すべての労働者が働きやすくなるように。働き方改革にはそんなイメージがあります。
では、労働者が働きやすくなる目的は何か。目的の1つは企業収益を上げるため。

日本はいうまでもなく資本主義社会の国家。
働いて得た利益を労働者や会社に還元する、そのお金で企業を大きくする。
つまり企業とは「儲けがすべて」といっても過言ではありません。

もちろん、人間は労働者という役割ばかりを担うわけではない。
人権を持つ人間が働くのですから、健康を害する過重労働などを行うのは人権侵害と言える。

それさえきちんと守られれば、労働者としての義務を果たす責任があるともいえます。また管理職や経営者は、健全な企業運営を行い、労働者に対する責任を負う。
日本における企業とは、そうした存在です。

時代が変われば、働き方も変わる

そういった「企業」の定義に立ち返り、働き方改革を実施しているのが、カルビー株式会社。
お菓子メーカーとして有名なカルビーですが、多様な働き方促進を含め、かなり早くから働き方改革に取り組んできました。

それは単純に、世の中の流れについていかなくては、企業が生き残れないから。

現在の日本企業には、まだまだ昭和的な働き方が残っています。
新卒を一括採用して、在職年数に応じて給与を上げていく。
労働時間は9時から17時、そして残業は当たり前。一定年齢が来たら退職金をもらい、退職するという方法ですね。

このやり方は、高度経済成長期のように、大量の人材が必要とされた時期には、有効な方法でした。
一律に一定年齢の人材を確保できるからです。退職金という制度があるおかげで、上の世代が残ることもない。
絶えず、20代から50代までの人材が企業にいることになる。
また購買層もこういった世代の大黒柱と呼ばれる男性とその配偶者や子供たち、こういったロールモデルの家族がお菓子を買うことになる。

しかし、現在では、まずこういった家族像自体が崩壊しつつある。
性別や国籍、ライフスタイルなどが、どんどん多様化しつつある。
同じようなお菓子を作り続けていても、売れるとは限らない。
少なくとも、昭和時代のように、一定レベルのお菓子を市場に大量供給すればいい時代ではない。

世間に受ける商品を作るためには、まず時代にあった会社を作らなくてはいけない。
そのため、労働形態を多様化していったということなのです。

今の時代にあった労働形態を考えると、昭和時代のような働き方では企業収益は上がらないというシンプルな考え方に基づいた変革なのです。

成果を出すのが企業

カルビーの働き方は、わかりやすい成果主義。
目標設定を行い、数値化する。その結果が出なければ降格もあり得るという労働形態です。

もちろん、こういった理念を会社に浸透させるための指導力も必要になります。
一見するととても厳しい方法、しかし成果主義といいますが、資本主義社会である以上、会社は成果を出さなくてはいけない。

今までは、終身雇用的な方法でも収益は出ていた。
しかし、これからはそうはいかない。そのため、目標設定を明確にして、成果を出す。年齢や性別に関係なく成果で評価するという方法にしたということ。

お菓子メーカーの場合、お客様が喜ぶ、評判になるなど、比較的成果の結果が見えやすい職種でもあります。
ただお客さんのニーズに応えるだけではなく、「こんな商品が出たらしい」と話題にしてもらう必要もあります。
また昨今、そういった「話題」は、口コミからSNSへ移行しつつある。

そんな時代に対応するには、多様性が必要ということ。
そのため、現在のカルビーでは、在宅ワークやリモートワークなど出社をせずに、働ける環境づくり。具体的にはフリーアドレスの配布などの方法が取られています。

また時短勤務や、女性雇用の促進、性同一性障害を含む障がい者雇用の促進など、多様な人材採用が行われています。
それは、働き方を多様にして、いろいろな人材を確保しなければ、企業収益が伸びないから。

時代を映す商品開発

カルビーが近年、開発しているお菓子には、ワーキングマザー向けの商品もあります。忙しく健康意識も高い。
そういった人の場合、手軽に良質なお菓子を手にしたくなりますね。
こういった層への商品開発は、やはり女性が大きな戦力になります。

食品の場合は、購入時に体調や生活習慣などが大きく左右する。
今まで企業の主戦力となってきた中高年男性だけでは、アイディア不足となりかねない。育児や介護をしているからこそ、思いつくアイディア「あったらいいな。」という商品が生まれてくるのです。

お菓子というのは、その時代に寄り添うもの。時代が変われば消費者も変わる。
作る企業が変化するのも当たり前ということ。
カルビーの働き方改革は「特別な改革」というよりは、食品メーカーとして当たり前のことを行っているに過ぎない。

売れるもの、欲しいものを作って売る、それがメーカーの仕事。
企業にとって1番大事なことは「収益を出すこと」。非常にシンプルなことなのです。