「残業なし」は病気を招く

長時間労働は悪、残業はなくして早めに退社、これが社員の健康を維持する方法と信じている企業も多いかもしれません。
実は、これ場合によっては逆効果を招くようなのです。

引用記事ではとある食品卸業者が例に出されています。
この例では、本社は「午後7時の退社」を決定。
しかし、ある支店では、取引先との仕事の都合上、どうしても退社は午後8時にはなってしまうということ。

しかも、ここの支店長は新しく赴任したばかり。やっと支店の職務内容を把握したところで、無理難題が本社から出される。一応命令に従い、改善計画を立ててみたものの、いい案は出ない。

そこで社員と相談しながら実施しようとしたところ、元々支店長が新任なこともあり、社員と支店長の間にはどんどん溝ができてしまったようなのです。

この状態を社員から聞いたのが産業医。産業医が支店長から事情を聴いたところ、上のような状態が判明したということのようです。

「午後7時退社」命令が社員はおろか、支店長の心の健康に害を及ぼすと判断。
残業時間制限遵守を基準に、本社に「半年先送り」を申し入れるよう提案。
元々支店の特性を本社が把握していたこと、また産業医の口添えが功を奏し、
この案は認められることになりました。

働き方改革は「現場の裁量第一」

この例は、現場の事情を考えない一律の押し付けに、社員が不満を持ち、間に挟まる管理職は、ストレス疾患寸前になってしまったケース。

実は産業医が、社員の意見に早めに気付いた理由も「業務手順があまりにきちんとしすぎていること」への危惧でした。

きちんとしたマニュアルがその支店内で話し合われたことであればよい。

しかし、この職場はおそらく時間の流動性が必要な状況だったと思われる。
無理なマニュアルを導入することで、元々ストレスが溜まりやすい状態だったと考えられます。

残業や効率の悪い働き方は確かに健康を害します。
しかし、労働者の考え方や環境を無視したマニュアルの押し付けは、逆に労働者のストレスを増すことになる。そして労働者の健康状態を悪化させることにつながります。

働き方改革で大事なのは「現場の裁量を大事にする」こと。
今回の例のように、支店により状況が異なる場合もあります。そういったときには、まず現場の声が優先されるようにすること。
そうでなければ、今回のように間に挟まる管理職がパンクしてしまうことも考えられます。

今回、現場を客観的に把握していたのは産業医。第3者の目で見てもらうことが現場に裁量を持たせる方法として有効でもあるようです。