RPA導入の落とし穴

仕事のAI化に先がけ、すでに始まっているのは「RPA」の導入。データ入力をする場合、計算はエクセルソフトなどがやってくれますが、入力作業自体は人間が行い、照合も人の手を借りなくてはいけません。しかしRPAを利用して交通費の清算をするとします。
飛行機代、鉄道代など項目はバラバラでも、RPAにシステムを組んでおけば自動的に、最適な料金で計算してくれるというわけ。エクセルのように「計算作業」など決まった作業を行うわけではなく、処理してほしい作業やデータ内容を、利用する側が設定できるのがRPA。地味で面倒くさい作業をすべて減らせるというわけです。
これに結果に対する判断を加えると、いわゆるAIになるんですね。ただし単一作業をやるわけではなく、作業自体を学習するという意味でRPA導入も「AI化」と呼ばれることもあるよう。

色々な労働を自動化できるメリットがあるため、やはり導入企業は順次増えているよう。こういった面倒な事務作業が大量にあるのは、やはり大企業ですが、中小企業で導入するところも増えているようです。中小企業が、RPAなどのシステムを導入しづらいのは、初期投資費用がかかることもありますが、1人の労働者が単一労働を行っているとも限らないため。労働者が少ない企業の場合、データ入力と同時に電話番、接客など複数のタスクを同時に行う可能性が高くなります。こうなると、データ入力だけをRPA化しても、他の作業がそのまま残っていることになりますね。他の作業も可能なかぎりRPAに組み込めばいいのですが、限界もある。

RPAを導入するには、まずRPAを組むことができる職場環境を作らなくてはいけません。そして、その環境に合わせて、RPAのシステムを組まなくてはいけません。その開発者がまだまだ不足しているという課題が、引用記事には書かれています。確かにRPA活用が有効になると思われる大企業ほど、組織が大きくかつ複雑になります。
技術と経理では全く仕事内容が違うということもあります。
社としてシステムを組む場合、いろいろな部署にRPAを理解してもらう必要が出てきます。その事情を組みながら、RPAのシステムを有効活用できるように組んでいく人材というのが、まだまだ手薄のようなんですね。

RPAシステムを構築するには、ITの知識や能力も必要ですが、各部署の仕事を把握するなど、対人能力いわゆる「コミュ力」も大事になってきます。企業のIT化はかなりのスピードで進んでいます。当然、それに対応する人づくりが追い付かない面があります。IT化は「利用する側」の利便性という側面で語られがちですが、作る側がいなければシステム自体が存在しないことに。一定時間はかかるでしょうが、デジタル責任者の育成は急務といえますね。

デジタル化は目的ではない

そしてこの記事ではさらに大切なことが述べられています。
それは「デジタル化の目的」。
RPAを組む環境ができ、システム構築を行う人材もいる。これで企業収益も上がる、万歳‥となるはずがありません。

人手がかかる部分をデジタル化できただけですから、会社の労働効率が上がったというだけの話。
ここから「何をするか」が企業の目標。

デジタル化は、企業としてスタートラインに立つための前提条件に過ぎません。
各種雑務に追われていては、本業にさく労働力が減ってしまう。また他社や他国のスピード感に追い付けない。そのためにRPAは導入されるのです。

スポーツで言えば、チームとして戦う状況が整ったというだけの話。
しかし、RPA導入やIT化といった用語はそれ自体目的であるかのような錯覚を起こさせるようですね。
日本がGAFAのような企業を作り出せない原因にもなっています。

そもそも本家GAFAもインターネットのスピード化により、日々各種対応~防御、そして新しい何かを生み出す攻撃の2つの対応に迫られています。
こういった世界に対応していくには、機械に任せても大丈夫な雑務は機械に任せる。
アイディアを実現させるといった付加価値的な部分に労働力を向けることが大事になります。

しかし、現在の日本はワークライフバランスがブームのようになっていることもあり、RPAで浮いた時間がそのまま「休暇」と捉えられている部分もあります。
もちろん新しい何かを生むための「戦略的休暇」はとても大事。

家事をお掃除ロボットに任せる。これは便利だ。その浮いた時間で何を目標にして実行するのかが大事なのです。

幸いRPAシステム構築者は、まだ人材育成の途中。デジタル化というのは、あくまで前提条件であり、ここからがスタートであるという教育はまだ充分間に合います。
逆にいうと、システム開発ができる人間と、デジタル化した組織の中で何をしていくか?と絶えず考え、実行できる人間の両方を育てることは、今後の日本に欠かせない緊急課題ともいえます。

このテーマ、意外にお掃除ロボットにヒントがあるような気もしますね。
デジタル化についてという会議を行うよりは、お掃除ロボットを買って空いた時間に女性が何をしているか?の方に、デジタル化の先にするべきことのヒントが隠されているように思うのです。