イクメンという言葉がすっかり当たり前になってきた半面、「形ばかりのイクメン」も問題になり始めている昨今。
そもそも男性が育児をすることは当たり前で、名称を付ける必要はないという意見もあります。

しかし、こういった議論があること自体、どこか育児が他人事になっている感も否めない。
最近目立つ児童虐待などは親や役所の責任が問われることが多いですが、そもそも子供というのは、社会の宝。
確かに親は子供に対して責任を負う必要がありますが、社会人である以上、育児の責務をすべての子供に対して負っているともいえます。

こういった感覚が欠落するのは、身近に子供がおらず、子育てに関わらないからというのが理由の1つ。
未来の経済や社会保障は、今の子供たちが背負うと言われても、育児が他人事化してしまいがちな現代ですが、企業ぐるみで育児を行っている会社もあります。
それがクラウド会計ソフトサービスを行うfreee。

freeeは、働き方改革に役立つシステムを提供することで知られていますが、社内にも、働き方改革の手本になるような空気があるようです。

企業の作業が円滑に進むようなシステム開発を行うfreeeでは、元々エンジニアをサポートする環境が整っていました。
その延長として、育児をしている社員をサポートするといった風潮もあり、育児により休みを取る社員の労働を分担するといったことが日常的に行われていました。

どうせなら、こういった方法をきちんと組織化、システム化しようということで、作られたのが「つばめっ子クラブ」という子育て支援プランです。

つばめっ子クラブでは、社内SNSで情報共有が行われており、育児の悩みからモノの譲り合いまで、いろいろなやり取りが行われています。
また家族同士の付き合いはもちろん、さまざまなイベントも登場。

そのほか、出産一時金にお祝いの品が出る、また企業としての資金バックアップ、
育児においても、ベビーシッターの助成金や、自宅外勤務ができる制度など、かなり多くの手厚い育児制度が整っているのです。

こういった環境を整えれば、新しく入ってくる社員は、結婚出産を考えやすい。
むしろ前のめりに、子供を持ちたいと考えたくなるような環境ができているのです。

freeeのこういった制度は、トップダウンでできたものではなく、社員同士の助け合いの延長で出来ているというのが大きな特徴。
同じ仲間のサポート方法を考えていくうちに、子供がらみのイベントが増えていき、当たり前になったということです。
つまりfreeeという「社会」においては、子供が身近にいる文化が当たり前なのですね。

自分たちの愛する会社だから

freeeが持つ大きな特徴の1つに「社内用語」があります。
これはいわゆる「仲間内用語」、つまりfreee社員でしかわからない言葉です。
秘密保持といった理由ではなく、親密度を増すための方法。

ただし、独自用語を使うことにより、感覚のずれをなくすという意味はあります。
ビジネス用語、特にIT用語は定義が分かりにくいものも多い。
また社会人が使う言葉というのは「忖度」という単語からもわかるように、いろいろな意味が含まれていることが多い。

忖度を双方が納得している場合はよいのですが、忖度して伝えてことが全く伝わっていない、違う意味になっているということになると、業務上のロスが生じる、ミスが出るといった損失につながってしまいます。

共通語をあえて使うことで、こういった行き違いをなくすことができる。
そして親密度を増すことができるというメリットがあります。

この方法、方言を使う地域社会などに置き換えると、比較的わかりやすくなります。
方言には、標準語に訳しづらいニュアンスのモノも多い。
またその場所ならではの、気候や風土を表した表現もあります。その地域、部落で連携が取れればそれでよい。むしろ細かい行き違いが無くなるメリットがあります。

つまりfreeeという会社は、元々小さな部落といった趣がある企業なのですね。
したがって自分たちの生活ベースに、子供が誕生したときに、どうすれば子供が健やかに成長するかを考える。自分たちも楽しめるのかを考える。
その結果「つばめっ子クラブ」というものができているということ。

企業というのは、収益を上げなくてはいけませんから、単純に地域社会と同列の比較はできない。
とはいえ、チームや集団という意味では、同じです。

少なくとも、地域がうまくまとまっていないと、全員が喜ぶような集落はできない。不和からヒビが入っていき、外に引っ越す人間が出てくる。
愛着を持てない集団から、人は離れていきます。

逆に「この地域が好きだ」と思えれば、自分が役に立つ方法を考える。
企業の場合は、業績アップ方法を考えるようになるということ。
業績をアップさせようと思えば、仲間の置かれた状況を考えるようにもなる。
また育児や病気、介護といった問題は他人事ではありません。サポート体制を作っておくことで、自分自身の安心にもつながる。

こういった集団を愛する心があるからこそ、freeeでは他社をサポートする方法を考える心が養われるのかもしれません。