日米のデータ比較で見るイノベーション

「イノベーション」を起こさねば、今のご時世、労働市場から取り残されてしまう。
関税撤廃が現実となった今、より企業は競争力を求められています。
しかしその反面、日本はイノベーションを起こしにくい国とも言われます。
その理由は総務省のデータ(引用記事)で見ることができます。
労働生産性は、OECD加盟35カ国中21位、これはG7各国の中では最下位。生産性の数値は米国の3分の2にとどまります。
労働生産性が低いと言われる理由は、まさにこの数字のことなのです。

では、よく言われる「労働生産性」とは何の数字なのか?
というと、付加価値を労働投入量で割ったもの。これを1人当たりの時給として計算したものが「労働生産性」。

付加価値を生み出しにくい国なので、労働生産性が低いと言われますが、そもそも「付加価値」それ自体を生み出す計算なのですから、割り算をしなくても
結果は明白。
だからと言って何でもいいから付加価値をということではない。

とはいえ、今の社会では賃金上昇の大きな要因が、付加価値部分であることは事実。
そのため、付加価値を生み出す土壌つくりはやはり大事だと言えます。
この部分が大きくならないため、基本給自体が上がらない、特に中小企業の賃金が上がらないと言える。
ただし、中小企業などは国の下支えが大きくなる部分もある。
その場合は、どちらかというと税収の問題になります。消費税のような税収方法より累進課税の方が、中小企業の後押しをする可能性は大きくなります。

税収問題は置いておくとして、では付加価値を生む条件は何か?
総務省は4つの条件を提示しています。
まず1つめ「プロダクト」自社にとって新しい製品を市場に投入すること
2「プロセス」生産工程や配送などの大幅な改善
3「組織」既存の組織とは異なる新しい組織つくり
4「マーケティング」これまでとは違う新しいマーケティング方法の開発

この4つの変化が起きる条件として、産業構造の改善があります。
ネット普及により、既存の枠だけで産業ができているわけではない。
垣根を超えて、仕事を生む土壌ができている。
しかし、それを活かしきれていないのが、労働生産性の低さという数字になっているようですね。

逆にこれらを活かした国が上位に来ている。
イノベーションを起こす産業構造のベースにあるものが、インターネットです。
このスピードに対応して物が決められていないというのが1つの原因である可能性は高い。
流行語にもなったGAFAはすべて米国企業ですね。こういった企業はイノベーションを生み出して登場した上に、現在進行形で、絶えず新しい対策を迫られています。
「フェイクニュース」という言葉はすっかりおなじみですが、GAFAという土台無くして成立しない文化。
こういった土台に乗るだけになってしまっているのが、現在の日本です。

ウォークマン文化の土台にあるもの

日本でのイノベーションの代名詞として、しばしば取り上げられるのが「ウォークマン」。
ウォークマン登場までは、イヤホンを挿して街を歩くという人は一部のラジオマニアだけでした。つまり普通でもなければ、決してカッコいいわけでもない。
むしろ逆。

しかし、ウォークマン登場で、イヤホンをしながら町を歩くことがカッコいいとされるようになった。結果的に今のスマホで音楽を聴く光景につながっています。

こういった文化や慣習を変えることこそ、イノベーション。
ではウォークマンという発想はそこまで新しいのか?
そもそも80年代の日本は、音楽が1つの大衆娯楽。ウォークマン登場以前には、若者が町中にラジカセが持ち出すことも当たり前に。

これを個人で持ち歩ければいいのでは、という考えのもと、登場したのがウォークマン。
先のイノベーションの定義で言えば、音楽を聴く文化と個室を重視する文化という全く別の次元の話が融合して生まれた商品なのです。

ですが、違う2つを組み合わせて、全く違うものを作るということを最初から狙っては、ただの機をてらった商品になりかねない。

ウォークマンは考えようによっては「外で音がうるさい」というラジカセの改善と考えることもできる。
「カイゼン」は今や日本語として定着したくらいに、日本のお家芸とされていますが、実際、総務省のデータを見ると、日本の場合米国に比べ「改善」に関する部分が非常に大きいのです。

米国の場合、建国のいきさつ自体がかなり特殊。
イノベーションの4つの要素のうち「プロダクト」と組織改革はやらなくては国自体が持たない国家です。
それに対し、日本は他国の文化を自国の文化を混ぜる「改善国家」なのです。

4つのうち3つが弱いので強化しようと考えること自体、横並びが好きな日本らしい発想とも言えますが、自国の強み「カイゼン」にもっと特化するという考え方も可能。
大掛かりな改善をしようと思えば、他の3つは自然についてくる。
改善を最大限に活かせる国をまず目指すという考え方が、日本という国には向いているのではないか。

少なくとも、地に足のつかない拙速な改革は、文化という大きな流れにはなりづらいように思えます。