できないことはしないという害

売り手市場と言われて久しい日本企業、人手不足は改善しません。
「人手不足はなぜ改善しないのか?」を考察した記事がありますが、これを読むと「ワークライフバランス」の害が浮き彫りになってきます。

まず人手不足の原因を考えてみましょう。
1つ目に少子高齢化、労働人口の絶対数が減っているのに、労働自体は減らない。
当然人手が足りなくなります。

2つめに待遇格差、働き方改革が叫ばれ、ノー残業、休日がしっかり取れる企業も増えています。そういった所に人材が集まる。
これがブラック企業の改善につながれば良いのですが、一部の技術職の場合、どうしても1日1度休みを取るという方法では、仕事が成立しないものもあります。

こういう職種の場合、単発で人を雇うわけにもいかない。
大工仕事を想像してみましょう。木の扱いには多くの知識と実践経験が必要。
しかし、そのためには一定期間、修業を積む必要があります。
人手不足の現状では、こういった仕事に人が来なくなってしまうよう。

ワークライフバランスの罪

また技術職に人が来ない原因の1つに「ワークライフバランス」の尊重があります。
仕事の技術を身につけるには、時にプライベートな時間を削らざるを得ないこともある。それを仕事上の「やりがい」と呼び、医療現場などはこういった気概のある人たちで支えられています。

しかし、ワークライフバランス、すなわち「休みはしっかり取る」という考え方が主流になると「休めない仕事は嫌だ」という考えが広がってしまいます。

そうなると、一定時間をかけて仕事の技術を身につける職業は回避される。
その技術を継ぐ人間がいなくなる。もしくはレベルが低下する。
医療に例えていうと「救急対応ができる医師、看護師がいなくなる」ことになります。
救急対応の能力は何も「夜間救急」に限ったことではありません。
日中の事故など、別の状況でも「救急経験者」ならではの判断や治療が行えます。
またそういう人たちが複数いることで、救急チームが組める。

ワークライフバランスが先行すると、まず「チーム」が組めなくなります。
技術職は一定レベルを身に着けた人たちが、共同作業で結果を出すことが多い。
また、育成プログラムを組める人材、指導者もいなくなります。

その結果、技術自体が消滅する。
すでに高いレベルを持つ「中小企業」は倒産する企業もあるよう。
無駄に労働者をこき使うのはいただけませんが、高度な技術を身につける、指導するために、仕事のためにのみ生きる。

こういう状況が必要な職種もある。「しっかり休む」という一律な働き方を強制することで、日本が持つ色々な技術力が、あっという間になくなる可能性もあるのです。働きたい人はしっかり働く、働き方の多様性を確保しておくことが大切ですね。