デジタル技術がお金を生むわけではない
仕事の効率をアップさせようと思うが、IT整備ができない。
そのため、エンジニアを雇ったがどうにも使えない。またITエンジニアがいる方がよいとわかっていても、人材確保ができない。
デジタル化に伴い、ITエンジニア不足が目立ち始めていますが、そもそもITエンジニアとはどんな仕事なのか?
何を求められているのか?意外に、この部分が漠然としていることが多いようです。
まずIT技術者というと、プログラマーをイメージしますが、現在ではオープンソースも多く、形になっていることも多い。
引用記事にはプログラムより、むしろ「データ」という対談が載っています。
デジタルで何かを処理するとした場合、処理方法それ自体の問題より、その下地になる材料が必要。
RPAに経費精算を任せている会社も多いですが、この処理が可能なのは、交通費の領収書というデータを元に、計算方法を覚えているから。
そして飛行機運賃や早割などの、各種項目を覚えているからですね。
飛行機運賃に早割がある。路線によっては会社が複数乗り入れている。
こういったことを教えないと、当然間違った計算をしてしまいます。
何かを判断する際に、大事なことは経験値。
人間と変わらないように聞こえますが、デジタル技術は頭脳の一部をデジタルに任せる方法。
基本となる部分は、当然「人間の頭脳」なのです。
現在、思考回路というシステムはどんどん進みつつある。
しかし経験値だけは人が教えなくてはいけない。その重要性が記事では説かれています。
また現在、日本で必要とされるデジタル技術は「ルーティンワーク」。
人間でなくてもやれるハードワークをデジタルが行うことが多い。
簡単に時短にできる部分ですが、これだけでは経費削減になってもプラスαの利益を生むはずはない。
「ITエンジニアさえいれば」という幻想
しかしルーティンワークを任せることによって、会社の業績がグンと上がるという勘違いをしている企業もまだまだ多いよう。
頭脳労働部分の一部をRPAなどに任せれば、経費はカットできますが、当然どこかで行き止まりになります。
新しい考えや技術で利益を上げることは、また別の問題。
またコストカット部分だけをエンジニアに任せるとなると、そういった技術を持つ人材しか育たない。
IRエンジニアの人材不足は、教育機関の不足もありますが、仕事自体がハードであるといった理由で敬遠されることもあります。
この場合、処理量だけがやたらに多く、いわゆる下請け的な仕事ばかりになってしまう。
デジタル技術に対する意識の低さが、人材不足を招いているとも言えそう。
対談ではハウツー本などで、IT改革の成功事例を読み、同じようにやってみようとする企業が多い話も出てきます。
しかし、元々持ち合わせている素材(人材やデータ)が違う。
そのまま適用できるはずはありません。
では適切なITエンジニアを招く方法、またデジタル化する方法はどうしたらいいのか?人を採用することを考えてみればよいのです。
どんな技術者にも大事な国語能力
そもそもプログラムを組むうえでも、国語の能力は欠かせません。
コーディングというのは、プログラミングで書かれた言語で機械に指示を出すこと。
プログラム自体、誰でも使いやすいように組む必要がありますし、コーディングも同じこと。
エンジニアの場合、各企業の現場の意向を組んで、デジタル機器に命令をする仕事。
人間の言語や意向を理解し、デジタルに置き換えるという翻訳作業と言ってもいいでしょう。
まず、人間の意図することを理解しなくてはいけない。必要であれば、その状況に応じて相手の情報や能力を聞き出すことも大事。
それをデジタルに教えるという方法も、センスが要求されます。デジタルへの優しさもありますが、それを使うのはその現場の人間。
扱いやすいようにしておくことも、エンジニアの仕事です。
次に先に述べたような思考回路とデータという発想があるかどうか。
町の商店街などに、名物商人がいたりすることもありますが、そういった人の場合、顧客の情報をかなり細かく覚えていることが多いもの。
家族構成や最近の出来事、また当然購入履歴などもありますね。
購入履歴の把握はもはやユーザー側には当たり前。
現在のデジタル業界は、まだ「お客のニーズに応える」対応がメインですが、本来のビジネスというのは「新しい文化を提案する」という側面も持ちます。
お客様を理解して、フィットしたサービスを提供するのはもちろん、さらにオプションを付けられるかどうかが大事になります。
つまり、ITエンジニアやデジタル化に必要なのは、ITの基礎知識ももちろんですが、「会社の利益を上げるためには」という目標を明確に持つことなのです。
ともすればコストカットや専門用語ばかりがイメージされるITですが、ビジネスというのは、人にサービスを提供して利益を上げること。
そのためのデジタル化という原点を意識しておくことが大切なのです。