労働組合が足かせになっていた?

JR東日本が26年ぶりに勤務体系を見直すことになったようです。
26年前というとバブル崩壊直後。その後、日本経済や働き方は大きく変わってきたというのに、鉄道会社の勤務形態はそのままだったようですね。

引用記事ではその原因の1つを「労働組合」としています。
労働者の権利を維持する労働組合ですがJR東日本の場合、東労組という大規模組合があり、この組合の意向がかなり大きい。
つまり、東労組が納得しない変更はできないという状況が長く続いていました。
しかしこの春、ストライキを巡り組合員の大量離脱事件が発生。
それ以降、再組織結成などの動きもなく、労働組合は弱体化。

皮肉なことに、これが会社側の思う働き改革の後押しになったということです。
すでに、大規模労働組合が、労働者の意向を反映するという仕組みから遠ざかっていたのかもしれませんね。
組合崩壊自体が、意図せぬ働き方改革の一環だったのかもしれません。

鉄道会社は日本社会の縮図

ともあれ、JR東日本の勤務体系見直しは現実のものに。
具体的には、ピークタイム時の時短業務など、勤務体系を選べるようになっています。
また運転手資格を持つ内勤者も乗務員として働けるなど、柔軟性の高い勤務変更ができるようにもなっています。企業内ワークシェアリングですね。

時短導入については、JR東日本も他の会社と同様、育児をするママさん社員が増えていることが大きな理由。また父親も育休が取りやすくなりますね。

そもそも、会社員が全員同じような時刻に働くため「通勤電車の地獄」が起きている。ということは、当然鉄道会社の人も、この時間帯に頑張ればいいとも言える。
もちろん他の時刻も鉄道は運行していますが、労力はピークタイム時に向ければよい。働き方にメリハリを付けることは可能です。

元々鉄道会社というのは、かなり仕事内容が幅広い。
鉄道業務だけでなく、系列のホテルや百貨店がある会社もあります。
JR西日本は、あの有名な近大まぐろを筆頭に養殖業を行っています。
元々ワークシェアリングの余地がかなり広い会社ではあるのです。

そして、自動車の自動運転が話題になっていますが、もちろん鉄道も例外ではなく、自動運転化が考えられています。
そうなると運転士、車掌など現在の乗務員の大規模変更が今後は起きてくる。

そしてそれ以前に、まず「団塊世代」の大量離職者が出ます。
単純に運転士が減る時期は目の前。だからといって、同じ数だけ運転士を確保するといっても、少子化の波を受け今後の乗車数は高止まり。
お客さんが減るのに、社員を大量に雇うわけにはいかない。

仕事の種類や数が減るだけではないため、減った社員数で今の仕事を回すしかない。この状況は、今の日本企業最大の悩みでもあります。鉄道会社というのは、日本社会をわかりやすく反映するようです。

そのため、乗務員の柔軟な働き方や、将来の自動運転化などは、他の会社以上に早めに手を打っておかなくてはいけないというわけです。
とはいえ、自動運転はいつどういった形で具体的に導入されるのかは、まだ見えづらい。

鉄道会社ならではの課題

最近、鉄道事故のニュースが目立ちますが、整備点検を筆頭に課題は多い。安全性確保が欠かせない職種なだけに、問題も多いのです。
労働組合が「柔軟な働き方改革」に反対していたのもこれが原因。
仮に他業務についていた人を、乗務員に採用した場合、安全性の担保が怪しくなる。また労働者の過重労働につながる可能性もある。

確かに、乗務員の仕事は専門性の高い仕事。同じ会社だからといって、ホテル業務に従事していた人が、いきなり鉄道の安全を預かるというのは、乗る側にしてみると不安が生じますね。また運転士と車掌では乗務の負担が違う。鉄道における安全性と、労働者の権利の2点は確実に守られなくてはなりません。

最近、通勤者数の多いホームには、ホームドアが設置されはじめ、多少駅員の安全性に対する負担は軽くなり始めています。
しかし、100%安全が確保されているシステムというものはない。ホームドアも「何かが起きた場合」は想定しなくてはいけない。
電車が走る限り、安全性を考えて考えすぎることはない。大量退職者が出るということは、彼らは今後「高齢の乗車客」になります。
高齢者の安全性も確保しなくてはいけません。

鉄道会社の幅広さを強みに

安全性と労働者の権利が確保されれば、鉄道会社というのは幅が広く、雇用者数にあまり変化がないのは大きな強みです。JR東日本と一口にいっても、通勤電車から新幹線、また僻地の勤務まで鉄道業務だけでも、かなり幅が広いのが特徴。そして、乗務員や駅員に必要な要素は場所により異なると思われる。

通勤電車は多くの人の安全を確保しなくてはいけませんが、僻地の場合、特定の高齢者を覚えておく必要があるかもしれない。また自動運転も早く導入される地域とそうでない地域に分かれる可能性も大。鉄道会社の社員に求められる資質がとても幅広くなる可能性もあります。
そういったことに、今回の「柔軟な勤務体系の導入」が活かせれば、他の会社の見本にもなり得るでしょう。