移民の定義とは?

10月の政府所信表明演説で、安倍晋三首相は「世界から優秀な人材が集まる国づくり」を表明。
外国人労働者の受け入れに積極的な姿勢を示しました。

具体的には、すでに外国人労働者は「外国人技能実習制度」により受け入れが可能になっており、現在は「日本で労働技術を学ぶため」最大5年の実習が可能になっています。

つまり、外国人労働者とは、日本で働く人のことではなく「母国に貢献するため、日本で何かしらの就労技術」を学ぶために来日、労働現場で「実習」を行っている人たちのことなのですね。
とはいえ、近年コンビニなどで外国人労働者を多く見かけることが多くなったことからわかるように、事実上「日本の労働者」になっているケースが多く見られます。

さらに、この秋の国会で、労働実習は必要に応じてさらに5年の延長が可能とする案が提出される見込み。
これにより最大で10年の技能実習が可能。また「場合によっては、家族の帯同も認める」という案も提出される見込みです。「家族の帯同」とは簡単にいうと「家族を日本に呼び寄せ同居が可能」ということ。
原則として今まで同様不可の予定ですが、一部の専門職に限り認めるという方向になるようです。

早ければこの2つの法案は2019年4月から実施される見込み。
つまり平成最後の月から、家族と一緒に10年日本に住む「外国人技能実習生」が現れるということ。
一般的に、同じ場所に家族と一緒に10年住み続けている人は「住民」とみなされますね。
海外出身者の場合「移民」と同じではないか。

しかし、「外国人技能実習生」は「外国人労働者」であるという呼び方は変化していない。受け入れ幅が広がっても「移民」と呼ばれる気配はない。
外国籍である以上、移民とは呼ばないのか?というと、そんなことはありません。
国連の定義によれば「移民」とは「通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも12カ月間当該国に居住する人のこと」となっています。
つまり外国人技能実習生は、海外基準に照らし合わせると、元々「移民」といえる。
実際、海外では「労働移民」という表現が使われていたりします。
では日本の場合、なぜ移民と言わないのか。引用記事では、これを「印象操作」と位置付けています。

外国人に対する反感

元々、日本の場合、あまり幅広い民族がいない国家、肌や髪の色が違うだけで目立ってしまうような所があります。

「外国人」=よそ者という意識が強いんですね。
ここで「労働移民」という言葉を使ってしまうと、日本の労働現場を外国人が乗っ取っているかのように聞こえます。

また「移民」という言葉は、定住者、生活者としての権利を有するイメージが強い。
外国人労働者には、永住権はありません。選挙権もない。あくまでよそ者が「一時的に住んでいる」だけ。
そのため、日本に根を張って住んでいる人というより、「仮」のイメージが強い「外国人労働者」と呼ばれているのです。

しかし、現実には5年、また家族を呼んで10年住むとなれば、町内会などに属し、子供が日本の学校に入るケースも出てくる。
事実上「日本国内で生活する人」です。実際、マンションなどでは外国人のマナーが悪く、また習慣の違いから起きるトラブルが問題になってきていますね。
これでは「移民」と同じではないのか。

しかし政府が「移民政策」を認めると、日本人をないがしろにしているイメージができてしまう。そうでなくても最近、ネットなどでは外国人排斥意識が高くなっている。
しかし、少子高齢化の現在、労働者不足はどんどん進んでいく。外国人労働者を幅広く受け入れることで、労働現場には問題がない状態にしたい。
ゆえに冒頭の「所信表明演説」になるのですね。

しかし、このダブルスタンダードは、日本人、外国人双方にとっての不幸を呼びます。外国人にとっては、いつまでも差別を受けることになる。
日本人にとっては「身近に生活を共にする外国人はいない」ことになっている、しかし現実には、これからどんどん近所に外国人が増えることが予想される。

また店や病院など身近なサービス提供者が、外国人になることが予想される。
これまで以上に習慣によるトラブルが多くなる可能性がある。
しかし「移民がいない」前提の場合、対策が後手に回る。また差別意識も解消されない。

移住してきた外国人、元々日本に住む日本人双方に不利益が出てくるのです。
引用記事の筆者の矛先は、政府の他、マスコミにも向けられています。
ご都合主義な言葉を使い続けるのではなく、まず「移民受け入れが増える」ことをはっきり明記すべきではないかという主張。

意外に「移民」という言葉は定義自体が知られていません。また外国人の参政権など権利についても無知、無関心なケースが多い。これでは「移民」に好意的な人たちも、外国人への理解を深めることができない。
事実を直視しないと、本来解決できるはずのことが遠のくリスクもあるのです。