テレワーク促進で見えてくるもの

今後の労働市場に欠かせないワードが「多様性」。
昭和型の働き方では、労働現場の主な戦力は男性、サポートする形で女性労働者がいるといった形がメインでした。
例外的に、退職者が元の職場で働いたり、また障がいのある人でも、一般企業に対応できる労働者は、一般企業で働くといくという状況。

つまり、現役世代の健康な男性以外の労働者は、マイノリティーとされてきたのです。
しかし、現在この層だけでは労働者の絶対数が足りない。
また、似たような年齢、境遇の人材だけでは、新規の事業が生み出せないなどの理由で、各企業が多様な人材を確保するため、いろいろな方法を模索しているというのが、現在の実状です。

逆にいえば、女性はまだしも、高齢者や障がい者は、労働市場において、まだまだマイノリティー扱いされているともいえます。
今回ご紹介するジョブサポートパワー株式会社は、そんな障がい者をメインに雇用している会社。
受託業務のほか、障がい者雇用支援も行っている企業です。

そんなジョブサポートパワーの主な就業形態は「テレワーク」。
出社しないという前提条件を付けることで、出社へのハードルが高い人材でも、企業貢献できる仕組みを作っているのです。
ジョブサポートパワーの取り組みから、テレワークを始め、障がい者雇用のために必要なことが見えてきます。

「出勤」で失う人材

ジョブサポートパワーが主に取り入れている就業形態が、テレワーク。
ITなどを活用して、会社には行かず、自宅やコワーキングスペースで働く方法です。

障がい者が就業するハードルの1つに「出勤」があります。
満員電車に乗って出勤ともなると、まず物理的にハードルが高くなる人もいる。高齢者の場合、出勤でエネルギーを使い果たしてしまうことも考えられます。
また精神疾患や発達障害を持つ人の場合、人混みで体調を崩すというケースも少なくはない。1日を通しての労働に不安を感じるため、出勤できないというケースもあります。

しかし出勤ができないからといって、企業に必要とされる労働ができないわけではない。
ということは、戦力になるのに「出勤ができない」という理由で、働けない人たちは大勢いる。

「出勤」というハードルが、かなりの労働者の損失を招いているのです。
では、出勤それ自体を無くしてしまえばよいということで、導入されたのがテレワーク。

在宅で仕事をしてもよい、または通勤していても在宅勤務へのシフトが可能となれば、就業可能な障がい者はかなり増えます。
また健康に問題がない労働者であっても、テレワークを望むケースもいると思われる。
こういった人材を切り捨てずにすむのです。

テレワークの課題

しかし、テレワークにはいくつか課題があります。
まず、在宅ワークということは、誰かが仕事の管理をしていないと、サボることが可能。結果を出すか時間管理をするか、あるいは両方の要素が必要になります。

在宅ワークを希望する労働者は「時間を自分の自由に使いたい」と考えている。
その理由には、就業時刻の途中で、通院する、具合が悪くなったので、もしくは体調維持のため休養を取るといったことが考えられます。

そのため仕事の進捗状態をチェックし、給与に反映するシステム作りを行う必要がある。

ジョブサポートパワーでは、始業、終業時にリーダーへの報告を行う、スカイプを使用するなどの方法で、労働時刻の管理を行っています。
スカイプを使うことで、労働者を孤立させず連帯感を生むと効果もある。サボる環境は生まれにくくなります。

次にセキュリティーの問題があります。
在宅ワークに必要なのはインターネットなどの通信網。企業の場合、個人情報など情報管理が非常に大事になってきます。またシステムエラーなどのトラブルが起きると、仕事自体ができなくなる。
そういった場合のサポートも必要です。

こういったシステム整備には、コストや時間がかかる。
一般企業に在宅ワークが浸透しにくいのは、労働者の管理やIT管理を行うシステム作りに時間やお金がかかるためと思われる。

それでも必要なテレワーク

一般企業の場合、お金や時間をかけて在宅ワークのシステムを整えなくても、既存の社員に出勤してもらえば業務はうまく回る、そのためテレワークの促進が進まないこともあるでしょう。

しかし、ジョブサポートパワーは「お情け」で障がい者を雇用しているわけではない。テレワークや時短、フレックス勤務を導入することで、既存の労働市場からはじかれてしまう人材を活かせば、企業収益につながることが分かっているからです。

また労働に対して「障がい」を持つ人は、育児や介護を行う人、外国人など多様にわたります。こういった人材は優れた消費者でもある。
こういった人材をうまく労働現場に活かせなければ、今後の企業は生き残りが厳しい。

また障がいとは、ひとくくりにできるものではない。当然テレワークという仕組みさえあればよいわけではない。当事者の就業意欲を高めることや働きやすい環境づくりも大事になってきます。
そして、そういったことは即席でできるわけはない。

まず「人それぞれ」は当たり前。そのために色々な就業形態があるという意識づくりが大切になってきます。