東京医大入試得点操作から見えるもの

東京医科大学の入試で、男子学生を多く合格させるため、女子の得点が低くなるように操作していた事件。男女差別として議論を呼んでいますが、この事件はかなり根が深いよう。

かねてより「医師の男女格差」の問題提起をしてきたフリーランス麻酔科の筒井冨美氏が、その背景を詳しく語っています。

女性の生き方を前提していない研修制度

女性が医師になっても結婚、妊娠出産などでやめてしまう可能性があるため、医師にしたくない。そのため医学部の学生自体、少な目に取っておく、というのが今回の事件の背景。
得点操作は他の医学部でもやっている、という意見もあります。
実際、医師国家試験の得点は、女性の方が高得点を取る傾向にあるとのこと。

しかし、それなら他の職業も同じこと。医療界だけを見ても、薬学、看護がありますが、看護師については女性が主力の仕事。子持ちの看護師は珍しくもありませんね。

では、なぜ医師だけがいびつなことになってしまうのか。
それには医師ならではの事情があるようなのです。

まず医師の場合、研修医制度があります。国家試験に受かり医師の資格を得ても、
数年ほど見習いをしなくてはいけません。
この期間が長い。元々2年程度あった期間が2018年度からスタートした「新専門医制度」が追加され、より長くなってしまったのです。

医学部は6年間と他の学部より在籍自体が長い。つまり研修医をやっているだけで出産年齢になってしまうのですね。
しかし、それなら女性が医師になるのを避けるのではないか?

医師の格差問題

実際には女性の医師志望者は多い。
しかし女性の場合は、眼科など比較的楽な診療科を選ぶ傾向にあるのです。
また「医師目当ての婚活」を目指す「キラキラ女医」も残念ながら存在。
医師になり、名のある医療機関に就職。ネームバリューのある男性医師と結婚。
そしてセレブぶりをアピールするというわけ。

医師の場合、国家資格ですから、週1勤務であっても「医師」と名乗れる。
ステイタスもあり、使える国家資格として非常に有効なため、医師を目指す女性も多いよう。

また志の高い女性であっても、妊娠出産をすると専門知識はどうしても中途半端になる。
そのため、立ち位置が中途半端になってしまう。
その結果、男性主導型の現場が改革されづらく、結婚、妊娠、出産を踏まえた職場づくりからどんどん遠のいてしまうというわけ。

まず大事なのは、研修医制度を「女性参加前提」にすること。研修医を長くすることで、男性医師までもが楽で地方を回避する傾向が強まっているよう。

つまり「女性医師排除問題」は、そのまま「医療格差」につながっているようなのです。
女性医師が本来の力を出せない環境は、そのまま患者の不利益となってはねかえる。
そもそも今回の問題、現場の声があまり聞かれませんが、看護師や患者の中には「女性医師の方がよい」という人も多いのでは。

患者さんのためになる医療が、医療格差解消につながり、女性医師の登用にもつながるのではないでしょうか。