変わりゆく仕事の中身

急速に進む仕事のデジタル化、AIにとって代わられ無くなる仕事特集という記事もよく見かけます。
実際、銀行などのように、業務の内容がすでに激変。採用人数を大幅に減らしている業種もあります。
10年後自分の仕事があるのかどうか、ふと心配になることもあるのでは。

しかし引用記事によれば、そういった心配はまずいらないよう。
それ以前に「AIにとってかわられる仕事」は「ない」とも書かれています。
どういうことでしょう。

まず、1つの職種の中身を考えてみましょう。引用記事ではタクシー運転手が取り上げられています。これも自動運転車が当たり前になると、無くなりそうな仕事。

しかし、タクシー運転手の業務をよく考えてみましょう。
お客の中には酔っぱらいもいる。行き先がわからず、しかも車内を汚される。
タクシー運転手に必要なのは、こういったお客さんへの対応も含まれます。
自動運転だけでは対応できませんね。

この例を見てもわかるように、基本的にデジタルやAIが行う作業は「タスク」
なのです。つまり「運転業務」「車内清掃」など、個別の業務を任せることは可能ですが「ややこしい酔っぱらい客」のように、タスク化できない業務は、やはり人間が対応するしかないのです。

銀行業務の場合、たまたま、タスク化できる部分が多い職種だったということ。
そういった職業の場合は、今行っている単調作業はすでにRPAなどのデジタル化が行われているでしょう。

しかし、事務作業1つとっても「タスク化」しづらく、動線が引きづらい業務もあるはず。どうしても例外規定を作り、人間のバックアップが必要というケースもあるでしょう。
AIになったところで、この部分のフォローは変わらないということ。
どのようなシステムを組んだところで、必ず例外的な事案は発生するのです。
それをフォローする人間は絶対に必要なのです。

また、仮に自動運転が当たり前になったとします。
現在の配車事情自体が変わってきます。車を俯瞰して管理する人も必要になる。
つまり、新しい仕事が生まれるということ。

「タスク化した仕事のフォロー」「デジタル化した労働市場で生まれる新たな仕事」この2つを取ってみても、1つの業務が完全にAIに置き換えられるはずがないことがわかります。

変わっていく人間の社会

しかもこの前提条件は、労働市場や社会環境が今までと同じと仮定した場合の話。
今後はどんどん少子高齢化が進みます。
サービス業を筆頭に、ニーズも変化する。また生活環境がデジタル化すれば、その時点でニーズは変化していきます。

今までは、本が重宝されていたが、家から紙が消えるといったようなことですね。
しかし、新聞や雑誌が家から消える可能性は大きいですが、紙媒体の本が無くなるのかどうかは、疑わしい。
現在、スマホが当たり前の世の中になっていますが、手帳がブームともいわれている。文房具も色々なアイテムが登場していますね。
デジタル化だけを考えれば、衰退してもおかしくない分野ですが、違う方向性に活性化してきているともいえる。

またネット銀行や電子マネーのように、簡単にデジタルに置き換わってしまうものもあれば、印鑑のように残りやすい風習もある。新元号が決定した今、新しいハンコブームが来ていますね。

また、最近になって変化してきているものの1つがお墓。従来のようにお寺に置き、お参りをするという風習が減ってきている代わりに、ビルの中に納骨堂を置くケースも増えています。

印鑑もお墓も生活必需品というわけではない。無くせばいいという考え方もある。しかし現実にはそうではない。

またお墓の場合、「終活」と称して、お墓だけでなく、葬儀など人生の最期に関わる市場自体が活性化しています。元々、高齢化社会に伴い、人生の終盤やお墓に関心が集まりがちなところに、色々な企業が参加してきて、色々な提案を行う。それにより、ムーブメントができてくるという状況があります。

いわゆる「企業主導の流行」ですね。
こういった予測もAIが行う時代が来るのかもしれませんが、その場合、何をお予測してもらうのか?という問題があります。

「高齢化に伴いニーズが増えてくるもの」を予想するのと、「故人の弔い方」を予想するのでは、必要なデータなどすべての前提条件が変わってきます。

そして現実には「いつまでも若く」と、「葬式事情」を同時に考えるのが人間。
また人間は「いつまでも若く」と「年相応」の2つの願望を持ち合わせていたりもします。
デジタル化と高齢化が進み始めた現時点でさえ、これだけ物事や価値観は変化してきています。

現在のキャッシュレスの動きが、今後の高齢化社会に向かってどういった形に落ち着くのかも、まだ先が見えていない。
キャッシュレスは便利ですが、今後予想される認知症患者の増加を踏まえ、どう対応していくのか?
こう考えていくと、ハイペースでタスクをデジタル化したとしても、増えていく仕事の方が実は多いのかもしれませんね。
それ自体、予測がつかないというのが現状なのです。