資金と人材は豊富な大会社だが‥

近年、NTT西日本、日本郵政、トレンドマイクロなどの大手企業が、ベンチャー企業に「社員を送る」レンタル移籍が流行っています。

この仕組みを提供しているのは「ローンディール」という東京の企業、原田未来社長自身が、複数の企業勤務、新規事業立ち上げなどを経験して、起業したもの。
この会社の存在自体が、イノベーション的でもあります。

大会社は、資金も人材も多く、何かをやれる余地は多い。
しかし、社内の流動性が少ない、風通しが悪いという理由で、優秀な人材も幅の狭い価値観の中で育成されてしまう。
環境があるのに、イノベーションを起こす考え方を持つ人材が育ちにくい、という矛盾が出てきます。

これに対して、ベンチャー企業は、大企業ではやれないことを目指して作られた会社。考え方の流動性は高い。
ということは、大会社の社員をベンチャー企業で育ててもらい、イノベーションを起こす力を身に着けてもらい、会社にフィードバックしてもらえば、より大規模に革新的なことを生み出せる、という考え方です。

イノベーションを肌で学ぶ

その1つの方法が社員の「企業間レンタル」なのです。
NTT西日本から、ベンチャー企業「ALE(エール)」に移籍した例を見てみましょう。
エールは「流れ星事業」を行うユニークな会社、17年にスタートアップ企業と学生のコラボレーションイベント「NeXGeN」で、Startup of the Yearを受賞しています。

移籍社員は「流れ星がなぜビジネスになるのか?」という発想を通じて、Wi-Fiから宇宙ビジネスへという発想を生み、その結果を持ち帰ったようです。

ローンディール社は、移籍経験を「週、月」という単位でレポートにして提出する方式を採用しています。
言語化することで、移籍により得たものが、より明確になるのです。
ローンディール社自体の学びにもなりますね。

イノベーションを起こすには、頭で何かを知るだけでは限界がある。肌感覚で異次元の存在を知ることで、新しい考え方や価値観が生まれてくるのです。

現実にはまだ課題も‥

かなり多くの成果を上げている「企業間レンタル」ですが、まだ移籍後「ベンチャー企業での立ち位置が見つけられない」というケースも多いよう。

例えば、大会社の場合、待ちの姿勢で仕事をすることが多いですが、ベンチャーはその逆。
スピード感など勝手が違うことがいろいろあり、環境に適応しようとするだけで、移籍期間が終わってしまうケースも多い。
ローンディール社では、この対策に1on1のメンタリングを実施。

まだ課題も多く見られる企業間レンタルですが、今後さらに大きな収穫が期待できそうです。