因果関係という勘違い

働き方改革という記事を読んでいる皆さんの中には、中高年世代の方もいますね。
記事を読みながら「言わんとすることはわかるが、終わった世代だし、もうどうにもならない。」という気分の方もいるのでは。

しかし、人生100年時代は想像以上に早いスピードで来てしまいました。
ということは、人生後半に向け、少なくとも生き甲斐のある人生を見つけておかなくてはいけない。
また長生きするには、健康でなくてはいけない。また配偶者がいるケースでも、どちらかが先に亡くなり、その後長生きする可能性もある。
介護&おひとり様という可能性も入れて、人生を考えなくてはいけない。

そんな時に、邪魔になるのが「もう終わった自分」という発想です。
そもそも、この「もう」ということ自体、勘違いである可能性もある。
どういうことなのか、考えてみましょう。

「もう年だから」という場合は、「手遅れ」というニュアンスが強い。
その前提になっているのは、「何もしていないから、もう手遅れ」ということですね。
「何もしていない」という前提から、「手遅れ」という結果が導き出されます。
これを因果関係という。原因が結果をもたらすということ。

しかし、この因果関係の認識は、往々にして間違っていることが多いのです。
よく勘違いされるケースは、引用記事に出てくる「検診を受けている人は、長生きする。」というもの。
また「猫が顔を洗うと雨が降る」という話もありますね。

よく考えてみればわかりますが、検診そのものに「長寿」の効果はありません。
「長生きしている人は、検診を受け、健康に気を付けている」という方が、おそらく正しい。

猫の場合はさらにわかりやすい。猫が顔を洗うと雨が降ると言われるのは、ひげで湿度を感知するためと言われています。
つまり、雨が降る予兆として猫は顔を洗っている。決して猫のせいで雨が降っているわけではありません。猫に雨を呼ぶ力はないのです。(多分)

こういったケースは因果関係ではなく、相関関係と呼ばれています。
2つの出来事の間には関連性があるということですね。

もちろんまったくの偶然というケースも考えられます。
引用記事には、インターネットの普及と地球温暖化の相関関係が述べられていますが、これは双方の時代が同じだっただけと考える方が自然。

もちろん、インターネットの普及で工業がより発達して、温暖化が進むという可能性もあります。

しかし、電気自動車を考えてみましょう。
排気ガスを出さず、温暖化を食い止める効果があるため、電気自動車が普及してきたという現象が起きています。
電力化は、温暖化を抑えるためともいえる。

またそれ以前に、地球温暖化現象自体、賛否両論の意見が出ています。
むしろ寒暖化に向かっているという説もありますね。
このように見て行くと「因果関係」と言い切れる現象は、現実に感じるより、はるかに少ないと言えます。

それにもかかわらず、相関関係をほじくり、因果関係に結び付け、何かを諦めるということは多々ありがち。
そもそも、今の私たちには未来しか残されていません。
「これから何をするべきか」でしか、先の人生は変えようがないのです。

ビッグデータの危険性

この因果関係の話、個人レベルでも問題が起きますが、ビッグデータが有効活用されていくであろう今後、より大事になっていきます。
近年ネットの発達のおかげで、データを取りやすくなってきました。

そのため、相関関係の発見がどんどん増えていきます。
しかし、その反面先の事例のように、相関関係と因果関係を混同する現象も増えていく。

情報化社会において、非常に危険な現象とも言える。
というのは、相関関係を安易に因果関係にしてしまうと、すべてのことが「原因」となる。
先の事例でいえば、「猫が顔を洗わない」ようにすれば、雨は降らないとなってしまう。

多くの事件で原因追求が行われ、謝罪会見も増えて来た近年、そもそもなぜテレビで謝罪をしているのかと感じる事例も少なくはない。
また政治家の場合、辞任というケースも多いですが、原因は特定の政治家にあるのか。また辞任という解決策で何がプラスになるのかというケースもある。

問題は、起きた事件それ自体にあります。再発防止検証は非常に大事なことですが、原因追求だけを行い、特定の項目を排除すれば事が片付くわけではない。
多くの現象は複合要因であることが多い。

企業内でも色々なミスが起きますが、そもそも人間はミスをするのです。
その原因を探るよりは、ミスが起きることを前提してリスク管理を行う方が賢明です。
過去をほじくるのではなく、未来を変える。ビッグデータは、それでこそ意味があるのです。

人生100年時代を生き抜く方法も同じです。因果関係を見つけ出す暇があるのなら、楽しめることを探す。またしっかり休むなど、今からできる有効な作戦を実行する方が効果的。
「下手な考え、休むににたり」ということわざがありますが、因果関係を追及するより、実践せよという意味なのかもしれません。
こういったことわざの因果関係を探るのも、あまり意味のない行動かもしれませんが。