料理も企業も「シンプル」ではない

昨年、ライフネット生命の岩瀬大輔会長は、フレンチシェフ・松嶋啓介氏の「料理教室」に参加しました。

松嶋啓介氏は「食」から考える発想のヒント』(実業之日本社)という著書を出す実業家。
「企業経営において得るものがあるかも」と思っての参加だったようですが、想像以上の収穫があったようです。そんな2人がこのたび対談。
「料理とは?会社経営とは?」など、熱いトークが繰り広げられたようです。

料理には、難しいものもありますが、とても簡単に出来そうなメニューも多い。
例えば、ラタトゥイユの調理。完成品だけ見ると「いろいろな野菜を入れて炒めるだけ」にも見える。
しかし、加熱に必要な時間は、素材により違う。調味料の量も違う。
そのため、実際には、1つ1つの野菜を炒める作業が必要。

人間も同じ。「人を束ねる」と言っても、その中には「それぞれの個性」があります。
個人個人に向き合って、初めて人を束ねることができる。

また、料理は「素材を活かすためにシンプルに調理を」と言われることが多い。
実際、刺身などは「生魚をカットしてあるだけ」です。
しかし、切る技術には、かなり多くの要素があり、和食調理人は「職人」と呼ばれたりもする。

シンプル=簡単ではない

会社運営についても、この間違いは起こりやすいそうで「簡素化」が良いと思われる風潮にあるよう。
しかし無駄を省くことと、「簡単さ」は似て非なるもの。

「シンプル」さとは、多くのものから優れたものを選び抜く、それをバランス良く融合させること。

そのためには、まず多くのものに触れなくてはいけない。選択、再合成という作業が必要なのです。

料理において「塩」は「塩味を足す」だけではない。素材の甘みを引き出すために、少量使うこともある。
このさじ加減を突き詰めると「塩を使わない」という「シンプルさ」に着地することも多い。

しかし、それは素材を知り、調理方法を研究した結果であって、最初から考えなしに「塩を入れない」では、良い料理が作れるはずがないですね。

料理をおいしく食べるには

今回料理教室に参加した岩瀬大輔会長率いる「ライフネット生命」では、健康に関する商品も扱っています。
その観点から「お客様と保険会社の接点の少なさ」と「孤食」に共通するものを感じたよう。

保険商品は1度買うと、あまり買い手と接する機会はありません。また手を掛けた料理も、1人で急いで食べる人が多い日本。

食事というのは、一緒にいた人や食器など、料理以外にも楽しい要素がある行為。
それが料理の味を引き出すことにもなる。
そう考えると、シェフの仕事は「調理」だけでなく、「楽しい空間づくり」も含まれる。

松嶋啓介氏は、食を通して「社会問題」提起をすることを目指すシェフ。今回の岩瀬大輔会長との対談で、料理や食事に含まれる「企業や社会の問題」をあぶり出す効果は充分にあったようですね。
人も素材も、相乗効果で素晴らしいものを生み出すことは間違いないようです。