当たり前になった「元日営業」

お正月は職種を問わず休みになるシーズン。仕事関係の連絡も来ず安心して休める休暇です。
のんびり近所のスーパーに行って福袋でも買って‥という過ごし方もいいですね。

しかしこれでは「近所のスーパー」の店員さんは休みではない。
小売業、病院、配達業務など、一部の人たちはむしろ忙しくなってしまうのが正月や年末年始。
こういった人たちも働き方改革に伴い「しっかり休みを取る」という方向に向かっているようです。

関東地方でおなじみのスーパーマーケット「マルエツ」が2019年1月1日は一部の店舗を除き休業にすると発表。
「顧客の要望がわからないため」という理由で正式発表ではないようですが、大きな反対がなければ、これからは「元日は休むようにしたい」という意思表示。
スーパーマーケットも確実に働き方改革が進んでいくようですね。

ところで、昭和世代の人にとっては「元日休業」というのはむしろ懐かしい響きがあるのでは。
コンビニが当たり前ではなかった昭和の時代、働くのは神社と新聞、年賀状配達くらいなもの。
正月3日間お店が開いていないということは珍しくありませんでした。
インターネットもない時代、3日間程度、社会活動が止まるという状況が社会の総意になっていたため、特に不便はなかったんですね。

しかし24時間営業のコンビニや深夜営業のお店が続々登場、こうなってくると「24時間開いているお店があるのが普通」という感覚に。
バブル期には「24時間働けますか」という恐ろしい標語も登場。夜中もバリバリ働くのがトレンドに。
ほどなくしてインターネット登場、海外とのやり取りも当たり前になり、現在に至っています。

しかし東日本大震災など、災害のニュースなどをきっかけに「24時間、明るいお店がある必要があるのか?」と便利さに警鐘を鳴らす風潮が出始めます。
それと同時に、そこで働く人たちの過労もクローズアップ。
今の働き方改革につながっているんですね。

病院の場合は「不要の救急を控えるよう呼びかける、夜間特別料金を取る」など、本格的な対応に乗り出している所も多く見られます。
しかし、小売業というのは「楽」が習慣になってしまうと、なかなか変えにくいもの。

また昭和時代は親族が多く、付き合いを小まめにするのも当たり前、しかし平成最後の今、元日はコンビニ店員にあいさつするのを楽しみにしている人も、割といるのでは。
良い悪いというのではなく、これが「時代の変化」というもの。
しかし、だからといって、スーパーやコンビニの店員に正月がなくていいとは言えない。
小売業の場合、働き方改革の落としどころが非常に難しい。
しかし、元日1日は元々祝日、1日限定でもあり、マルエツのように「元日を休日に」というお店が出て来ているようですね。

どうする小売業の働き方改革

小売業で働く労働者の問題は、まず「長時間労働」です。
スーパー、コンビニなどは営業時間も長い。そして接客業は「クレームを付けるお客さんが来る」など労働時間が長引く事態も起きやすい。
育ち盛りの子供を持つ母親がスーパーにパート勤務に出る。
夕方で帰宅できるはずが、残業が多く、自分のうちの夕食を作る暇がない。
勤務先のお惣菜や別のコンビニで夕食を買ってくることになる。

そうすると、夜間開いているスーパーやコンビニの存在はよけい必要になってしまいますね。
悪循環を呼ぶのです。これを無くすにはまず「長時間労働の是正」が必要になってきます。

そして労働者の多くが「パート、非正規雇用者」。
雇用側に対して、待遇改善を求めにくいケースが多いのです。子供に何かあっても職場に「早く帰宅」と言い出しにくい空気がある。
その結果、賃金は少なく家族全員にストレスが溜まる可能性も高くなります。

厚生労働省が作成した「職種別、働き方改革ガイドブック」というものがありますが、ここには「スーパーの場合は、多様なニーズに応えるために、より多様な人材の確保が求められる」と書かれています。

まず「主婦」を活かせる環境づくりが大事ですね。
また近年は外国人在住者や労働者も増えています。外国人がお客としてくる一方で労働者として定着してもらい、スキルアップを図ることが欠かせないのが小売業。

スーパーには「地域社会の貢献」という使命もあります。
色々な人のニーズに応えつつ、働く人にも優しい。
地元スーパーは客、店員どっちも知っているということも多いもの。両方が「いいお店」ということが、これからのスーパーにはより大事なのですね。

そのためには4つの体系を考えること。Vision、System、 Action、Checkの4点です。
まず社としてのビジョンを明確にすること。マルエツの場合「長時間労働抑制、休暇取得」が大きな目標になっています。これをトップが主導することが大事。
そしてそのためのシステムを組むことも重要です。
「相談窓口を設ける」「労働時刻の管理システム導入」などがありますが、大事なのは「労働者主体であること」です。

夜勤は必ずしも労働者への負担ばかりではありません。時給がよいので夜勤だけを行いたいというケースもあるはず。そのため「連続休暇取得」など、休みのブランクに目を向ける店舗も多いようです。

最後にそれを実行に移し、システムが機能しているかどうかをチェックする。
この4段階が推奨されています。

今回の「マルエツ元日休業」顧客の評価はまだ未知数ですが「地元スーパーが変ろうとしている。」という意思は伝わりますね。
店員を大事にしないお店の品物は、安さだけがウリになってしまいがち。そうではなく「皆がお店を大事に思う」店づくりが、今後の小売業には大事な要素になってきます。そこから「付加価値」という強みも生まれそうですね。