障がい者という名の人はいない

働き方改革に伴い進みそうなのが、障がい者雇用。
しかし、改革直前に旗振り役の官公庁が、障がい者雇用の数を水増ししていたことが発覚。
改めて採用試験が行われましたが、どこか取ってつけの感じが否めない。
この「取ってつけ感」がどこから来るのか、引用記事を読めばその理由がわかります。

引用記事には、障がい者雇用を積極的に進める「リゾートトラスト」という会社が登場。障害の幅や雇用形態、付いている業種の幅の広さも、リゾートトラスト社の大きな特徴です。

当然、同社には多くの視察が訪れ「障がい者雇用をする上でのコツ」
具体的には「マッチング方法」などを尋ねる会社もあるよう。
そういったコツがあるのか?

まず、この話を障がい者ではなく「健常者の雇用」に置き換えてみましょう。
どうすれば、マッチングがうまくいくのか。各企業が新卒採用の際に最も悩むところですね。
とりあえず、本人の意思や特性を確認する。そのうえで採用。
あとは、各企業が「戦力」になるよう社員を育てていかなくてはいけません。

障がい者であっても、こういった事情はまったく同じ。
障がい者の場合「山田さんは自閉症タイプ」など、まずカテゴリーで理解されがちです。

しかし、健常者の場合はどうでしょう。「山田くんはどちらかというと、内向的なタイプだな。」と、まず人物像が先に浮かぶことが多いでしょう。
その上で、内向的なタイプを集め、同じ方向性の指導をしたらどうだろうと考える。
障がい者の場合もまったく同じ。まず本人ありき、その後にその人の障がい特性ありきなのです。
ただし、この特性を把握するのが、やや難しいのが「障がい」。
誰かに対して「内向的」という判断はしやすいですが、引用記事には「体温調整のできない知的障がい者」が登場します。
そのため、いつも厚着でいる。しかし本人が把握していないだけで、高温時に厚着をしていれば、当然体調を崩す可能性が出てくる。
そこまでいかなくとも、体感温度が不快になり、仕事の効率が落ちてしまうことが考えられます。

こういった特性は、多くの人間には前提されていない。
そのため「いつも厚着をしている。」理由を理解されず、見逃されてしまうこともある。
一般的に耳にする障がい名として「視覚障害」「聴覚障害」があります。いずれも程度の差はさておき、障がいの方向がどういったものかは推測できる。
しかし、実際にそういった人をどうすればサポートできるのかとなると、また別の話。

障がいと呼ばれる特性に気づきにくく、理解しづらい。
気づいたとしてフォロー方法がよくわからない、この2点において障がい者雇用のハードルは、一般の人を雇用するより高くなるといえる。

そのため、個人個人に向き合い指導する、というマンツーマン作業が重要になってきます。
しかし、こういった作業は障がい者だけに必要なのかというと、そうでもない。

変わった性格である、大勢の前では素を出せないなどの理由で、マンツーマン指導が効果的な人材は「健常者」と呼ばれる人にも多く存在します。
つまり、障がい者雇用に必要なこととは、健常者社員指導に必要なことでもある。

ただし「個人の持つ特性の理解とその解決」はできるだけ、丁寧に行わなくてはいけない。人材育成とは、時間がかかるもの。障がい者の場合「個性が強すぎる」からこそ、余計に時間がかかると思っておくとよいでしょう。
そのかわり「強すぎる個性」は、誰にもまねできない強みに代わる可能性も大きい。

障がい者雇用は福祉ではありません。障がい者の能力をいかに引き出し、社に貢献してもらうかが1番大事なこと。
そのためには、時間をかけて個人を理解し、人材育成をする。そういった経験を各企業が積んでいくしかないのです。

問われる障がい者の姿勢

したがって障がい者として就職するときに必要なのは、「特性を理解してもらう」こと。
精神障害などの場合、波がある、またはある程度復調してきた時期に就職するケースが多い。すると、本人申告も「昔はダウンしがちでしたが、今は大丈夫です。」というアバウトなものになりがち。
どの程度の負荷をかけると、どういった症状が出るのか?を、客観的に説明できるようにしておくことが大切です。

また、実際に就業してみないと、わからないこともある。その点は「わからないこと」として、雇用先に理解してもらうことも大事。

障がい者というと、現在は知的障がい、身体障がい者を連想しがち。
しかしハンデを持つという意味では、育児中の女性や高齢者、外国人労働者でも同じこと。
「女性=家庭的」「外国人=言葉と文化の壁」というカテゴリーから入るのではなく、やはり個人としてまず特性を把握する。そのうえで必要な指導やサポートを行い、会社に利益を還元してもらう。

結局のところ、会社というのは、まったくバラバラな個人の集合体。
相手を理解する、そしてどのようにすればより高い目標達成ができるのかを考える。そのために足りない部分を補い合う。
色々な人が集まりチームプレーを行うという意味では、健常者も障がい者にも違いはないのです。