自前でエンジニアを育てるメリットとは

RPAなどの普及に伴い、増えているのがIT技術者不足。
RPAも便利な製品が増え、高度なIT技術は必要ない製品も増えていますが、それでも相対的には人材不足。

引用記事には、大手転職サイトビズリーチの例が載っています。
ビズリーチでは、顧客管理、マーケティングツールSalesforceを使用。
クラウド型でかなり幅広くカスタムが可能というツールで、人気が高いのですが、人気の割に一歩進んだ使い方はなかなかできていないよう。

というのも、Salesforceのアプリ開発エンジニアの数が絶対的に不足しているからです。

ビズリーチは転職サイト運営をする会社。少子高齢化に伴い労働市場はどんどんと変化。当然そこに対応しなくてはいけないのですが、肝心のシステム変更が追い付いて行かない。
エンジニア不足が大きなロスを招いてしまうのです。
また同社はどんどん規模が拡大、スピード感と量のという2つの課題をクリアしなくてはいけない状況に。
こうなると、IT部門~Salesforceの開発、仕様変更は外部委託するしかありません。

ITエンジニアは「キツイ仕事」として敬遠される傾向にありますが、こういった作業の下請けを引き受けるから。
短い納期に大量の仕事をやらされる。しかもシステム変更だけを外部から持ち込まれるのですから、全容や顧客の顔が見えていないということも、ままある。
仕事量が多く賃金が安い、そしてやりがいも感じにくいと、ブラック企業の条件を満たしてしまいがちになります。

ITエンジニア不足は、IT業界のブラック化とスピード感をウリにする企業の業務停滞の2点で、大きな損失になっているのです。

そこでビズリーチでは、何とか自社でSalesforce専用エンジニアを育てる方法を実践。
いくつか思わぬメリットが出てきたようです。

エンジニアに向いていない「仕様変更」

もちろん同社は業務がサイト運営ということもあり、ITエンジニアはいますが、Salesforce担当者に名乗りを上げる人はいなかったよう。
というのは、Salesforce自体は完成されたアプリ。
自分でプログラムを組むシステムエンジニアにしてみれば、自分たちが行う仕事ではないと感じてしまうようなのです。

作曲家に「編曲をメイン業務にしてくれ」と言っているようなものですね。
しかし、Salesforceを対象にしたエンジニアを育てることは、自社業務のスピードアップにつながる。

何とか数人を確保して発覚したことは「作曲家が必ずしも編曲に向いているわけではない」という事実。
音楽同様、1からモノを作り出す作業と、既存のものを組み合わせてベストな状況を作る方法は違います。
「ここを直した方がいい感じになりそう。使い勝手がよさそう」というのは、必ずしもプログラムを組む能力と関係はない。

実はビズリーチでもそこに目を付け、次に営業などITには関係のない分野の人材をSalesforceとしてスカウトしたようです。
ここで化したテーマが「粘りと責任感」。
エンジニアに必要な能力として「仕事量をこなす」ということがあります。

また別分野から来た人の場合、そもそも基本的なIT知識がない場合もある。
そういったことに対して、最後まできちんと勉強できる人材でないと、エンジニアとして不適格。
こうしたエンジニアに必要な適性を見極められたのは、社長自らがSalesforceの開発講師を務めたというキャリアがあるから。

どの企業にもこういった社長や上司がいるとは限りませんが、ビズリーチにはこういった人材がいたため、エンジニアと、現場で役立つITシステムを組む作業がうまくマッチング。

そして、営業技術の高いエンジニアが育つなど、IT技術と人をつなぐパイプがより太くなっていくというメリットが出てきたのです。

専門職育成に必要なこと

どんな専門技術も、現場で活かされてこその技術。
技術のみでは何の役にも立ちません。ニーズやマッチングといった要素を考えることが欠かせません。
しかし、ITエンジニアのような高度技術職の場合、専門分野と現実世界との接点が離れてしまいがち。

そのため、ITエンジニアにしてみれば「やりがいの感じられない職場」になるなどの悪循環も生じます。
中途半端な人材が大量に育つのも困りものですが、専門分野とニーズをつなぐ人材は不可欠。
こういった人材がいるかどうかが、今どんどん導入が進んでいるRPAをどう活かしていけるか、利益につなげるか?の差になっていくように思われます。

ビズリーチの場合、システムのカスタムという作業を、エンジニアとそれ以外の社員両方にやらせたことで、双方のメリットデメリットがわかるという抗我を生み出しました。
双方のジャンルの人間がリアルに協力することで、気づけることは大きい。

RPAなどのシステムは「横のつながり」を意識しないと、うまく機能すらしない可能性もあります。
専門技術を身に着けながら「他ジャンル」との交流も図る。自分の技術をどう活かせば他人の役に立つのか?を考える。
これが、やりがいを育て、より使えるITエンジニアを育てます。
「横断」思考が増えれば、タイトと言われるエンジニアの数も増え、企業のデジタル化もより効果のあるものになっていくでしょう。