「大国」の優位性が低くなるグローバル社会

平成という時代に経済大国の座を失った日本、しかし「夢よもう1度」と言わんばかりに、経済大国復活に向け、必死になっているようにも見えます。
そのため、五輪のような華やかなイベントを誘致する。

しかし、引用記事を読むと「富裕国」と言われるルクセンブルグには、高級マンションも外車もないよう。
それどころか、交通アクセスも悪く、格安航空すら飛んでいない。
日本でいえば、発展の遅れた田舎町といった趣です。
しかし、そんなルクセンブルグの国民1人当たりのCDPは日本の2,6倍。
日本より、はるかにリッチな国なのです。

いったい、どういうからくりになっているのか?
そして、なぜそれだけ裕福な国なのに、見た目には「貧相」とも言える状態なのか?
この2つの理由を見て行くと、日本の未来も捨てたものではないことが、わかってきます。

まずルクセンブルグの資金力は、どこから来るのか?
実はルクセンブルグは、世界でも有数の金融大国。世界各国のお金が流れ込んでくる国なのです。似たようなイメージの国としてスイスが挙げられますね。
スイスと違い、自国通貨がユーロであるため、よりルクセンブルグは有利なのです。

では、それだけ裕福な国になぜ「高級」と名が付くものがないのか。
逆を想像してみましょう。ルクセンブルグの資本である金融関係者は国民の1割。つまり圧倒的少数派。
この1部の富裕層が、リッチなマンションに住んだとする。ここから社会秩序が崩壊していく。
いわゆる格差社会はこうして始まっていくのです。

一部の稼ぐ人をうらやみ、目先の利益を求める。そうなれない人たちを「自己責任」という言葉のもとにたたき落とす。
生活保護バッシングや、外国人差別などが盛んな現在の日本の姿です。
富は一部の人間が所有したままで、お金は回らない。
社会に不満がたまり、治安が悪化。治安維持にお金がかかるようになります。そして最悪テロのようなことが起きてしまう。
そういった国に、他国の人間は近寄ろうとしません。外資が入らなくなってしまう。
どんどん悪循環を呼んでいく。大国と呼ばれる国には、こうした状況の国も珍しくありません。

ルクセンブルグは、そういった事情を踏まえ、格差を極力なくし、まず社会秩序の維持に努める。
実はルクセンブルグは、人口の半数近くが移民、彼らと金融関係者の間に差別が生まれないよう、教育や宗教面の配慮が行き届いている国なのです。

元々世界の金融を預かる以上、それ自体に国防効果がある。そのうえで平和が担保されれば、国家としての信頼はさらに上がる。観光客の増加も見込めます。
ルクセンブルグに「高級」なものがないのは、社会秩序を維持しようとする努力の賜物なのです。

大国を維持する資金

引用記事には「植民地の所有には意味がない」と書かれています。
広い国土を持ったところで、それを維持するお金がかかります。住民の面倒も見なくてはいけない。
それよりは、住民は少ないが、お金が流入する状態を維持しておいた方がよい。

特に現在のようなネット社会になると、よけいに「国境の壁」は越えやすくなる。
ルクセンブルグの住民でなくても、ルクセンブルグにお金を支払いやすい状況ができます。
つまり、住んでもらう必要すらないとも言える。
とはいえ集団を維持するには最低限のマンパワーが必要になるため、一定の人口数は必要ですが。

ここで我が国、日本を考えてみましょう。格差社会が進むとはいえ、他民族他宗教とも言えない国家、治安の良さはトップクラスです。
そしてルクセンブルグのように、国土は狭く周囲を他の国々に囲まれている。

つまり格差を無くし、他国との協調を図ること。そして「金融」のようなキラーコンテンツを持てば、理論上ルクセンブルグと同じような国家ができることになります。
大事なのは格差解消と、キラーコンテンツの開発なのですね。

またコンテンツとは「箱物」ではない。「ハコ」を作ろうとすると、都市部と地方の格差を生むことにもなる。現代社会において大事なのは「ハード」ではなく「ソフト」なのです。
そして、そのソフトのような存在が、地方都市。日本の地方都市は治安もよい。いろいろな風習も残っている。
日本の場合、金融ではなく「地方都市」という存在それ自体がキラーコンテンツになる可能性があるのです。

最近では、その都市に住むのではなく、一時居住という形で地方都市に貢献する形も見られますね。
移動することで、お金が動く。マンパワーも発揮できる。日本の場合、さほど国土が広くなく、移動も便利。
企業や地方においても足の引っ張り合いをするのではなく、「あそこもよいが、ここもよい」。
そんな考え方が、日本経済を復活させるきっかけになるかもしれません。

実際、最近流行っているのが、地方の自虐化。ダサいゆるキャラから「飛んで埼玉」まで、いろいろなローカルヒットが増えてきています。
そしてこれらに共通するのが、他の自治体への愛情。他の自治体のよさがあるからこそ、地方ネタは光る。
差別ではなく「違いを楽しむこと」。これが日本経済衰退脱却のキーワードになりそうです。