働き方改革に伴い、長時間労働は減りつつありますが、一方でサービス業界の働き方は、一向に改善されていないようです。
個人個人の生き方が尊重されるようになった今、消費の仕方も千差万別。
それに伴い、ネット通販や24時間営業も当たり前に。当然それに対応する人材が必要になる。

長時間労働だけでも大変だが、運送業の場合は再配達、サービス業の場合は、各種クレーム対応など、ニーズが増えたおかげで、働き方改革に逆行せざるを得ない状況に陥りがちなのが、こういった職種です。

とくにコンビニの場合は、過重労働が行き過ぎるとして、最近24時間営業の是非が問われ始めています。
そんな中、社を上げて元日休業を実施したのが、コンビニ大手のローソン。

全店舗での実施ではなく、ビジネス街など元日に休業しても差し支えがない店舗での、試験休業といったところ。
この結果を踏まえて、今後はすべての店舗で24時間営業や年中無休といった営業ではなくなる可能性も出てきます。

ローソンがこういった実験に踏み切った背景には、ダイバーシティーの促進といった社の体質が影響しているようです。

働く人は、利用する人

ローソンでは、女性社員の登用や障がい者、外国人の雇用が進められています。
また男性の育児休暇取得も推進中。「イクメン」による活動も行われています。

こういったことが実施できるのは、年に1度、社員の意識調査を行う機会があるから。この意見をもとに働きやすい環境を整備していくというシステムになっているのです。

コンビニの場合、労働時間が長く、業務もきついものになりがち。
そういった中で従業員を確保していくには、より働きやすい環境を作っていくことが必要になってきます。

そしてローソンの場合は、それだけではありません。

ローソンのキャッチフレーズに「マチのほっとステーション」というものがあります。
コンビニの存在理由の1つは、安心感。夜間など開いているだけで防犯上安全ということもあります。
ただ、それだけでは人間付きの自販機と変わりはない。

「ほっとする」場所にするためには、優しい店員、欲しかった品があるといったことが挙げられる。
そして長時間労働では、どちらも欠けてしまう可能性があります。
殺伐とした店員、欲しいものもなく、そもそも品揃えが悪い、どことなく感じの悪いお店では、お客は寄り付かなくなります。
同じように開いているのなら、やはり行って楽しいお店に寄る。

そして、そういったお店を作るために、必要なことが「従業員の余裕」と「いろいろな声」なのです。

コンビニのように身近なお店の場合、従業員も休みのときにはコンビニを利用します。
その時にお客として気づくことがある。

コンビニのお客は、女性、高齢者、外国人などなど、さまざまな属性の人がやってきます。

女性から見て欲しい商品が売られていない、また逆にアダルトグッズがあり不愉快といった声もあるかもしれない。
高齢者や外国人も同様です。また品だけでなく、サービスがわかりにくい、言葉がわからないといった声も出てくるでしょう。

こういった声は当事者でなくては、わからないことが多いもの。
そして、そういったことに気づき、改善することで、長時間労働をしなくても、業績を上げられる可能性も出てくる。
「ローソンなら間違いない。」と思ってもらえれば、夜間営業や過重労働をする必要はなく、本当にお客様が望んでいることだけをすればいいこと。
かつては、ただあればよかった24時間営業店舗のコンビニですが、その質が問われ始めているのです。

地域貢献で企業に愛着を

さらに、ローソンのようなコンビニチェーンは、地方にとっては「地元のお店」ではない。愛着を持ちづらいというデメリットがあります。

しかし、多様な人材を雇い、地域の声を拾う。
そして「イクメンの活動」のように、地域に役立つ、むしろ率先してイベントなどを立ち上げ、その地域を活性化させる活動を行う。
すると、地域の人にとって、ローソンは「愛すべきお店」になります。
ただ人が来るだけでなく、皆で作り上げるお店が出来ていく。

そして地域が明るくなり、住民も増えていく。高齢者においても店舗に通えるような健康寿命の長い高齢者が増えていく。こういった好循環ができていくのです。

地域に愛されるお店というのは、その街を作っていく役割を果たすのですね。
今、日本では古くからやっていたお店がなくなりつつある。それと同時に地域の絆が薄くなりつつもあります。

しかし、ローソンのように、資本が豊かな企業がこういった役割を担ったらどうか。
チェーン店というと、「東京の価値観の押しつけ」や「全国画一化」というイメージがありますが、もはやそういった時代は過ぎたのではないか。
全国展開できるという強みを活かして、その土地ならではの店舗を住民と一緒になって作っていく。
そうすることで、画一化により起きていた過重労働も減らすことができる。
サービス業の過重労働を減らすには「多様性」も大きなキーワードになるのです。