます。

リンク・ソリューションはコンサルティングサービスを提供する会社、また医療材料の共同購買事業も手掛けています。
どちらのジャンルも海外進出すればより大きな利益を見込める分野でもある。
とはいえ、当初リンク・ソリューションの社員は、海外進出の必要性をあまり感じておらず、グローバル化も進んでいなかったよう。

そこでリンク・ソリューションは、海外からインターン受け入れを行うことにしたのです。
インターンとして外国人労働者を受け入れるのと同時に、海外のマーケティングリサーチを行ってもらうことにしたのです。

この方法であれば、まず海外の労働者の考え方がわかる。
当たり前と思っていたことが、食い違う可能性も高い。逆に、日本人とさほど変わらない面も発見できる。
違いを知り、共通点を知ることで海外が「海の外」ではなく、地続きの市場だと体感できるようになるのです。

価値観や文化の違いを理解するためには、マニュアル化をするよりも、まず体験する。感情から入る方が実感として身に付きやすい。
「外国人労働者の雇用」や「グローバル」という文字を読むよりも、身近に外国人がいる方が、ずっと有益だということです。

身近に外国人がおり、日常的に接していれば、その人の育った文化背景などが見えてきます。違いに気づき、そこから「海外」を意識する。
リンク・ソリューションは、まず「海外を知る」動機づけからスタートしたのですね。

都会と田舎

この構図は、大都市と田舎についても同じようなことがいえます。
東京の大企業文化に慣れ、その感覚で町おこしを行おうとして、地域住民のひんしゅくを買うケースは多々あります。

それは、頭で「田舎」を理解しようとするから。
こういった方法ではおのずと立ち位置に差が出てしまう。上から目線になりかねない。そして反発を買うことになります。

海外にモノやシステムを輸出する場合も同じこと。
自社製品ですから、もちろん「よかれ」と思い、海外に売り込む。
しかし、自社製品のメリットを宣伝することと、相手の立場を無視することはまったく違います。

「オタクはこういった状況ですよね、ではこういったものはどうでしょうか。」
と、相手が何も説明していないのに、田舎の人間である、高齢であるなどの理由で、状況を決めつけてしまった場合、反感を招くだけです。

それよりも、まず田舎に慣れてみる。そして自分の便利さや不便さを経験してみる。そして体感したことを現地の人に言ってみる。
自分が感じる不便さは、田舎の人にとっては、どうでもいいことの可能性もある。
もしくは不便さの中に、守るべきことがあるのかもしれない。
逆に不便さに気づかず、無意識のうちに我慢している可能性もある。

そのどれであるのかは、実際に相手とコミュニケーションを取ってみなくてはわかりません。
コンサルティングというのは、まさにこういったマッチング作業を指導すること。

頭で知るだけではなく、肌で異文化を感じることで、相手に対して適切なアドバイスができるのです。
リンク・ソリューションの場合、「知った方がよい異文化」が海外であったということ。
企業によっては、高齢者であり、地方であり、といろいろなケースが考えられます。

ネットの発達により、意外と知っている「つもり」になりがちな世界ですが、実はそうではないケースはたくさんある。
多様性とは、いろいろな世界を体感してみることから始まるのです。