「働き方改革」って何のこと?

「働き方改革」はどんな企業にとっても避けられない課題。
引用記事では、実際に上司に命令され、働き方改革を進める現場の声が載っています。

各部署、あらゆる努力を行い「やれることはやった」という結論になっている。
また課題になっているRPA導入については「各部署が責任を持って行わなくてはいけない。よって各部署のやる気次第ということになる。」
という段階。
「やれることはやった」というより、客観的に見ると「何も始まっていない状態」にも見えます。

この構図を学校に置き換えてみましょう。
各クラスや委員会で色々な提案をする。可能な限り、実行する。
多少、今までよりクラスの雰囲気がよくなる。しかし先生には「まだ足りない」と言われる。こんな状態ですね。

現場の人間は確かにやれることはやっています。それなりの達成感もある。
しかし、この方法だと「現場の方法を改革」することはできても、「そもそもクラスで全員そろって勉強するのは何のため?」という根本的な部分にメスは入りにくい。

外側の世界から見ると、そもそも「クラスで揃ってやる」ことのデメリットは結構あるのではないか?そこから見直してもいいのではないか?とも感じますね。

しかし、学校の生徒にしてみれば、とりあえず全員居心地がよくなることを優先する。
クラス内で議論した結果、メンバー全員が納得できる環境にある。
よそのクラスと情報共有もしているということになる。

しかし、上に立つ人間は、さらに大きな成果を求めています。
とはいえ、上に立つ人間も「目標」や「着地点」が見えているわけではない。
そのため「もっと大きな改革を」「イノベーションを」という掛け声だけで終わってしまうのです。

労働者にとって大事なことは、今いるメンバーでベストな仕事ができること。
自分たちにとって働きやすい環境を作ることです。
給与を減らしてまで、大掛かりなことはやらない。ましてや「部署解体」レベルの話になると、自身の雇用自体が危なくなるかもしれない。
そうして「自分たちに都合のよい環境を作る。」というレベルで話が終わってしまうのです。

RPAの話が行き止まりになるのは、組織というものがこういった構造であるた、め。
RPAをきちんと機能させようとすると、組織全体の改革が必要になります。
しかしRPAに任せる単調作業がどの程度あるのかなどの事情は、部署により異なる。
それぞれの部署で意見を言う。そしてそれぞれの権限と責任でやってほしいと言われたので、そうする。

全体像を見まわし、各部署の意見を取り入れ、動線を引く人間がいないため、このような末端の改革に終わってしまうのです。

RPAを導入することでトップダウンという視点を持つ

引用記事に出てくる「現場改革談義」は、一見意見交換をしているように見えますが、各部署の状況や愚痴を聞くことで終わっています。
「うちは自分たちでできることはやっている。」という確認で終わってしまっている。

こうなってしまう原因は「トップダウン」要素が少ないため。
トップダウンの意義は「全体を見渡す」ことにあります。

社長や役員という立場から、部署や各課を見る。
枝葉ではなく、幹のてっぺんからモノを見る視点が欠かせません。
1つの枝葉に固執するのではなく、木全体を見渡すことが必要なのです。

「そこの2つの課は似たような業務に見えるが」と言われれば、客観的な仕事のすり合わせができる。
「会社」と言う全体像を意識することで、初めて自分たちの部署の位置づけがわかるのです。
似たような業務をやっている部署の存在にも気づく。
横で情報共有をしっかり行い、無駄を省こうという意識になるのです。
また「こういうシステムではやりにくい」という意見も出てくる。

ボトムアップシステムを活かすには、まずトップダウンが欠かせないということ。つまり「全体を見渡すリーダー」がいてこその「働き方改革」なのです。

この引用記事に出てくるリーダーがあまり機能していないのは、現場を見ず「大掛かりな改革を」という言葉しかかけていないこと。
会社のトップが細かいことにまで口をツッコむ必要はありませんが、枝葉がどうついている木なのか?という視点は欠かせません。

そして、こういった視点なくしては、RPAの導入は「単純作業がちょっと楽になるシステム」で終わってしまいます。
各部署の必要性に応じて、作業内容を変えられるRPA。確かに各部署が責任を持つことは大事なこと。

しかし、RPAは個人のパソコンカスタムではなく、全体のシステム自体を組み立てることで、より大きな効果を発揮するものです。
「うちは、経費計算を任せている。これ以上できることはない」で終わってはいけない。
会社組織という木の枝葉に沿って、うまく動線を這わせることが大事。
そのため、各部署の意見を聞くことも大事ですが、動線自体を社員全員に理解してもらう必要があります。

RPAを導入して最大限に活かすことというテーマが、トップダウンをうまく活かすきっかけになるかもしれません。
いずれにしても「改革」とは、ある程度時間をかけ慣習自体を変えていくこと。
すぐに「終わりました」と言えるようなことではないのです。