スタート偏重主義を改めよう

変わりゆく時代、企業が求める人材も変化していきます。
そのため、就活事情もいろいろなところで話題になっていますね。

そんな折「NHK就活生応援キャンペーン」という番組が、先日放送されました。
この番組には、さまざまな企業の人事担当者が登場。
タレントを相手に面接を実施してみるなど、コメディー仕立て。

最近の就活では思わぬところから、質問が飛んでくることも多い。
どういった意図で質問を出しているのか、またどんな点を評価しているのかなどを見て行く番組です。
楽しく就活の傾向や企業が必要としている人材がわかる番組です。

しかし、引用記事には、この番組への違和感が書かれています。
就活はそこまで大事なのか。

就活に共通する考え方として、大学入試改革があります。
英語の4能力強化から、脱学力偏重主義など、いろいろな話が飛び交い、教育現場は混乱している様子。

しかし、ふと思う。そんなに「入口つくり」に力を入れなくてはいけないものなのか。
どんな人材を選んだとしても、その人材が「ここで頑張ろう」と言わない限りは意味がない。
大事なのは、大学なり企業なりに入った人間に、その能力を発揮してもらうこと。

この番組では「入社後3年で大卒者の3割が離職している」という話も出たよう。また就職は25歳までが勝負とも言われたようです。

確かにミスマッチは少ない方がよい。また若いうちに、いろいろなことを経験しておいた方がよい。若い年齢層の人材は企業の戦力になる。
これらの意見は概ね納得できますね。

では逆を考えてみましょう。人材のミスマッチが起きた場合、どうにもならない事態を招くのか。
若い時にいろいろな経験をできないと、残念な人生になるのか。そして中高年層は戦力にならないのか。
答えはどれも「ノー」ですね。

企業から見れば、確かに大卒新入社員というのは、よく見極めて人材を選択したいもの。
しかし、労働者にとっては、その視点がすべてではないということです。

就活事情というのは、かなり企業側のモノの見方なのです。
引用記事では「合わない会社は転職すればよい」と書かれています。
確かにそのとおり。ある会社に入り、しばらく辛抱して何かをやってみることは大事。とはいえ、それでも合わないと感じたら、転職するのも1つの選択なのです。

1つのことを成し遂げるのは、確かに評価されるべきこと。
しかし、逆の形が評価に値しないということではありません。
大学入試も同じ。合格者を祝うことは構わない。しかし不合格者が不幸なのかというと、そうとは限りません。
たまたま、その大学にマッチしていなかっただけかもしれません。
世間には、第2志望どころか、進学希望だったがかなわなかったというケースもある。
そういった人たちの人生が不幸なのかというと、そうではない。
むしろ、そういった環境で何を行うかを考え、大きな事を成し遂げた人たちも多くいます。

環境に適応するだけでは意味がない

こういった人たちは「偉人伝」によく登場しますね。ハンデを乗り越え、成功しましたというパターンです。
こういった人たちの特徴は何かというと、労働現場や人生において「プレイヤー」であったこと。主体的に生きてきたということ。

企業において、多くの労働者とは「ワーカー」です。
ワーカーとは、自らの力で会社に利益を還元する人たちのこと。そのため、社員同士がぶつかることもあれば、上司と社員の価値観が相入れないこともある。
それをどう会社の利益という形に持って行くかが、上司の役目ともいえる。
上司を超えるような主体性を発揮し、能力を還元するのが「プレイヤー」。

しかし現在、日本の労働者は「レイバーになっている」と引用記事には書かれています。
レイバーとは何かというと、命令に忠実に労役をこなす者という意味。ロボットに近い存在です。
現在、AIにとって代わられる仕事というテーマが多く見られますが、労働者をレイバーとみなしているケースが多い。

労働者がレイバーでは、会社の効率はアップするかもしれないが、業績アップには限界があります。
そして就活に重きを置きすぎると、労働者がレイバーになる可能性が高くなります。「選ばれし者」は、悪い意味でその場所の期待に応えようとしがち。
そして心身を壊すこともある。そういった人間は捨てられ、また新たな労働者が雇われる。

「新卒」「就活」に力を入れ過ぎる結果、人材の使い捨てという現象が起きてしまうのです。
大事なことは、入社後の育成。そして会社への帰属意識を持ってもらうこと。
健康トラブルなどがあっても、会社に帰る場所があるとする。
そうすれば、社員の健康トラブルは、大きなチャンスに変わる可能性も出てきます。

本来、雇用側と労働者は対等な関係。使い捨てにされること自体がおかしい。
「就活」という用語自体、企業からの視点に偏っていることが多い。
「採用していただく」のではなく「採用する」「入社する」。
これが本来のあり方。入試も同じです。

自分の人生の不幸を環境のせいにする人がいますね。その考えは「おかれた環境を変えられない」という価値観から来るのではないか。
環境も自分の考え方も変えようと思えば、いつでも変えられる。
そういった価値観の定着を、新時代には期待しましょう。